『この世界の片隅に』セオリー逸脱でドラマ超越の奇跡的傑作...松本穂香、降臨

『この世界の片隅に』セオリー逸脱でドラマ超越の奇跡的傑作...松本穂香、降臨

  • Business Journal
  • 更新日:2018/07/17
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今クールの連続テレビドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)の第1話が15日、放送された。

同ドラマの原作は累計販売部数120万部を誇るベストセラーマンガ(著者:こうの史代、発行元:双葉社)で、2016年にはアニメ映画化され観客動員数200万人を超える大ヒットとなっており、今回、TBSは局の看板ともいえる「日曜劇場」枠で満を持してドラマ化に挑む格好となった。第1話を見た感想について、映画業界関係者は語る。

「映画版にはなかった榮倉奈々が登場する現代パートを冒頭に持ってきたというのは、いい意味で視聴者を裏切るかたちになっており、戦時中という“過去の物語”と“現在”をうまくつなげ、視聴者とドラマの距離をぐっと近づける効果がありました。今後、その“過去と現在”がどのようにつなげられるのかというのも、見どころの一つになってくるかもしれません」

第1話では、主人公の浦野すず(松本穂香)の幼少期から北條周作(松坂桃李)と結婚するところまでが描かれ、時代は太平洋戦争真っただなかという設定だ。

「第1話では、現代パートが挿入されている部分以外は、映画版と異なる内容はほとんどなく、映画版に忠実に則っていたともいえます。ただ、映画版ではすずの幼少期から結婚までの部分は、時間も短く非常に速いスピードで一気に描かれていた一方、ドラマ版では約90分の第1話が丸々使われており、非常に丁寧に描いているという印象を受けました」(同)

そんな同ドラマについて、非常に気になった点があると別の映画業界関係者は語る。

「通常、戦争モノのテレビドラマでは、たとえば新聞やラジオが戦況を伝えるシーンや、当時の実際の映像などが挿入され、戦時中だということを視聴者に見せて臨場感を煽るような演出がなされますが、第1話ではほとんどそういうシーンはない。制作サイドが何か意図を持ってあえてそうしたシーンを排除していると感じました。映画版同様に、あくまで“市井の人々の生活”を描くという強い姿勢を感じましたが、戦争モノのドラマのつくり方としてはセオリーを逸脱しているともいえ、制作サイドのチャレンジングな姿勢は評価できます。これによって、第2話以降のどこかで、登場人物たちの生活のなかに突然“暴力的に”直接的に戦争を描くシーンを介入させることで、戦争の悲惨さをよりいっそう視聴者が感じられるような効果が出てきます。そういう意味では、極めてメッセージ性の強い作品ともいえるでしょう」

また、キャスティングについてこう評価する。

「正直に言って、ドラマが始まる前までは、松本穂香と松坂桃李の2人はイマイチ“線が細く”てパッとしないのではないかと危惧していましたが、第1話をみた限り、キャスティングは大成功です。まず主演の松本ですが、女優としては世間的な認知度が低く、いい意味で“色”に染まっておらず素人っぽい感じなので、視聴者との“距離”がぐっと狭まり、見ている側は親近感を持って主人公に感情移入しやすい。また、そもそも松本のキャラクターが主人公のすずに完全にハマっているのも、ドラマとしては貴重な要素です。松坂も抑制された演技が素晴らしいですし、他の俳優陣もみな役にハマっていて、違和感を感じることなくドラマを見ることができます」(同)

では、全話通じた視聴率的には、どういう結果になると予想されるであろうか。

「雰囲気やテイストが非常にNHKの朝ドラっぽく、ゴールデンタイムの連ドラでは珍しい物語でもあり、さらにそれなりに感動させられるシーンも散りばめられているため、50代以上の視聴者をがっちりとつかめる可能性の高い。また、キャスティングや演出、脚本、そしてドラマ全体のトーンなどすべての要素が奇跡的に調和し合い、相乗効果を生んでおり、傑作といっていいと思います。かなりいい数字が期待できるのではないでしょうか。あとは、松本がどれだけ同性の視聴者に受け入れられるかに、かかっているといえるでしょう」(同)

果たして視聴者は、このドラマをどう評価したのか。第1話の視聴率が注目される。
(文=編集部)

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