イオンもヨーカ堂も赤字低迷。何が総合スーパーを殺したのか?

イオンもヨーカ堂も赤字低迷。何が総合スーパーを殺したのか?

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  • 更新日:2018/06/18
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先日、総合スーパー主要8社の17年度決算が出揃いましたが、各社とも苦戦を強いられている状況が数字となって表れました。何が総合スーパーを追い詰めているのでしょうか。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では、著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんがその原因を探るとともに、各社が進める「苦境打開策」を紹介しています。

総合スーパー(GMS)の苦境が鮮明。ネット通販やドラッグストアが包囲

17年度の総合スーパー(GMS)主要8社の決算が出そろいました。各社苦境が鮮明になっています。

イオンリテール:2兆1,978億円(前年度比0.6%増)

イトーヨーカ堂:1兆2,442億円(同0.9%減)

イズミ:7,298億円(同4.0%増)

ユニー:7,128億円(同3.9%減/日本基準)

平和堂:4,381億円(同0.1%増)

イズミヤ:2,328億円(同9.7%減)

イオン九州:2,320億円(同1.8%減)

イオン北海道:1,866億円(同1.2%増)

主要8社のうち4社が減収でした。残りの4社は増収でしたが、イズミを除き、ほとんどが微増にとどまっています。イズミは4.0%の増収でしたが、熊本地震の被災による休業店舗の営業再開や店舗数の増加が大きく影響したためで、既存店売上高(単体)は0.8%減となっており、1店1店の稼ぐ力は低下しています。

イオンリテール

業界最大手のイオンリテールの業績は厳しい状況にあります。全社売上高は0.6%増とわずかに増収となりましたが、既存店売上高は1.4%減っています。また、322億円の特別損失を計上したことにより純損益は169億円の赤字(前期は73億円の黒字)となりました。

イトーヨーカ堂

業界2位のイトーヨーカ堂も厳しい状況です。全社売上高は0.9%減少しました。既存店売上高は、衣料品の売り上げが大きく落ち込んだことが影響し、0.9%減となりました。また、17年度末の国内店舗数は前年度末から全体の4%にあたる7店舗が減っており店舗数の減少が続いています。そして純損益は58億円の赤字(前年度は137億円の赤字)となりました。不振に陥ったヨーカ堂を立て直すため、親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は16年10月に、ヨーカドーなど約40店を閉鎖する構造改革案を発表しています。

なお、ヨーカ堂はイズミと手を組み、共同仕入れや共同出店を行っていくことで経営の効率化を図る考えです。ヨーカ堂は関東地方が地盤の一方、イズミは中国・九州地方を地盤としているため、棲み分けができるとみています。

総合スーパーが苦戦している一つの要因として「衣料品の不振」が挙げられます。先述したとおり、ヨーカ堂が減収になったのは衣料品の不振が大きく影響したためです。

ヨーカ堂の17年度の衣料品売上高は前年度比9.2%減と大きく落ち込みました。イズミの衣料品売上高は3.6%増と増収でしたが全社売上高の伸び(4.0%増)よりも低い状況です。中部地方が地盤のユニーは3.1%減、滋賀県が地盤の平和堂は3.4%減、近畿地方が地盤のイズミヤは10.4%減となっており、各社で大きな落ち込みを見せています。イオンは不振に陥った総合スーパーの衣料品部門を専門会社として分社化することで立て直しを図る方針を示しています。

こうした状況を反映するかのように、家庭の衣料品に対する支出は減っています。総務省発表の家計調査によると、被服及び履物の2人以上世帯の1世帯当たり消費支出は17年が13万7,673円で、10年前と比べると16.5%減っています。ファストファッションの普及が進んだことで衣料品の価格が低下したほか、消費の多様化で衣料品の支出を減らして衣料品以外の支出を増やす消費者が増えたことなどが影響しました。そうしたなか、ゾゾタウンなど衣料品ネット通販が台頭したことなども影響するようになり、総合スーパーでの衣料品販売が苦戦するようになったのです。

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ネット通販市場は大きく拡大しています。経済産業省によると、17年の物販の電子商取引(EC)の国内市場規模は前年比7.5%増の8兆6,008億円で大きく伸びています。物販のうちネットを介して売買される比率は5.8%で年々上昇しています。アマゾンや楽天市場、ロハコといったネット通販で物を買う人が増えており、総合スーパーから客を奪っているといえるでしょう。

総合スーパーは軒並み苦戦する一方、食品スーパーは好調です。イオン傘下のマックスバリュは地域会社が6社ありますが、17年度の売上高は6社中4社が増収でした。首都圏を地盤とするマルエツとカスミ、マックスバリュ関東の3社が共同で設立したユナイテッド・スーパーマーケットHDが前年度比1.1%増の6,922億円、近畿・関東地方が地盤のライフコーポレーションが3.8%増の6,777億円、北海道・東北地方が地盤のアークスが0.3%増の5,139億円と多くが増収を達成しています。

生活する上で欠かすことのできない食品は衣料品などと比べて需要が安定的であり、また、商品の特性上ネット通販に代替されにくいという側面があります。

ドラッグストアとの競争も激化しています。経済産業省発表の商業動態統計によると、16年のドラッグストアの販売額は前年比6.8%増の5兆7,258億円でした。17年度の大手各社は軒並み大幅増収を達成しており、ウエルシアHDが11.6%増の6,952億円、サンドラッグが6.8%増の5,642億円、マツモトキヨシHDが4.4%増の5,588億円、スギHDが6.1%増の4,570億円、ココカラファインが3.6%増の3,909億円となっています。ドラッグストアは医薬品はもちろんのこと、日用品や食品の品ぞろえも強化しており、総合スーパーの大きな脅威になっています。

苦境が続く総合スーパー。もちろん、各社は手をこまねいているわけではありません。イオンリテールは2020年をめどに、総合スーパーで販売する商品分野ごとに専門会社を設立し、専門性を高めて成長を図る考えです。また、総合スーパーを補完・代替するための業態店の展開も強化しており、高齢化や人口の都心回帰に対応する形で、市街地の徒歩で行ける場所に小型食品スーパー「まいばすけっと」や「アコレ」の出店を推し進めています。総合スーパーでは対応できない層の取り込みを図る考えです。

まいばすけっとは一般的なコンビニエンスストアと同程度の広さの店舗にスーパーの品ぞろえを凝縮させています。東京と神奈川に集中出店しており、18年2月末時点で約680店を展開しています。1年前から約40店増えました。近年店舗網を拡大している状況です。アコレはコンビニの倍程度の広さの店舗でスーパーの品ぞろえを展開しています。東京と千葉、埼玉に集中出店しており、18年2月末時点で約120店を展開しています。

ユニーは総合ディスカウントストアのドン・キホーテと連携し、傘下の総合スーパー「アピタ」及び「ピアゴ」をドンキの手法を取り入れた新業態「MEGAドン・キホーテ UNY」への転換を進め、立て直しを図っています。また、ユニー親会社のユニー・ファミリーマートHDは小型食品スーパー「miniピアゴ」を展開し、都市部の需要の取り込みを進めています。東京と神奈川に集中出店し、18年2月末時点で約80店を展開しています。

総合スーパー各社は立て直しに躍起です。はたして総合スーパーは立ち直るのか。それとも、他の業態に取って代わられてしまうのか。今後の展開に注目が集まります。

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