グーグル、「多様性」全社会議の中止と背景

グーグル、「多様性」全社会議の中止と背景

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/08/12
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米アルファベット傘下のグーグルは10日、従業員の多様性(ダイバーシティ)を巡る会社方針を批判したエンジニアを解雇した問題について、全従業員参加の会議を予定していたが、直前に開催を中止した。

グーグルのスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は従業員に宛てた電子メールで、従業員が自分たちの安全上の懸念を訴え、タウンホール(対話)形式の会議で質問者の名前が露見することを心配したため、この会議を中止したと述べた。

同社のソフトウエアエンジニアのジェームズ・ダモア氏は、「ハイテク企業の従業員の性別による格差は、男女の生物学的違いで説明できる」などと主張するメモを執筆して配布。グーグルはメモを問題視して今週初めに同氏を解雇したが、その直後、ピチャイCEOは会議の開催を決めた。

グーグルによるダモア氏の解雇は社内だけではなく全米でも物議を醸し、同社のダイバーシティプログラムとそれに対する保守的な見方には不寛容なのかなど議論が活発化した。

グーグル従業員へのインタビューや非公式な調査によると、ダモア氏の解雇をめぐっては社内でも意見が分かれている。

グーグルの経営幹部はダモア氏の立場を十分に非難しなかったという従業員もいれば、同社の経営陣や同僚の間にはリベラル偏向があるため、多様性問題をオープンに話し合うのは難しいという意見もあった。ある従業員はダモア氏解雇に対する自分の上司の反応を見て、「中道よりも左寄りでなければ、いかなる考え方も歓迎されないということが明確になった」と述べた。

ハイテク業界は圧倒的にリベラル派が多いと見られている。しかし、こうしたさまざまな反応を見るとハイテク企業の従業員にも多くの保守派やリバタリアン(自由至上主義者)がいるということが分かる。

ある従業員によると、7万6000人近いスタッフを抱えるアルファベットでは、ダモア氏の解雇が接戦だった昨年の大統領選挙でむき出しになった感情を燃え上がらせており、自分の考え方は他の従業員と比べてどうかを試すものとなってきた。

10日に予定されていた全世界のグーグル従業員会議では、経営幹部が投票で選ばれた従業員からの質問に答えることになっていた。獲得票数上位の質問が採用されるはずだった。

従業員によると、8日の時点で得票数が多かった質問のいくつかには、今回のメモやそれがもたらした結果に対する広範な意見が反映されていた。このメモを批判したことでネット上で嫌がらせを受けている女性従業員をグーグルはどのようにして守るつもりかという質問や、グーグルは多様な求職者のために採用基準を下げるのかという質問もあった。同社で保守派が歓迎されていないことへの不満が込められた質問もあった。報道機関へのリークに対するグーグルの今後の対応策を問うものもあった。

内情に詳しいある人物は上位の質問をもう1つ付け加えた。「同社全体の採用基準は人種も性別も関係なく、1つしかないということをどうすれば明確にできるのか」

ある従業員は社内に「確実に入り混じった感情がある」と述べた。「あらゆる政治的考え方を持つ従業員がいるが、怒りの感情は右派左派の両極端にあり、中道では比較的正気が保たれている」

この従業員によると、社内の穏健なリベラル派は今回のメモが女性従業員の権利を脅かすとは思っておらず、穏健な保守派はダモア氏が解雇されたからといって自分の考えを表明できないということにはならないと考えている。

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