ロヒンギャ問題、ミャンマーは「中国接近」でけん制

ロヒンギャ問題、ミャンマーは「中国接近」でけん制

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/11/14
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【ネピドー(ミャンマー)】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問の側近らは、イスラム系少数民族ロヒンギャへの人道支援強化を求める欧米からの圧力について、ミャンマーを中国に接近させるものだとくぎを刺した。

側近らが駐ミャンマーの欧米各国大使に述べたもので、15日に同国を訪問するレックス・ティラーソン米国務長官は、ロヒンギャ問題をめぐってミャンマー側から反発を受けそうだ。

ミャンマー政府と同国の指導者スー・チー氏に対し、米国などはロヒンギャが直面している人道危機を解決するため努力を倍加するよう求めている。ロヒンギャは同国軍による弾圧で60万人以上が隣国バングラデシュに脱出している。

ティラーソン氏は9月、ミャンマー国軍がロヒンギャの村落を焼き払っているとの各種報道を受けて、ミャンマーで「戦慄すべきことが起きている」と非難した。米議会では、国軍指導者に対する米国内資産の凍結や米国渡航禁止をうたった法案が提出されている。

国務省によれば、ティラーソン氏はミャンマー訪問中に政府および軍の高官と会い、ロヒンギャ危機への対処や、同国の民主化に対する米国の支援について話し合う意向だ。

ミャンマー国軍は、8月にロヒンギャの武装集団がバングラデシュとの国境近くの軍部隊を襲撃したのをきっかけに大掛かりな掃討作戦を開始した。同国政府は欧米の主張について、偏った報道に基づいたものだと反発している。

スー・チー氏が率いる与党・国民民主連盟(NLD)の幹部ウィン・テイン氏は欧米外交官に対し、スー・チー氏は方針を転換することはないだろうと語った。「我々は圧力にさらされることに慣れている」と話すウィン・テイン氏は、欧米の圧力が続けば、ミャンマーは「必然的に」中国にさらに接近することになると警告したという。

中国はミャンマーを最も声高に擁護している。先週には、国連安全保障理事会で欧米が目指したミャンマー政府非難決議の採択を中国が阻止。結局は拘束力のない議長声明を出すことで決着した。欧米当局者によれば、中国のほか、日本やインドなどアジア各国は、ミャンマーとの関係を現状維持する意向を示唆しており、欧米はミャンマーに対し強い影響力を持っていない。

ミャンマーの戦略的価値

ジョン・マケイン米上院議員(共和、アリゾナ州)は、ミャンマー国軍の残虐行為を理由に、軍指導者を対象とする制裁を求めている。米国が軍政時代に同国に対して科した制裁は民主化を促進するために撤廃されている。米政府当局者の中には、制裁を復活させれば同国の民主化を妨げ、欧米のミャンマーへの投資を阻害する恐れがあると懸念する向きもある。

スー・チー氏の側近は、制裁が科されればスー・チー氏と国軍の関係を悪化させ、軍指導部が支配力を強める恐れがあるとのメッセージも送っている。憲法の規定により、スー・チー氏は国軍を統制しておらず、軍が国防省など重要省庁の多くを掌握している。側近らによれば、スー・チー氏の優先事項は軍と協力関係を保ちながら、全面民主化に向けて憲法改正など長期的な目標を達成することだ。

西側の一部では、欧米諸国がロヒンギャ危機をめぐりミャンマー政府への対応を硬化していることで、中国に地政学的な強みを与えることへの不安も生まれている。

中国にとってミャンマーは戦略的価値が大きい。ペルシャ湾岸諸国産の天然ガス・原油は、ミャンマー経由のパイプラインで中国・雲南省に輸送されている。また中国主導の共同事業体は、ミャンマーでの港湾開発プロジェクトについて政府との交渉の最終段階にある。受注に成功すれば、同プロジェクトは中国が提唱する「一帯一路」構想の中の重要インフラ事業になる。

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