所得税改革 国民が納得する見直しか

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/12/07

2018年度の税制改正の骨格が固まってきた。焦点は、国民の家計に直結する所得税改革で、与党税制調査会の調整も最終局面に入った。

具体的には、会社員の必要経費的存在の給与所得控除、納税者全てに適用される基礎控除、年金受給者が受けられる公的年金等控除を見直すという。年収800万円超の会社員を増税とする方向だ。

所得がある程度高い会社員に負担をしわ寄せする印象が拭えない。増税とする会社員の年収はこれが妥当なのか。当初は1千万円超ともされていた。所得税は家計収支や個人消費も左右する。国民が納得できる説明を求めたい。

所得税改革は、世代間の公平や所得再配分に加え、家族構成や働き方など社会の変化に対応する必要がある。17年度改正では働く女性の増加に合わせ、配偶者控除を見直したが中途半端に終わった。

今、議論されているのは年収から一律38万円を差し引く基礎控除を増額し48万円にする一方、給与所得控除と年金控除を一律10万円減らす案だ。基礎控除の拡大で低所得者層や子育て世代の負担を軽くし、給与所得控除がなかったフリーの技術者など企業の請負で働く人の増加に対応したという。

注目すべきは給与所得控除の見直しだ。現在、収入に応じ年収1千万円超で220万円を上限に控除が受けられる仕組みを、年収800万円超は190万円の控除を上限にする方向だ。年収800万円超の人は、基礎控除の増額幅より、給与所得控除の縮小幅が大きくなり、増税となる。

政府は、三つの控除見直しで約1千億円の税収増を見込んでいるという。その負担の多くを中堅以上の会社員に求める。結果、働く意欲や活力をそがないか心配だ。住宅ローンや子供の学費に追われる家計に過度の負担増は禁物だ。

格差是正を目指すなら、税負担の軽減額がどの所得層でも一定になる税額控除や、富裕層の株式譲渡益など金融所得への課税強化をもっと検討すべきではないか。税制改正は国民の納得が大前提だ。

=2017/12/07付 西日本新聞朝刊=

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