日本のヤバすぎる「コロナ無対策」、これじゃ高齢者が「国に殺される」

日本のヤバすぎる「コロナ無対策」、これじゃ高齢者が「国に殺される」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/08/02
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新型コロナウイルスの感染者が増加しているにもかかわらず、政府は経済再開を急いでいる。東京都の小池知事も、営業自粛要請には踏み込もうとしない。「自粛要請が必要ないからやらない」のではなく、「休業補償のための財源がないからできない」というのが実情だ。

「高齢者は見捨てて、若者だけで経済を回す」という「悪魔の戦略」の考えが、日本で徐々に広がっているように思えてならない。

これまで行なわれた政策の検証を行ない、今後の政策を効果的なものとすることが必要だ。

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photo by Gettyimages

急ぎすぎた経済再開で感染者が増加

一時減少した新型コロナ感染者数が、再び増えている。東京都だけでなく、大阪府などでも増えている。

検査数が増えているからだというのだが、それだけが原因とも思えない。感染者の大部分が若年者だというが、最近では高齢者も増えている。

これが第二波なのかどうかは別として、安心できない状態であることは間違いない。外出規制や営業自粛などを緩和したために感染者が増加していることは、ほぼ明らかだ。

経済再開を急ぎすぎたアメリカやヨーロッパで起こっているのと同じことが、日本でも起きているのだ。

だから、人と人との接触をできるだけ回避すべきだ。 実際、東京都の小池知事は、「4連休は、特に高齢者や持病のある方々はできれば、できるだけ外出を控えてもらいたい」と呼びかけた。

医療機関の状況も、少し前には問題ないと言われていたが、楽観できない状態になりつつある。

総じて、現在の事態は放置できないとのメッセージが、さまざまなところから発せられている。

政府は感染拡大に無関心になった

ところが、小池知事は、自粛要請をしようとする姿勢は見せていない。6月2日に東京アラートを発出して警戒を求めたものの、9日後の同11日にはアラートを解除し、翌日にカラオケ店など遊興施設への休業要請を解除した。19日には接待を伴う飲食店への休業要請も解除した。

7月2日「都内は『感染拡大要警戒』の段階にある」と呼び掛ける一方、現時点での休業要請などの措置には否定的な姿勢を示した。4月頃とは大きな違いだ。

政府は、現時点で緊急事態宣言の再発令には消極的だ。医療提供体制に余裕があるためとしている。菅義偉官房長官は7月13日の記者会見で、「直ちに緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない」と重ねて述べた。

その半面で、緊急事態宣言を全国で解除した5月25日以降、段階的に自粛要請を緩和し、社会経済活動を引き上げてきた。

6月19日に、都道府県の境をまたがる移動の自粛を全国で緩和した。イベントやコンサートの会場では、1000人を上限に観客をいれることを認めた。

7月10日からは、上限を5000人に緩和した。さらに、これまで無観客としてきたプロスポーツについても、5000人まで観客を入れて試合を行えるようにした。

このように、経済行動を規制しようとする動きはほとんどなく、逆に、緩和の方向に動いている。

しかし、だからと言って、安心して出歩いてよいとの保証があるわけではない。これでは、「政府は、感染拡大に無関心になった。国民を見捨てた」と言われても、仕方がない。

「財源がないから自粛要請できない」

なぜ行動規制や営業自粛要請に消極的なのか? 「それらが必要ないから」というわけではない。

「4、5月に行なわれたような規制を繰返すのは犠牲が大きすぎる」と言われる。しかし、経済再開を急ぎすぎて手遅れになれば、もっと大きな犠牲が求められるだろう。

「必要なのだが、休業補償のための財源がないからできない」というのが、実際には最大の理由だ。

これは、東京都の場合は明らかだ。東京都は、新型コロナウイルス対策に、休業要請に応じた店への助成金など1兆820億円を充ててきた。しかし、財源となった助成調整基金が、3月時点の9350億円から807億円まで、大幅に減少している。

現在の日本の制度では、地方自治体ができることには限度がある。

しかし、この点において、国は地方と異なる立場にある。国はやろうと思えば、国債発行によっていくらでも財源を調達できる。

国がこれ以上の財政支出に消極的なのは、これまでの巨額の支出に恐れをなして、思考停止に陥っているからだ。

スウェーデンでは死亡率が著しく高い

上で、「政府は国民を見捨てた」と言った。この言い方は正確でない。正確には、「高齢者と基礎疾患保有者を見捨てた」というべきだ。なぜなら、若年者は、新型コロナに感染しても軽症で済む場合が多いからだ。

「高齢者と基礎疾患保有者を見捨てる」という考えは、ある種の合理性を持つものだ。仮に個人の尊厳という考えを一切捨て去り、人類全体、あるいは国家全体の存続可能性だけを目的とするなら、これが最も効率的な方法だからだ。

これについては、5月13日公開の「コロナ長期化、日本政府は『高齢者を見捨てない』と約束できるか?」で書いた。

このような考えを実際に採用した国もある。それが、スウエーデンだ。都市封鎖をせず、「集団免疫」の獲得を目的とした。これは、人口の6割以上が自然感染して抗体を得れば、ウイルスに打ち勝つという戦略だ。

しかし、この戦略がもたらしたものは、著しく高い死亡率だった。しかも、死者の9割は70歳以上だ。

それにもかかわらず、集中治療室に運ばれた患者のうち70歳以上は約22%、80歳以上は3.5%しかいなかった。つまり、高齢者の多くは、集中治療室に運ばれずに死亡したのだ。これは、医療崩壊を防ぐために、「高齢患者をむやみに病院に連れて行かない」とのガイドラインがあったからだと言われる。

「命の選別」が行なわれたわけだ。

「コロナ長期化、日本政府は『高齢者を見捨てない』と約束できるか?」において、「日本ではスウェーデンの戦略は採用しないと確約できるか?」と書いた。

いま、悪魔の戦略の考えが、日本で徐々に広がっているように思えてならない。

政策の見直しで、できることは多い

地方自治体の場合、「営業自粛要請が必要なのだが、財源がないからできない」というのは、厳然たる事実だ。

こうした事実を前に、「だからできない」というのでなく、知恵を絞ってさまざまな方途を探るべきだ。

その1つは、風俗営業法や食品衛生法などを感染拡大防止に使う方針だ。営業自粛を要請するのでなく、必要な対策を取らない店を処罰する。

7月24日には、警視庁が風俗営業法に基づき、新宿や池袋のホストクラブやキャバクラなどへの立ち入り調査を実施した。

こうした方法は、経済的観点からすれば、「少ない財政支出で目的を達成する」という意味で、正当化できるものだ。これが法律的な観点から正当化できるものか否かの検討が必要だろう。

また、全国一律でなく、特定の場所だけに限った営業自粛要請を行なうことも考えられる。

東京の場合、感染が拡大しつつある地域や業種はかなり特定できている。だから、こうした地域に営業自粛要請を限定化すれば、補償を行なったとしても、財政支出を抑えることが可能だろう。

無駄な支出をやめにしよう

もう1つは、これまで行なわれた政策の検証を行ない、それを参考として今後の政策を効果的なものとすることだ。

例えば、12.9兆円という巨費を投じて行なわれた特別給付金がもたらした結果だ。

5月の家計調査を見ると、勤労者世帯の実収入が、これによって対前年比で1割程度増えている。勤め先からの経常収入も減らず、また(企業の業績が悪化しているにもかかわらず)ボーナスもかなり増えているため、それに特別給付金が上乗せになって、このような結果となったのだ。

つまり、勤労者世帯を平均値で見る限り、特別給付金は、「収入の減っていない世帯の収入をさらに増やした」という結果をもたらしたことになる。

6月には、特別給付金の支給が本格化するので、勤労者世帯の実収入は対前年比で4割程度増加する可能性がある。

平均値で判断する限り、特別給付金は過剰だったといわざるをえない。収入の状況に関わりなく一律に給付したため、このような結果となったのだ。

10万円定額給付に先立って決められていた30万円給付案は、約1300万世帯を対象にしたもので、約4兆円の支出が想定されていた。ところが、10万円定額給付に変更したために、費用は12兆8803億円となり、9兆円近い増加となった。

これは、東京都のコロナ対策費の8倍を超える。仮に10万円定額給付の「過剰支出」を取りやめにして東京都に回すことができるなら、これまでの対策費の8倍を支出することができる。

このように、これまでの政策の評価を行ない、その結果に基づいて、財源を効果的に用いる見直しが必要だ。

最後に必要なことは、無駄なことや感染を拡大する危険があるような事業には、財政支出を行なわないことだ。

前者の典型が、布マスクの配布だ。後者の典型が、「Go To トラベル」だ。感染が拡大しつつあるにもかかわらず、見切り発車した。その後もキャンセル代を国が補償するなど、迷走を続けた。

もっとも理解できないのは、「観光業者を救済することが必要なら、直接に補助すればよいものを、なぜ旅行を促進することで助けようとするのか?」ということだ。

「Go To トラベル」は、さまざまな意味で、観光業のためにはならないのではないだろうか? 事業の委託先に委託料を支払うことが目的ではないかとさえ思えてくる

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