症状の出方はみんな違う 1匹ずつ多角的に判断する「弁証論治」 犬・猫の中医学

症状の出方はみんな違う 1匹ずつ多角的に判断する「弁証論治」 犬・猫の中医学

  • sippo
  • 更新日:2017/09/14
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検査の結果は何ともないのに、愛犬や愛猫の体の調子が良くない。獣医さんには「そのまま様子を見て」といわれたけど、何かしてあげたい……ペット医療の世界でも注目されている「中医学」は、そんな飼い主の心を癒やす面もある。どんなふうにペットの不調にアプローチするのだろう。

動物病院の待合室で、ケンタの飼い主とミーコの飼い主が久しぶりに出会った。

「うちの犬のケンタはもともと元気がないんだけど、最近、動きも悪くなってきた気がする。でも数値上は何ともないの」

「うちのミーコは年だからか、お腹の具合とかちょっとした不調が気になるのよね」

ケンタもミーコも動物病院で検査してもらったのだが、異常は見つからず、大きな病気ではないといわれ、その日は投薬もなく帰宅した。
実はケンタが暮らす家は数か月前に引っ越しをし、ミーコの家では新たに子猫を迎えていた。

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「ペットがかいたり、吐いたりする理由は様々あるはずです。でも、なぜか数値は普通ということもあるんです。中医学は、そうした病にまでは至らぬ症状を重視します」

そう説明するのは、中医師の楊暁波(ようきょうは)先生だ。

「さらに、同じような生活変化や環境変化があっても、反応や感じ方は千差万別。ペットも個性があり、体質が違うので、経過や変化を分析して症状の判断をします。これを中医学で『弁証論治』(べんしょうろんち)と言います」

図は、その弁証論治のフローチャートだ。こんなふうに、いくつもの観点から多角的(複合的)に診ていくのが、中医学の弁証だ。

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ごく簡単に流れを説明すると、「四診」(ししん、四つの診断法)」によって、患者にあらわれた症状や体質を総合的に分析するのが「弁証」で、それによって得た病気の根本原因に適した治療を施すことを「論治」という。

診断の仕方「四診」について、少し楊先生に説明してもらおう。

「四診の一つ目、『望診(ぼうしん)』では、ペットの舌や肉球の色、顔つきなどを確認して、元気さや精神状態などを診ます。二つ目の『聞診(ぶんしん)』では、口や耳などの匂いを嗅いだり、鳴き声や呼吸音などを診ます。三つ目の『切診(せっしん)』で身体に直接触れて、脈やお腹の張り具合、冷えや熱感、関節の運動状態などを診察。四つ目の『問診』で、飼い主さんからわんちゃんや猫ちゃんについて飼育環境や普段の様子などを聞き取ります」(楊先生)

これらの診察を、一般的な検査とあわせて行い、体の乱れのもとを探るという。弁証の理論は、長い歴史に裏付けされたもので、西洋医学にはない理論がいくつも用いられる。

たとえば「邪正」(じゃせい、正気と邪気)という考えもそのひとつ。

「疾病というのは、正気(せいき、抗病能力や免疫力)と、邪気(じゃき、身体に影響し、病気を引き起こすもの)の力関係によって、あらわれる症状が違います。たとえば正気不足なら疲れや“虚弱”症状など『虚証』(きょしょう)の症状があらわれます。一方、邪気が盛んであれば、血の流れが滞ったり、熱がこもったりするなど体内の病的なもの、『実証』(じっしょう)があらわれます」(楊先生)

図の「八綱弁証」(はちこうべんしょう)は弁証の一つで、表裏は病気の位置(体表面か、奥深くまでか)を、寒熱は病気の性質(冷えているのか、炎症などなのか)を、虚実は上述のように正気と邪気の力関係を、陰陽は、表裏・寒熱・虚実を総合的に比較したものだという。

弁証と弁病(べんびょう、症状から探った病)を連携して、それぞれのペットに合った養生の方法や処方を導き出すのが中医学だ。言葉にすると難しいが、近ごろでは中医学を学び、積極的に取り入れる動物病院も増えてきているという。

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