好きな子の名前をこっそり検索、女性を下の名前で呼べない、好きでもなんでもない女性と童貞喪失......。そんな“俺らの歌”が胸を打つ理由

好きな子の名前をこっそり検索、女性を下の名前で呼べない、好きでもなんでもない女性と童貞喪失......。そんな“俺らの歌”が胸を打つ理由

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  • 更新日:2016/11/29
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掲載:M-ON! MUSIC

アーティストやグループの音楽を聴いていて、2曲(以上)の異なる楽曲において、“共通した主人公”の存在を感じたことはないだろうか。

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“忘れらんねえよ”も、そんなグループのひとつだ。しかも、1~2曲どころの話ではない。忘れらんねえよの歌の主人公は、実はたったひとりしかいないのではないか? といった極端な妄想さえ生まれてくる。

ソングライターを、「物語」の創作を得意とするストーリーテラータイプと、思いの丈をひたすらストレートに吐き出す直情タイプに分けるとするならば、忘れらんねえよのほぼすべての楽曲を手がける柴田隆浩(vo、g)は、完全に後者。

結果として、歌の主人公の人物像が、一本、軸を感じさせるものになっていくのは当然のなりゆきとも言えるが、だとしてもこのキャラクターの一貫性は、同じようなスタイルをもつソングライターの仲でも群を抜いていると言える。

そして、その主人公とは、こんな男だ。

■忘れらんねえよの歌の主人公の人物像

1.薄っぺらな“絆の歌”が大嫌い

30代、男性。バンドマン。

いまだ、ミュージシャンとして大きな成功を収めるまでには至っておらず、最近、後輩バンドがめちゃくちゃブレイク。かつて説教したことを後悔している(笑)(「寝てらんねえよ」)。
当然、ライバルバンドにも先を越されており、そのバンドが出演する日の「Mステ」を観ることができない(「バンドやろうぜ」)。
世の中に蔓延する、薄っぺらな“絆の歌”が大嫌い(「ばかばっか」)。
チャットモンチーにファンレターを書いたことがある(「CからはじまるABC」)。
堀北真希、ベッキーのファン(たぶん)(「絶対ないとは言い切れない」)。

※カッコ内は、引用元の楽曲名(以下同)。

2.ホームはつぼ八

非モテ。

好きになる女の子は、ほぼ全員、自分以外の男と付き合っている(※忘れらんねえよのすべてのラブソング)。
いわゆる恋愛偏差値の高い男(例:女性をすぐに下の名前で呼べる)になびきがちな女の子を、なぜか好きになってしまう傾向アリ(「俺よ届け」)。
おそらく楽しく遊んでいるであろう彼らを想像しながら、つぼ八で酒を飲んでいる(「CからはじまるABC」)。
スナックで意気投合した、好きでもなんでもない女性を相手に童貞喪失。結果的に深く傷つく(「ばかばっか」)。

3.振り切った恋愛観

好きになった女の子に対する思いは、純粋かつ病的なまでに一途。

好きな子の結婚が決まった場合は、“犬になって”でも、その子のそばにいたいと願っている(「犬にしてくれ」)。
経済力や見た目や若さではなく、“君を好きな気持ち”だけを評価してほしいと願っている(「愛の無能」)。
好きな女の子のメールアドレスを推理することも(ミニアルバム『あの娘のメルアド予想する』タイトル)。

4. 自分の歌で世界を変えられると信じている(信じたい)

「ばか」を自認。ゆえに、物事に迷うことがない。
ひたすら、ロックンロールと君がずっと好き。そういう「ばか」(「ばかもののすべて」)。
自称・誰も知らない名曲、多数(「眠れぬ夜は君の名をググるよ」)。
自分の音楽で、世界を変えられると信じている(信じたい)。
そんな名曲が、明日出来る予定(「この高鳴りをなんと呼ぶ」)。

■忘れらんねえよの歌の主人公は、“俺自身”だ

さて、極めて強引なロジックで突っ走ってきた本稿だが、では、忘れらんねえよの歌の主人公は、歌詞を書いている柴田隆浩その人なのだろうか? 答えはイエスであり、ノーでもある。

理由はふたつある。いくら正直な思いをぶちまけた内容であったとしても、歌詞とソングライターが完全なイコールで結ばれるほど、話は単純ではない、という当たり前の理由がひとつ。

そしてもうひとつは、忘れらんねえよの歌の主人公が、曲を聴いている“俺自身”でもあるという事実だ。誰もいない部屋に帰ってきたバンドマンが、夜中にひとりで好きな女の子の名前を検索している姿に(「眠れぬ夜は君の名をググるよ」)どうしようもなく“泣けて”しまうというのは、つまりはそういうことである。

一連のダメ男の歌が胸を打つ理由は、まさにここにある。忘れらんねえよの歌の主人公が抱えている、劣等感、喪失感、孤独、自己肯定のためのギリギリの勇気、不安を振り切っての未来に対する希望……といった感情は、決して芽の出ないバンドマンだけのものではないのだ。

極めて個人的な歌のように見えて、すべての老若男女に等しく響く、深い普遍性を兼ね備えた楽曲たち。これらを“名曲”と呼ばずしてなんと呼ぼう!? 「世界を変えんのは優等生じゃない/ばかみたいに泣いてコケにされて見下されたやつさ」(「ばかもののすべて」)という“宣言”は、決して負け惜しみなどではないのである。

そして結論。

忘れらんねえよは、世界を変えるバンドになる可能性はあるのか?
その答えは「絶対ないとは言い切れない」!

TEXT BY 千葉一郎(編集部)
PHOTO:(C) hideyuki suzuki - Fotolia.com

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