「サトウのごはん」は過去最高益。明暗分かれた保存食メーカー5社の業績

「サトウのごはん」は過去最高益。明暗分かれた保存食メーカー5社の業績

  • bizSPA!フレッシュ
  • 更新日:2021/11/25

最近は感染者数も落ち着いてきましたが、コロナ禍の真っ只中では飲食チェーンの業績悪化や旅行会社の倒産など、景気悪化を報じるニュースであふれていました。

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※画像はイメージ

しかし、そんな状況下でも「保存食」の売れ行きは伸びたようです。中食需要が要因と見られ、中には会社の業績アップに貢献した商品まであります。コロナ禍でどんな保存食が売れたのでしょうか。

「サトウのごはん」が過去最高益に貢献

「サトウのごはん」でお馴染みのサトウ食品はコロナ禍で過去最高益を記録しました。

2018/4期から2021/4期までの売上高は、386億円→409億円→448億円→469億円。というようにコロナ禍で売上高はもともと伸びていたものの、さらには営業利益までも8.5億円→11.7億円→9.5億円→19.3億円と大幅にアップしたようです。

サトウ食品の主力商品は年末年始に売れる「包装餅」とサトウのごはんを中心とした「包装米飯」ですが、2021/4期の決算資料によると包装餅の売上が215億円と前年比0.8%増に留まったのに対し、包装米飯は254億円と8.0%も増加しました。

深夜に外食できない一人世帯で需要増

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サトウのごはん

サトウのご飯が過去最高益に貢献したといえます。コロナ禍ではテイクアウトや弁当などの中食需要が伸びましたが、これと同じ理由で主食に欠かせない保存米も伸びたのでしょう。

炊飯器があったとしても電子レンジだけで食べられる米はやはり便利なものです。

緊急事態宣言下では深夜に外食できないため一人世帯で需要が伸びたとも考えられます。競合の越後製菓を含め、コロナ禍での需要増加に対応するため8~10食入りの大袋タイプも投入されました。

コロナでレトルトカレーの需要が増加

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レトルトカレーも需要増加 © Hiroshi Tateishi

インド人に次いで日本人の消費量が2番目に多いカレーですが、裏切らない美味しさと調理の便利さからこちらもコロナ禍での売れ行きが増加しました。

レジのPOSデータによると家庭用レトルトカレーの売上高が2020/3に前年比42%増、4月に40%増を記録しており、感染拡大当初から大きく伸びたようです。

本格レストランのような味の「咖喱屋カレー」や甘味とまろやかさが特徴の「ククレカレー」を展開するハウス食品も家庭用レトルトカレーの需要が伸びました。ニーズの獲得を求めて小分けパックに対応した商品も展開されています。

レトルトカレー需要が増加したハウスだが…

レトルトカレーの袋は金属製のものが多く電子レンジで調理するにはいったんお皿に移す必要がありますが、ハウス食品では2022年秋までに全商品をパウチごとレンジ調理可能なタイプに切り替えるようです。

ちなみにルウタイプのカレーも需要を伸ばしており、きりっとした辛さが特徴の「ジャワカレー」も前年比で8%の増加となっています。

家庭用食品メーカーの印象が強いハウス食品ですが、実は店舗向けの業務用食品も売上比率が高いこともあってか、カレー食品関連の2021/3期売上高は0.9%の増収にとどまっています。

缶詰、パスタが伸びた「はごろもフーズ」

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画像はイメージです(以下同じ)

はごろもフーズと言えばツナ缶やパスタなど家庭用保存食を生産する企業ですが、こちらもコロナ禍の恩恵をやや受けたようです。

決算資料によると2018/3期から2020/3期の売上高は798億円→799億円→828億円と推移し、コロナ禍の21/3期も833億円と増収を維持しました。

営業利益も2020/3期の30.6億円から34.1億円と伸びています。

営業利益が大幅減少したワケ

巣ごもり需要によって家庭で食事をする機会が増え、全体の47%を占めるツナ商品の売上が2.1%のびました。「シーチキン」というブランド名で通常の商品からノンオイルタイプが提供されています。パウチタイプもあるようです。

パスタ及びソースも3.5%増えたほか、特にデザート系商品が10.4%も増えました。同社はみかん・白桃・ナタデココ・杏仁などのバリエーションを揃えた「朝からフルーツ」を生産しており、巣ごもりのなか家庭で手作りデザートを作る機会が増えたことが影響していると考察しています。

ただし今期2022/3期第2四半期(4~9月)の売上高は前年同期比で0.6%増(354億円)に過ぎず、営業利益は-21.5%(20.1億円)と大幅減少。巣ごもり需要の一服や原材料価格の上昇が影響しているようです。

ようかん、クッキー…甘い保存食も好調

主食の保存食が売れるなか甘い保存食も売れ行きが伸びています。井村屋の「えいようかん」はコロナ感染拡大当初から2021年2月までの間で出荷数量が前年より3割増えました。1個171kcalと低カロリーな手握りサイズのようかんです。

何より5年間の長期保存が売りで、巣ごもりでも楽しめるスイーツとして売れたのではないでしょうか。チョコレート味の商品も販売されています。そして高級な「クッキー缶」も話題となりました。

ウェスティンホテル東京が2020年3月に販売した「ホテルメイドクッキーアソート(3600円)」は四角い缶いっぱいにクッキーが詰められており、猫の形をしたクッキーやピスタチオクッキーが並べられています。

ホテルニューオータニやパレスホテル東京も同様の商品を出すなどコロナ禍では高級なクッキーが人気を博したようです。こちらは保存というよりも、巣ごもりが続く中での気分転換を目的として買われたと考えられます。クッキーに限らずお酒やおかず類でも高級品は注目を浴びました。

明暗が分かれたスナック類

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厳密には保存食ではありませんが、保存のきくポテチやチョコレートなどのスナック類は明暗が分かれたようです。

明治HDを例に見ていきましょう。2021/3期の売上高は1兆1918億円で、菓子事業の売上高は1136億円と前年度より6.3%減少しました。

お家で楽しむ機会の多い「きのこの山」や「たけのこの里」、カカオ含有率の高い健康志向のチョコレートが売上を伸ばした一方で、グミやガム、コンビニ向けの商品が低調となりました。グミなどの軽いスナック類はオフィスや外出時の需要が高く、巣ごもりが悪い方向に影響してしまったようです。

チョコレート全体でも減収となりました。コロナ禍では外出時にコンビニで買うようなスナック類が苦戦したと考えられます。カルビーは旅行客の需要が高い「ジャガビー/じゃがポックル」の売上が3割も減少しており、大打撃といえるでしょう。

コロナ禍では様々な保存食が売り上げを伸ばしていきましたが、最近ではワクチン効果もあり感染者数が減少しています。外食の機会が増えるにつれて保存食の需要は落ち込むでしょう。今後は脱巣ごもり需要の中でも消費者を掴めるよう方針転換が迫られます。

<TEXT/経済ライター 山口伸>

【山口伸】

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナーTwitter:@shin_yamaguchi_

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