あの時、こうしていれば...「生と死」を分ける病の決定的な一線

あの時、こうしていれば...「生と死」を分ける病の決定的な一線

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/11/09
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「問題ありません」。がん検査を受け、医師からそう告げられても、まったく安心はできないことをご存知だろうか。どこで生死を分けるのか、その一線をご紹介しよう。

毎年、人間ドックは受けていた

9月18日、総合格闘家の山本〝KID〟徳郁さんが亡くなった。享年41だった。

山本さんは父がレスリングのミュンヘン五輪代表・山本郁榮氏(73歳)、姉が総合格闘家の山本美憂(44歳)、妹がレスリング世界選手権優勝の山本聖子(38歳)というエリート格闘家一家。妹の聖子の夫はダルビッシュ有(32歳)だ。

自身もレスリング選手としてシドニー五輪を目指していたが、'99年の全日本選手権の決勝で惜しくも敗退。

総合格闘家に転身し、高い身体能力と日本人離れしたキレのある動きで「K-1」などで活躍、「神の子」と呼ばれた。

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そんな山本さんに胃がんが見つかったのは約2年前のこと。主にグアムで治療を行っていたが、病はみるみる身体を蝕んでいった。

今年の8月26日に自身のがんを公表したときには、グアムで、痛みや苦しみを和らげる緩和ケアを受けていたという。そうして、公表からわずか3週間余りで他界してしまったのだ。

「いま胃がんは内視鏡の治療が普及しており、初期の段階で内視鏡でがんを取ってしまえば、5年生存率は約95%あります。つまりほぼ完治するがんなのです」(「たまプラーザ南口胃腸内科クリニック」院長の平島徹朗医師)

胃がんの早期発見に最も有効なのは、胃の内視鏡検査と言われている。胃がんの初期は胃の粘膜の色の変化だけで、表面に凹凸が出てくると、粘膜下層に進行している可能性がある。

「胃の内視鏡検査は医師の熟練度によって早期のがんを発見できる確率が大きく変わります。食道から胃にかけては1本の直線なので、口から入れて、胃の中を見て、最後に抜くだけなら、比較的簡単なのです。

ただ、胃の中の微妙な色彩の変化を見抜くのが難しい。内視鏡を入れて出すことは簡単ですが、観察が困難なのです」(平島氏)

発覚から2年での急逝。山本さんは'15年まではリングに上がっていた。アスリートとして当然、身体のケア、検診は念入りに行っていたはず。

だが、胃がんで最も有効性の高い内視鏡検査でも、見抜けないケースはある。彼のがんも発覚した時は、すでに手がつけられない状態だったのだ。

今年1月に亡くなった、中日、楽天などの監督を歴任した星野仙一さん(享年70)。

'16年7月に急性膵炎を発症した際、自身が膵臓がんだと知った。この時点で肺に転移しており、手術を断念。抗がん剤治療を始めたが、発覚からわずか1年半後に亡くなってしまった。

「『闘将』『熱血』というイメージが強い星野さんですが、オフには毎年人間ドックを受けるなど、健康には気を遣っていました。

それが、がんが発覚してから、みるみるやつれていき、'17年末の野球殿堂入りを祝うパーティの際は別人のようだった。それから1ヵ月余り後に亡くなってしまいました」(元・楽天担当記者)

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見つけられなかった乳がん

膵臓がんは極めて発見、治療が難しいがんだ。東海大学医学部付属東京病院・院長の西崎泰弘医師が話す。

「見落としやすいがんといえば、やはり膵臓がんです。たとえば超音波検査でも、膵頭部という十二指腸に近い部分は見えるんですが、一番大きなボリュームを占める膵体部は胃が上に乗っかっています。

胃に空気が入っていると超音波が拡散してしまうので、そこは見えないんです。全体の3分の1ぐらいしか見えません。膵臓はたとえ人間ドックなどを受けていて、『問題なし』という結果が出たとしても、手放しで大丈夫とは言えません」

がんで亡くなった人といえば、元フリーアナウンサーの小林麻央さん(享年34)のことを思い出す人も多いだろう。彼女は亡くなる約9ヵ月前の'16年9月4日、自身のブログにこんな言葉を残している。

〈私も/後悔していること、あります(中略)あのとき、/もうひとつ病院に行けばよかった/あのとき、/信じなければよかった〉

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'14年2月、麻央さんは夫の市川海老蔵と一緒に人間ドックを受けた。そこで、医師から左の乳房に腫瘤があることを告げられた。その直後、都内の別の病院でマンモグラフィー検査(乳がん専用のX線検査のこと)などを受けている。

その際、麻央さんは医師に、細胞を直接採取して調べる「生検」の必要はないか確認している。マンモグラフィーなどでは、がんという所見を得られなかったのだろう。

医師の返答は、「必要ないでしょう」だったという。

検査から8ヵ月経った同年10月、麻央さんは左乳房にパチンコ玉大のしこりを見つける。

後日、以前と同じ病院でエコー検査、生検を受けると、ようやく「乳がん」と告知されたのだ。麻央さんが亡くなったのは、それから2年半余り経った、'17年6月のことだった。

前述の麻央さんのブログ記事は、この病院での生検を巡るやり取りを指していた可能性が高い。がん治療は早期発見が大きなカギを握っている。だからこそ、多くの人が人間ドックなどに行き、血液検査やバリウム検査、胸部X線など、様々な検査を受ける。

しかし、それでいくら「問題なし」と言われたとしても、検査では分からないことがたくさんある。医師や検査を盲信していては、気づいたときには手遅れという状態になりかねない。

検査でがんを見落とされ、危うく死の淵に沈みそうになった人物もいる。かつてWBAミドル級王者だった、元プロボクサーの竹原慎二氏(46歳)だ。竹原氏が語る。

「'13年1月、頻尿がひどかったので、知り合いの医師に診てもらいました。個人病院ではなく、大きな病院の先生です。血と尿を採って、膀胱のエコーもやりました。

医師からは『いろいろ調べたが、何もない。おそらく膀胱炎だろう』と言われ、抗生物質を処方されただけ。

しかし、症状が改善しないため、その後、何度か診てもらいましたが、『チャンピオンはお酒を飲むからだよ』と言って、薬を処方するだけでした」

最初の診察から約1年後の'13年大晦日、事態が急変する。大量の血尿が出たのだ。それで、最初の医師から違う病院を紹介され、翌年1月に大病院の泌尿器科で検査を受けた。

ここでも尿検査、血液検査、そして、エコー検査など、前と同じ検査を受けた。竹原氏が続ける。

「その日は、次回の予約を入れることもなく、『また、何かあったら来て』と言われて、帰されました。検査結果についても、その後、いくら待っても連絡がない。

すると、2月2日に再び大量の血尿が出たため、翌日、自分から病院に行きました。すると、その場で、『前回の検査でがんが疑われる数値が出ていました』と告げられたのです。

どうやら、検査をしたものの、僕が来るまで、結果を見ていなかったらしい。だから、僕が診察に行ったとき、その先生はあたふたしていました」

その後、この二つの病院に大きな不信感があった竹原氏は、セカンドオピニオン、サードオピニオンを聞いたうえで、最終的に東大病院で治療を受けることに決めた。

抗がん剤治療の後に、膀胱の全摘手術を受けて、無事成功。4年以上が経過したが、現在、再発もしていない。

「セカンドオピニオン、サードオピニオンを聞いた病院に行った時、『最初からがんの可能性を疑っていれば、もっと早く治療ができたのに』と言われました。悔やんでも悔やみきれません。

僕ら一般人は、検査をしたら、医師はちゃんと結果を見てくれているものと思っていますが、どうも実際には違うようです。結局、彼らにとっては他人事なんです。

僕も、二つ目の病院で検査した後、『まぁ、いいや。どうせ何もないんだろう』と思って、自分から病院に行かなかったら、今頃死んでいたかもしれません」(竹原氏)

本当は治っていなかった

竹原氏以外にも、音楽プロデューサーのつんく♂氏(49歳)も医師を盲信したと後悔する一人だ。

'14年2月、初期の喉頭がんと診断されたつんく氏は放射線治療などを受け、同年9月には担当医から「寛解」とお墨付きを得たと発表。しかし、声枯れが治らなかったため、別の病院を受診すると、がんが完全には消えていなかったと診断される。

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そうして'14年10月、声帯の全摘手術を受けた。つんく氏は月刊誌に寄せた手記でこう綴っている。

〈ここでみなさんに伝えておくべき点はたった1点。/お医者さんの言うことを信じすぎたということです。/すごい大学を出て勉強をし、専門的な分野の医師として大きな病院に勤めているということは優秀なんだろう、信頼がおけるだろう。そんな人がミスや見落としをするわけがない(中略)他の病院に行くとか、自分から何かを考えるということは全く発想としてなかった〉(「新潮45」'17年2月号)

患者が医者や検査を信じるのは当然のことだ。だが、知っておかなくてはいけないのは検査では分からないことが多くあるということ。そして、検査を受けても医師自身が見落とす、見逃すということも十分にあり得る。それらを理解してもらいたい。

自分の身体の小さな変化や徴候に敏感になり、普段から注意するのが最善の自衛策だ。

「週刊現代」2018年10月13日・20日合併号より

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