麺、モツ、焼餅、豆乳スープ...... 台北朝ごはんハシゴ作戦の一部始終

麺、モツ、焼餅、豆乳スープ...... 台北朝ごはんハシゴ作戦の一部始終

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  • 更新日:2018/09/25

vol.33 台北(2)

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前回は、充実した台湾朝飯事情を堪能した。しかしその感動をいうと、「いやまだ甘い。僕の行きつけに連れて行こう」というご仁が現れた。欧米人以外で初のバリスタチャンピオンとなった、台湾人、James Chen氏である。

最初に訪れたのは、路地に佇む屋台であった。ベンツ、レクサス、ポルシェ。なぜか高級車が通り抜ける路地にある。高級車は時折前に停まって、テイクアウトする。しかしその麺料理は、一杯100円である。

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店名もない。注文が入るとおばちゃんが、それぞれ注文の肉を切り、米粉麺とスープが入った鍋で温め、取り出し、麺とスープを入れ、揚げ葱を乗せ、肉を別皿に盛る。

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この作業が、営々と続けられている。肉を茹で置きにしないのが、店の特長で、そのため肉から味が抜けてない。スープに入った芹菜(中国セロリ)が、なんとも素敵な香りのアクセントをつけ、ほんのりと甘いスープを引き締めている。

肉は、最初がレバー周りの肉、次がハツと唇周りの肉の盛り合わせ、そして腸の盛り合わせ(大腸、小腸、直腸)を注文した。

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中でも唇周りが面白い。コラーゲン質のプルンとした食感と、ふんわりと歯が包まれる肉の食感が入り交じって、噛み締めた瞬間に、なにかいけないものを噛んだ気分になる。

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柔らかい生地を折り畳む職人技

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さて、内臓と麺を食べ終えた一行は、豆乳屋に向かう。こちらも看板がない。恐らく店前にぶら下がったボロキレに書かれているのが、店名か? 店先では、おっちゃんが一人、焼餅の生地を千切り、伸ばし、畳み、成形し、焼いている。

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柔らかい生地を、何回も折り畳むのは至難の技だが、彼は瞬く間にやってしまう。もし日本のパティスリーに勤めれば、高給は間違いない、仕事の的確さと早さである。

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焼餅(シャオピン)は、何層にもなっていて天使の羽根のように軽い。パートフィロ(例えが焼餅には失礼だが)のようである。パートフィロは、小麦粉にバターを練り込んで、何回も折り畳むが、こちらは小麦と油を混ぜた玉をいくつか入れて生地を作る。

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人間の智慧と言うのはたいしたものだなあと思う。この焼餅と、あっさりとした味わいの豆乳が実に合うのである。

この店で豆乳心に火がつき。もう一軒いこうという話となった。

パリンとした皮と肉あんの マリアージュ

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その店、「青島豆漿店」にも、熟練の焼き職人がいた。

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焼いている職人の目力が凛々しい。肉餅担当の父は、常に焼き具合に目を凝らし、取り出しては位置を変え、取り出しては裏返す。それを延々と続けている。

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「肉餅」は、焦げ工合が均等で、パリンとした皮と、噛み応えのある肉あんとの対比が美しい。

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息子が作る「野菜餅」も、表皮がパリンとしているが、より軽く、割って見れば、上質のクロワッサンのように、何層にもなった生地と空洞が浮かび上がる。

決していい油を使っているわけではないが、油っぽさは微塵もない。甘い味付けの「甜餅」も、密かに入れられたアミの塩気が、緩やかにうま味を膨らましている。

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生姜が効いた「大根餅」、卵を挟んだ「焼餅蛋」も楽しい。

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あとは、昔ながらの微かな焦げ臭が漂うシンプルな豆乳スープの「鹹豆漿」を頼み、餅と交互に食べるのを楽しむだけである。あるいは、たっぷり油條を浸して食べてもいい。

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豆の香りが身体に満ちて、静かな朝から賑やかな昼へと頭が巡る。

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しかし満腹団はコレでは終わらない。今朝もついに4軒目に突入である。

饅頭店が写真撮影を 拒否した理由は?

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今度は、饅頭屋である。肉まん、野菜まん、餡まんが店頭で次から次へと蒸し上げられている。もう店頭に立つだけで、幸せが押し寄せる。

その光景を写真を撮ろうとしたら、「ダメ。ダメ」と、大声で怒鳴られた。

ああなるほど、秘伝の技術流失を恐れているのか。そう想い、Jamesに聞いてみた。

すると彼は笑って「違う」という。

なんでも人気の当店は、国税局に過少申告しているために、これだけ作って売れている写真を撮られたくないのだという。

これもまた、台湾なのであった。

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マッキー牧元(まっきー・まきもと)

1955年東京出身。立教大学卒。(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く。「味の手帖」 「銀座百点」「料理王国」「東京カレンダー」「食楽」他で連載のほか、料理開発なども行う。著書に『東京 食のお作法』(文藝春秋)、『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)、『ポテサラ酒場』(監修/辰巳出版)ほか。<

文・撮影=マッキー牧元

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