ぐっすり眠れて急成長!「スーパーホテル」が顧客満足度1位の秘密

ぐっすり眠れて急成長!「スーパーホテル」が顧客満足度1位の秘密

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/10/10
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アパ、東横インなどを抑えて顧客満足度4年連続1位

スーパーホテル(本社・大阪市西区、山村孝雄社長)は、ぐっすり眠れることにこだわり、景気の回復と訪日観光客の増加により好調なビジネスホテルの中でも、顧客満足度が突出したホテルだ。リサーチ会社J.D.パワーが発表した2017年日本ホテル宿泊客満足度調査(1泊9000円未満部門)で、4年連続1位を獲得した。

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スーパーホテルのフロント近くには枕が並ぶ「ぐっすり枕」コーナーがある

創業は1989年(平成元年)。年商は2018年3月期で314億6200万円。2002年の約42億円から一貫して伸びており、7.5倍となった。

店舗数は131で、国内に128店舗、海外はベトナムに2店舗とミャンマーに1店舗の計3店舗を展開している。02年は30店舗だったので、4倍以上になっている。

顧客単価はホテルによって異なるが、平均で7000円ほど。顧客の男女比は男性75%、女性25%。外国人顧客の比率は、全国で9%となっている。客室数は100室ほどが平均である。

アパホテル、ルートイン、東横インといった、年商では上回る並み居るビジネスホテルチェーンの強豪を抑えて、顧客満足度1位を維持している。その背景として、眠りへのこだわりばかりでなく、天然温泉の導入、朝食無料、IT活用による効率化の徹底、ロハスへの取り組み等々といった、数々の先端的な経営を行っている。

90%もの高い稼働率、70%を超えるリピート率

なぜ、スーパーホテルは顧客からの圧倒的支持を受け、90%もの高い稼働率、70%を超えるリピート率を誇っているのか。解明していきたい。

スーパーホテルは「安全、清潔、ぐっすり眠れる」をコンセプトとしている。

創業者の山本梁介会長は、元々はシングルマンション(単身者向け賃貸マンション)の経営を行っていたが、その頃多く寄せられた居住者からの苦情は、階段を昇降する音がうるさい、隣の部屋から漏れてくる声が気になるなどといった、睡眠を妨害されることに対する不満だった。

とりわけ眠りを重視しているのは、その経験がヒントになっている。

メイン顧客は国内を頻繁に出張するビジネスパーソン

山本会長は銀行の積極的な融資により順調にシングルマンション事業を拡大していたが、バブル崩壊を機に、銀行が手のひらを返したように借金回収へと動いたため、土地と建物を売り払って急場をしのぎ、新しいビジネスを始めざるを得なかった。

ホテル業に進出するにあたり、山本会長が調べたところ、ホテルは宿泊して眠る施設であるにもかかわらず、意外にも眠りにこだわったホテルが存在していないことがわかった。

異業種からの参入だったので、宴会や飲食では従来のホテルにはかなわないが、宿泊に特化したビジネスホテルならば、シングルマンションで培った眠りのノウハウを活かせると考えた。

ちょうど、ビジネスパーソンも経費が絞られて出張でこれまでのようなシティホテルを利用できなくなっていた。節約のため企業の宴会、接待も減っていた。山本会長はバブル崩壊のピンチをチャンスに変えた。

「弊社のメイン顧客は国内を頻繁に出張するビジネスパーソンです。ビジネスパーソンにとって一番大切なのは翌日の商談に成功することです。そのためには『ぐっすり眠れること』が重要と考え、コンセプトを『安全、清潔、ぐっすり眠れる』に絞りました」(スーパーホテル経営品質部・星山英子部長)

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スリッパにもぐっすり眠れるための「工夫」がなされている

滞在時間10時間を徹底的に満足させるすごい工夫

スーパーホテルでは、快眠とは眠りの長さよりも、質、深さと考えている。大阪府立大学の健康科学研究室と提携して「ぐっすり研究所」を設立。清水教永名誉教授らと睡眠を検証している。

ビジネスの顧客の大半は夜10時頃にチェックインし、翌朝8時頃に出発する。滞在時間はおよそ10時間、そのうち7~8時間はベッドの上で過ごす。そのためベッドにこだわり、幅150㎝のワイドなオリジナルベッドを採用している。

照明については、ロビー→廊下→客室と段々明るさを落とし、部屋は暗めに設定して、自然と眠りにつきやすい環境を整えている。

客室の防音にもこだわり、窓にはペアガラスを採用。ドアの四隅にゴムパッキンを付け、静音冷蔵庫を採用。その他、足もとから血流が良くなる天然鉱石を敷いた「健康イオンスリッパ」、オリジナルのヒーリング音楽が聴ける、天井に空気の浄化や湿度を調整する珪藻土を使用、壁紙には天然素材のケナフクロスを使うなど、様々な工夫がなされている。

8種類の枕、天然温泉で安眠をサポート

極めつけはフロント近くに設置している、8種類の素材や高さ、硬さが異なる枕を選べる「ぐっすり枕コーナー」だ。

ベッドには枕が設置されているが、もう1種類の好みの枕を選べることで、高いリラックス効果が得られる。8種類とは、低反発のピンク、緑、黄、茶、及びふわふわ白、チャコリーブ、ひのき、パイプ青で、特にひのきのチップを詰めたひのき枕は人気が高く、真っ先に全て貸し出されてしまう。

また、安眠をサポートするため、天然温泉の導入を進めており、半数以上の店舗に導入。天然温泉の大浴場はスーパーホテルの特徴の1つとなっている。温泉は掘るか、源泉地から温泉水をトラックで運搬している。顧客からは客室の狭いバスタブと違って、ゆったりと脚を伸ばして入浴できるので好評だ。

また、大浴場に人工の高濃度炭酸泉を導入している店舗もある。天然の炭酸泉は高温だと炭酸が抜けてしまうので、温かい高濃度炭酸泉は人工でしかつくり出せない。炭酸泉は血液の循環がよくなり、体が温まる効果がある。

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温泉を導入した切っ掛けの1つは、ドイツへの視察旅行。ドイツでは予防医学が発達しており、健康保険で各地の温泉、多くは炭酸泉に無料で入ることができる。温泉大国の日本のホテル業で、できることはないだろうかと考えた。副次的な効果として客室で使う水道代の節約にもなっている。

朝食のバイキングがすごい中身なのに「無料」

朝食バイキングが、一部の店舗を除いて無料で提供されるのも、スーパーホテルが人気の理由だ。

内容は店舗によって異なるが、20種類以上の健康にこだわった料理が並び、ご飯食もパン食もお好みで選べる。飲み物も緑茶や、コーヒーのような定番ばかりではなく、さまざまな体に良い野菜や果物の成分が入った、デトックスウォーターまでもがメニューに加えられるケースもある。

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無料の朝食バイキング

特にビタミン、ミネラルが豊富な有機JAS認証野菜のサラダ、ノンアレルギー(アレルギー特定原材料27品目不使用)・植物性ナノ型乳酸菌入りのオリジナルドレッシングを5種類用意している。ここまでするのかと驚くほどだ。

さらに納豆や調味料にもオーガニックな製品を取り入れ、地産地消のご当地産品も積極的に導入。全館で使われる水も、一部の店舗を除き、分子運動を活発化させる「MICA加工」を施した健康イオン水となっており、前出の清水名誉教授が監修している。

「エコチェックイン」で業務を効率化

ビジネスホテルとしては過剰なほど快眠と朝食にこだわり抜くスーパーホテルだが、ITを用いた思い切ったコストカットも出色である。ノーキー・ノーチェックアウトシステムを導入し、チェックインは自動精算機で行え、暗証番号で部屋を開錠。鍵を無くすことでチェックアウトを不要にしている。

最近では、フロントにタブレットを設置し、ペーパーレス化と業務の効率化を図っており「エコチェックイン」と呼んでいる。こうしたIT化によりフロント業務が軽減され、スタッフが顧客を観察して困っていることに声掛けするなど、プラスアルファの応対ができるようになった。スタッフが自分の頭で考えて、目の前の顧客に何ができるかを突き詰められる、環境が整ってきている。

IT外のアナログ面でも、客室の電話やズボンプレッサーを廃止、ベッドの脚である下の隙間を無くして清掃を簡便にする、連泊で清掃不要の場合は「清掃不要」のマグネット付ステッカーを客室の扉に掲げてもらうなどの施策で、経費を削減している。

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新しくLohasを打ち出したスーパーホテル

同社では、健康と環境に配慮したホテル、Lohasステイの確立を目指し、18年10月にオープンした「スーパーホテルPremier銀座」より、「Natural、Organic、Smart」を新たなブランドコンセプトに掲げている。

顧客が使うタブレットなどのインターフェイスに不慣れな人が使いにくい面が残り、温泉を設置するなら客室のバスタブは廃止してシャワーのみでいいのではないかと、若干の疑問点はある。

しかし、同社が快眠を突き詰めたリラクゼーション、食などに見られる健康志向、ITを活用した効率性を追求する姿勢を維持していくなら、今後も改善が進み高い成長が続くだろう。

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