日米は戦わされた? アメリカの保守派が唱え始めた「スターリン工作史観」――評論家・江崎道朗

日米は戦わされた? アメリカの保守派が唱え始めた「スターリン工作史観」――評論家・江崎道朗

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2017/12/06
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江崎道朗のネットブリーフィング第26回】
トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

◆なぜ日本だけが非難されるのか

もうすぐ12月8日、真珠湾攻撃の日を迎える。日本のテレビでは、「日本の軍部が無謀な戦争を始めた」みたいな調子で報じるが、当のアメリカでは、この真珠湾攻撃について多様な見方が存在している。

1941年12月7日(現地時間)、日本軍が真珠湾攻撃をした当時、アメリカのルーズヴェルト民主党政権は「卑怯な騙し討ち」と非難した。日米両国が懸命な戦争を避けるための外交交渉をしていたのに、日本がいきなり真珠湾を攻撃してきた、というのだ。

しかし、日米交渉の経緯について知られるようになるにつれ、日米交渉を潰したのは、ルーズヴェルト民主党政権側であったことが知られるようになっていく。

1948年にアメリカの著名な歴史学者チャールズ・ビーアド博士が『ルーズベルトの責任』(邦訳は藤原書店、2011年)を書き、「時のルーズヴェルト大統領は暗号傍受により日本軍による真珠湾攻撃を知っていたのに、対日参戦に踏み切るため、わざと日本軍攻撃のことをハワイの米軍司令官に知らせなかった」と批判する。

このビアード博士の本について、翻訳家の足羽雄郎氏から聞いた一つのエピソードを紹介したい。

1995年夏のことだ。足羽氏が東京・池袋のサンシャインビルの西北側にある公園を歩いていると、何かを探している一人の外国人がいた。話しかけると、東京裁判で死刑にされたA級戦犯の元処刑場を探しているところだ、という。

ウェン・コーエンと名乗る彼は、アメリカ国籍の詩人であった。高校時代、日本が一方的な侵略国だと教えられ、自分でもそのように信じていたが、大学に入って、図書館でたまたまビアード博士の本を見つけて読んだところ、目の覚めるような思いをしたという。

「ルーズべルト大統領が勝手に戦争を仕組み、日本に押し付けたことを知り、仰天の思いであった。アメリカが無実な日本の指導者を処刑してしまったことに対し、一アメリカ人として心より日本人に詫びたい。日本に行ったら、是非とも処刑場跡を訪れ、処刑された人々の霊に詫びたいと思っていたが、今日それが実現出来て、大任を果たした思いである」

こう語った彼は、処刑場跡に建っている記念碑の碑文について説明を求めた。碑の前面には、「永久平和を願って」と刻まれており、その後ろには、極東国際軍事裁判で有罪の判決を受けた人々の処刑の一部がここで執行されたことや、「戦争による悲劇を再びくりかえさないため」記念碑を建立したことが書かれている。

足羽氏が英訳しながら、碑文について説明したところ、彼は「独立国日本がいつまでもアメリカに遠慮し、このように卑屈な碑文を後世に残すことは全く恥ずかしいことではないだろうか。私が日本人ならこう書きたい」と言って、その場で次のような詩を書いた。

《Oh, America! Thou perverted the law and trampled down justice. George Washington and Abraham Lincoln, now in the nether world weep of thy injustice.
あゝアメリカよ、汝は法を曲げ、正義を踏みにじった。ジョージ・ワシントン、アブラハム・リンカーン、今や黄泉にて汝の非道に涙す。[足羽雄郎訳]》

先の戦争は決して日本の侵略戦争などではなかった。にもかかわらず、アメリカのトルーマン民主党政権は東京裁判を行い、日本の指導者を侵略者として処刑した。このことは、公正と正義を重んじたアメリカ建国の祖、ワシントンやリンカーンの精神を裏切る行為だ。日本はむしろアメリカに反省を求める形で碑文を書くべきではないかと、コーエン氏は語ったのだ。

この詩人の問いかけに、私たちはどのように答えるだろうか。

これまで戦争責任といえば、必ず日本の戦争責任を追及することであった。過去の問題で批判されるのは常に日本であって、過去の日本の行動を非難することがあたかも正義であるかのような観念に大半の日本人が支配されてしまっている。しかし、どうして戦争責任を追及されるのは常に日本側なのだろうか。

敗戦後の日本人が、「戦争に負けたのだから」と連合国側による裁きを甘受したのは仕方のないことだったかも知れない。だが、歴史の真実は勝者の言い分にのみ存するのではないはずだ。

◆スターリン工作史観の登場

幸いなことに、ビアード博士のように、アメリカでは、歴史の真実を探求する動きが続いており、歴史は静かに書き換えられている。

2017年9月、私はハワイのアリゾナ記念館を訪問した。真珠湾攻撃を記念して作られたアリゾナ記念館ビジター・センターには、真珠湾攻撃に至る経緯を展示した展示室がある。その入り口に飾られていた一枚の解説板にはこう記されていた。

《「迫りくる危機」 アジアで対立が起きつつある。旧世界の秩序が変わりつつある。アメリカ合衆国と日本という二つの新興大国が、世界を舞台に主導的役割を取ろうと台頭してくる。両国ともに国益を推進しようとする。両国ともに戦争を避けることを望んでいる。両国が一連の行動をとり、それが真珠湾でぶつかることになる。》(引用者の私訳)

真珠湾攻撃は日米両国がそれぞれの国益を追求した結果起こったものであるとして、日本を「侵略国」であると決めつけた「日本悪玉史観」は事実上、見直されているのだ。

その動きは今後益々進んでいくことになるだろう。というのも、アメリカの保守派の間では近年、「真珠湾攻撃背後にソ連のスターリンの工作があった」とする「スターリン工作説」が唱えられるようになってきているからだ。

例えば、保守派のオピニオン・リーダーであるM・スタントン・エヴァンズと、安全保障の専門家のハーバート・ロマースタインが共著で『Stalin’s Secret Agents: The Subversion of Roosevelt’s Government (スターリンの秘密工作員:ルーズヴェルト政権の破壊活動)』(Threshold Editions, 2012, 未邦訳)を刊行し、ソ連のスターリンが日米を開戦に追い込むために、日本、アメリカ、中国(蒋介石政権)の三方面で同時並行的に三つの大掛かりな工作を行ったと指摘している。

①ソ連の工作員であるドイツ人ジャーナリスト、リヒャルト・ゾルゲが、朝日新聞記者だった尾崎秀実らを使って、日本が英米両国と戦争をするよう誘導した。

②ソ連の工作員であるアメリカの財務次官補ハリー・デクスター・ホワイトが、ルーズヴェルト政権内部に働きかけて、日米の和平交渉を妨害した。

③ソ連の工作員であるルーズヴェルト大統領補佐官ラフリン・カリーが、中国国民党政府の蒋介石の顧問であったオーウェン・ラティモアと連携して、日米の和平交渉を妨害した。

その詳細は拙著『日本は誰と戦ったのか──コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』(KKベストセラーズ)で紹介しているが、こうしたスターリンによる複数の秘密工作の結果、「日米和平交渉は頓挫し、日米戦争に至った」として、こう結論づけている。

《ソ連による政治工作は、ソ連が我々の同盟国であり、反共防護措置が事実上存在しなかった第二次世界大戦中に最も顕著であった。これはぞっとするほどタイミングが良かった。親ソ派の陰謀がアメリカの参戦に決定的役割を果たしたのだから。この意味で注目すべきなのは、真珠湾攻撃に先立って共産主義者と親ソ派が行った複雑な作戦である。》(引用者の私訳)

こうした歴史見直しを進めるアメリカの保守派は、ドナルド・トランプ大統領の支持母体でもある。アメリカ内部で始まった歴史見直しの動向には大いに注目しておきたい。

【江崎道朗】
1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)など

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