ThinkPadが目指す「ハイブリッドワーク時代の姿」とは? 大和研究所が解説

ThinkPadが目指す「ハイブリッドワーク時代の姿」とは? 大和研究所が解説

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  • 更新日:2022/08/08
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レノボ・ジャパンは7月29日、神奈川県横浜市のみなとみらい地区にある開発拠点“レノボ大和研究所”の開発成果を発表。新しい「ThinkPad X1」「ThinkPad X13s GEN 1」「ThinkPad Z GEN 1」の進化ポイントと開発背景、採用したイノベーションについて説明した。

2022年のX1はカメラが進化

X1では主にカメラ画質の高品質化に取り組んだ。同社の調査では、2018年から2021年の3年間でオンライン会議の利用率が約2.6倍に増加した。これを重視し、リアルで対面しているのと遜色なく表情/感情を伝えたいというニーズに応えたいと考えているという。

カメラの設計は、3つのポイントで進化を遂げた。

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カメラの進化の3つのポイント。説明会から抜粋

1点目は、RGBカメラとIRカメラを分離したこと。これによりカメラ映像の低ノイズ化が進んだ。

2点目は、より表情を伝えやすくするため、カメラの解像度をフルHD化し、F2.0と明るいレンズを採用したこと。

3点目は、映像データを圧縮しないMIPI接続を採用した点。従来のThinkPadのカメラは、ISP(Image Signal Processor)と呼ばれるプロセッサーを採用しており、映像データを圧縮していたため、画質処理に制限があった。新モデルでは、高速インターフェース規格のMIPI接続を採用し、Intel IPUとの直結による映像処理で高解像度化を果たしている。

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画像は旧モデル(左)とフルHD化した新モデル(右)の比較。解像度が向上してモヤが少なくなり、色彩もあがった

また、2つのレンズを同時に隠せるプライバシーシャッターを搭載するなど、物理的なカメラ機構そのものも進化している。

AI/MLテクノロジーを活用した省電力化なども実現した。人勧センサーは、「マスク着用」でも反応するうえ、「PCの前を通過」するだけでは反応しないセンシング技術を取り入れた。また、PCの利用状態を検出することで、未実装の製品と比べて5%の消費電力削減を達成した。

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AI/MLテクノロジーの活用では、世界中での利用を想定し、人種や性別など多様性を踏まえた合計400万枚以上の画像をAI/ML学習に使用したとのこと。開発にあたって、実証実験の結果を共有しながら、製品保証・品質保証チームと共に評価基準を策定し、製品化に向けてブラッシュアップを行なっている。

ほかにも、寝そべり状態での顔の傾きや部屋の明るさと、人形やTシャツの柄などに反応する誤判定問題も本モデルから対応している。

ハイブリッドワークを意識したX13s

X13sは、ThinkPadシリーズで初めてArmアーキテクチャーを搭載した(Windows on ARM)ノートPC。すなわち、Windowsが動作するノートPCでありながら、SoCにスマホなどで使われるSnapdragonを採用している。本機は、ハイブリッドワークでの使用を前提としており、開発にあたって次の3つのポイントを柱に据えた。

・実利用環境でも1営業日以上のバッテリーライフの確保 ・場所を問わず5G回線に常時接続可能な環境の提供 ・高いレベルの携帯性と高品質なコラボレーション体験の実現

説明会では、バッテリーライフの確保についてフォーカスした。

省電力化にあたって、ARMアーキテクチャーの2つのコア(Big Core/Little Core)のうち、低消費電力コアのLittle Coreに注目した。2つのコアは作業負荷(ワークロード)によって切り替わるので、SoCのパワーのパラメーターをチューニングし、Little Coreの利用対象を拡大、オフィスユース向けに最適化したという。

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画像右下がSoCパラメーターの調整前後のイメージ

最適化の結果、オフライン動画再生で約28時間、Microsoft Teamsの音声会議は約14.6時間、Microsoft Teamsのビデオ会議は約7.4時間の駆動を実現したとのこと。

他社のWindows on ARMのPCと違いX13sは、従来のThinkPadシリーズ(x64系)で採用していた「トップクラスの電力効率」「バランス」「最適なパフォーマンス」の3つのパワーモードを備える。

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「最適なパフォーマンス」では、膝上での利用時に発熱を抑制する仕組みを実装している

また、元来エンタープライズ向けではないSnapdragonに、ThinkPadブランドとして企業や組織向けの機能を適用することも必須だったという。

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企業向けのセキュリティ機能や管理機能を考慮して開発を進めた。また、従来のThinkPadと操作感や周辺機器の互換性も重要とした

エンタープライズ向け機能実装にあたって、従来のThinkPadシリーズで使われてきた200以上の機能群の優先順位を検討した。その後、Snapdragonの開発元であるQualcommとの間で、X13sに必要となる機能をすり合わせた。また、表化ツールの互換性も検討し、Qualcommとも同等の評価が可能となるよう評価方法も再構築したという。

懸念要素の一つであるアプリケーションの互換性は、80%以上(2022年5月時点)としている。なおレノボは、QualcommとMicrosoftとの協業のもと、ユーザーからのフィードバックと検証結果を踏まえて互換性の向上に努めているとのこと。

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企業などで使用頻度の高いおよそ100のアプリケーションを社内調査結果に基づいて抽出し、検証を実施した

伝統と革新のZシリーズ

Zシリーズは、「次の30年を見据えた新シリーズ」として品質などのThinkPadシリーズのコアバリューをそのままに、モダンデザインや新たな体験への挑戦を取り入れて新規層にも訴求するシリーズだ。

デザインコンセプトは、「シンプルかつ正直な形状」として、面を最大限に活用し、薄く見せるのではなく実際に薄いという2点を意識した。

これに基づいた実際のデザインは、ディスプレー対ボディー比約92%、エッジトゥエッジのフルサイズのキーボードなどを実現している。

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主なモダンデザインのポイント

ポインティングデバイスは、ThinkPadシリーズならではのTrackPointだけでなく、新規ユーザーに向けてタッチパッドも進化している。

タッチパッドは、横幅120mmの超大型ガラス製タッチパッドを採用した。また、従来の物理的なボタンを廃して、そのエリアもタッチパッドとして利用できるようにした。なお、パッドの上部は、3つのボタンに割り当てることができるという。

TrackPointは、より多くのユーザーに利用してもらうため「TrackPoint Quick Menu」を新規開発した。開発には、ZシリーズのメインターゲットなるZ世代を意識して、若手中心のメンバーを選出。機能提案を実施し、ブラッシュアップをしていったという。

TrackPointをダブルタップすることでTrackPoint Quick Menuが画面中央部に出現。ウェブカメラの画質調整などを直感的に操作できる。

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TrackPoint Quick Menuでは、ミュート機能のオン/オフや音声入力の起動などが行なえる

新たに、ワンタッチでカメラのオン/オフを切り替える「プライバシーシャッターボタン」を搭載。従来のスライド式のシャッターを廃し、ディスプレー上部のデザインがシンプルになっている。

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プライバシーシャッターボタンを押すと、カメラの電源がオフになり、同時に映像入力ソースを黒一色のダミーの画像に切り替える。ハードウェアだけでこれらの動作を行なうため、セキュリティレベルが高いと説明している

また、AMD Ryzen 6000シリーズを採用している。AMDとの協業を通して、13型のZ13の最上位モデルは、専用に設計されたRyzen 7 6860Zを搭載している。16型のZ16の最上位モデルは、Ryzen 9 PRO 6950Hを搭載している。さらにZ16は、AMD Radeon RX 6500Mを標準で備える。くわえて、ワークロードに合わせてプロセッサーとグラフィックス間の電力の割り振りを変えることでパフォーマンスを向上させる「AMD SmartShiftテクノロジー」を実装している。

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専用に設計されたベイパーチャンバーは、低負荷・中負荷時にファンの回転を抑え、パフォーマンスを損なうことなく、静穏化に成功しているという

サステナビリティとThinkPadらしさの両立のため、素材にも配慮している。天板には環境配慮型の人口皮革「クラリーノ」を、筐体には75%リサイクルアルミニウムをそれぞれ採用している。

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■関連サイト

ThinkPad X1(2022年モデル)

ThinkPad X13s GEN 1

ThinkPad Z13 GEN 1

ThinkPad Z16 GEN 1

レノボ

小沢/ASCII

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外部リンク

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