
"ロシア極東サハリン島沖で2006年10月、「サハリン1」の油田掘削装置のそばを通る船=ロイター"
ロシア極東の石油・天然ガス事業「サハリン1」を含む戦略企業などについて、ロシアのプーチン大統領は5日、日本を含む「非友好国」の個人や法人が株式を売買することを12月31日まで禁じる大統領令に署名した。撤退が続く外資系企業による売却を防ぐ狙いがあるとみられる。
【そもそも解説】「サハリン2」 なぜロシアの事業に日本が関与?
日本側はサハリン1の事業を継続する考えで、事業継続に特別な条件が課されることが懸念されていたが、当面はそうした動きはない可能性が高くなった。
大統領令については、5日にロシア政府のサイトで公開された。サハリン1は、米石油大手エクソンモービルが30%、日本政府や丸紅、伊藤忠商事などが出資する「サハリン石油ガス開発」が30%、ロシア国営石油大手のロスネフチが20%の権益を持つ。ロシアのウクライナ侵攻後、エクソンはサハリン1からの撤退を表明していた。
大統領令の対象となる企業にはサハリン1のほか、仏トタルエナジーズが参加する資源開発事業やエネルギー関連企業が含まれている。
ロシア政府は2日付の政令で、液化天然ガス(LNG)・石油開発事業「サハリン2」について新たな運営会社を設立することを決めている。出資する日本商社は事業を継続する方針だが、ロシア側の条件次第では、継続が難しくなる可能性もある。サハリン2についても、英石油大手シェルが撤退の方針を表明している。