痛み止めの安易な服用はなぜダメ?:ロキソニンなどNSAIDsの副作用について

痛み止めの安易な服用はなぜダメ?:ロキソニンなどNSAIDsの副作用について

  • MEDLEY
  • 更新日:2019/09/17
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痛み止め成分の代表格としてロキソプロフェンがあります。ロキソニン®️ロブ®️などの処方薬やロキソニン®️Sロキソニン®️Sプラスなどの市販薬に含まれていて、聞いたことがある人は多いと思います。

ロキソプロフェンは痛み止めの中でも非ステロイド性抗炎症薬(通称:NSAIDs エヌセイズ)に分類されます。NSAIDsにはロキソプロフェン以外にもイブプロフェン(商品名:ブルフェン®️イブ®️など)、ジクロフェナク(商品名:ボルタレンなど)、アスピリン(商品名:バファリンAなど)などがあり、さまざまな商品名で流通しています。

NSAIDsは痛み止めとしての効きがよいため頭痛・生理痛などに汎用されていますが、解熱作用もあるため、風邪にも重宝する薬です。その一方で副作用の頻度や種類が多めで、注意が必要な薬でもあります。

ここではNSAIDsの注意すべき副作用や正しい飲み方について解説していきます。

1. 胃腸が荒れる

NSAIDsによる副作用のうち、最も頻度が高く注意が必要なものが胃潰瘍(いかいよう)など胃腸へのダメージ(胃腸障害)です。NSAIDsを数週間から数ヶ月にわたって服用した場合に胃潰瘍を起こす人の割合は10-15%ほどと言われています。潰瘍が進行すると胃腸から出血して吐血したり、血が黒い塊となって便から出てくることもあります。これは一大事であり、重症化する前に対策が必要です。

「痛み止めで胃腸が荒れる」というのはよく耳にする副作用かもしれませんが、誤った対策や認識が広まっているのも事実です。以下によくある勘違いを列挙してみます。

【NSAIDs胃腸障害への不十分な認識や対策】

食後に飲むようにしているから大丈夫

薬が直接胃腸の粘膜に触れなかったとしても、体内に吸収された後に胃腸にダメージを与える作用があります。胃腸障害対策として有効とは考えられるものの不十分です。

坐薬だから大丈夫

坐薬であっても、薬の成分が血液中に入って胃腸に届き負担をかけます。(一方、湿布では胃腸障害はめったに起こりません)

胃薬を一緒に飲んでいるから大丈夫

飲むことで予防効果が期待できますが、全ての胃腸障害を防げるわけではありません。また、胃腸障害をしっかりと予防できるような胃薬は市販薬として売られてはいません。 医療機関でよく処方される胃薬にレバミピド(商品名:ムコスタ®️など)、テプレノン(商品名:セルベックス®️)などがありますが、これらの予防効果も不十分です。

胃に痛みが出たことはないから大丈夫

痛みがないからといって胃が健康であるとは限りません。潰瘍があっても半分くらいの人は痛みを感じないと言われています。

食後に飲むようにしたり胃薬を併用したりすることはある程度有益だと考えられますが、一番の対策はNSAIDsの服用量・服用回数を減らすことです。

なお、NSAIDsやピロリ菌による胃腸障害に関してはこちらのコラムで詳しく説明しています。ピロリ菌感染があると言われたことのある人は、ぜひ参考にしてみてください。

2. 腎臓がダメージを受ける

胃腸障害で困らなければNSAIDsを飲み続けてもよいというわけではありません。胃腸障害と同様によく起きる副作用に腎臓の機能低下(腎障害)があります。

腎臓は血液中の老廃物や余分な水分をろ過して尿を作る臓器です。腎臓が悪くなると全身のむくみやだるさ、吐き気など多くの症状が現れます。進行すると命の危険があるため血液透析などの治療が必要になります。

腎臓が悪くなる原因には糖尿病や高血圧などさまざまありますが、薬の影響もその一つです。そして、NSAIDsは腎機能低下の原因薬剤としてトップを占めています。一度ダメージを受けた腎臓の機能は元に戻らないことも多く、NSAIDsのよくある重大な副作用は決して胃腸障害だけではないと言えます。

NSAIDsによる腎障害は高齢者でより起こりやすいため、高齢の人ほど注意が必要です。また、腎臓の機能がもともと良くない場合にはNSAIDsは使用すべきではありません。

3. 使用に注意が必要な病気をもっている人は多い

ここまでの説明の通り、胃潰瘍や腎障害のある人はNSAIDsを使用すべきではありません。これら以外にもNSAIDsを使用する際に注意が必要な病気は多数あります。

【NSAIDs使用時に注意が必要な病気】

気管支喘息

アスピリン喘息というタイプの喘息ではNSAIDsで強い発作が出ることがあります。

狭心症、心筋梗塞、心不全、脳卒中

心臓や脳の重要な血管に異常が出たり、心臓に負担をかけることがあります。

血液疾患(血小板減少性紫斑病、血友病など)

出血しやすい状態になることがあります。

これらの病気があっても医師の判断でNSAIDsを使用できるケースもあります。当てはまる人は服用前に医師に相談してください。

なお、NSAIDsに対するアレルギー反応や比較的起こりにくいものまで含めれば、副作用は他にも多数あります。

4. 妊娠中の使用は避けたほうがよい

妊娠中にNSAIDsを服用すると流産や胎児の血管異常の原因となりうることが報告されているため、妊娠中は原則的に内服を避けたほうがよいです(医師の判断で特殊なケースでは処方されることもあります)。

授乳中の服用は問題ないとするデータが多いですが、日本の製薬メーカーでは服用中の断乳を推奨しています。そのため、授乳中の人は使用前に医師に相談したほうが無難かと思います。

5. 痛み止めの正しい飲み方はあるのか

ここまでNSAIDsの服用に関する注意点を解説しましたが、どれくらいの期間ならばNSAIDsを使用しても問題ない、という決まりはありません。ただ、用法用量を守ったうえで、1週間以上くらいの期間で内服する場合には医師に相談したほうがよいと思います。

NSAIDs以外の痛み止めとしてはアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)が市販されており、副作用はNSAIDsよりマイルドな傾向にあります。アセトアミノフェンで抑えられる痛みならば、アセトアミノフェンのほうが適しているケースが多いと考えられます。NSAIDsとアセトアミノフェンの比較に関してはこちらのコラムも参考にしてください。

6. まとめ

NSAIDsが痛み止めとして素晴らしい効果をもっているのは間違いありませんが、副作用も決して少なくないということを知ってもらうために、このコラムを書きました。

伝えたいポイントをまとめると下記の4つです。

NSAIDsで胃腸を荒らさないための一番の対策は「服用量・服用回数を減らすこと」である

腎臓へのダメージもあることを知っておく

持病によっては使わないほうがいい人がいる

安易に長期使用をしない

「クスリは"リスク"」と言われることがよくあります。どんなに良い薬でも副作用の全く起こりえない薬はないからです。今回のコラムを通じて痛み止めのメリットとデメリットをよく理解していただき、痛みとうまく安全に付き合うための一助となれば幸いです。

◆参照文献

消化性潰瘍診療ガイドライン2015(改訂第2版)
薬剤性腎障害診療ガイドライン2016

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