中古マンションで年々増加する「水回りトラブル」のヤバすぎる現実

中古マンションで年々増加する「水回りトラブル」のヤバすぎる現実

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/06/11
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20年ほど前まではマンションのトラブルといえば、「ペット」「騒音」「漏水」が三大問題とされてきた。それが21世紀に入ってペット可マンションが急増し、遮音性能の向上で、ペットや騒音を巡るトラブルは減少しているが、唯一漏水だけはいまもトラブルが絶えない。梅雨時や台風シーズンに向けて、注意しておきたいところだ。

専有部の緊急トラブルに着目してみると…

大和ハウス工業グループの管理会社である大和ライフネクストの「マンションみらい価値研究所」は、24時間、365日受け付けしている緊急コールセンターの受信状況を調査・分析し、その結果を公表した。

コールセンターの受信案件では、オペレーターの対応で終了したものもあれば、トラブル解決のための専門業者の派遣を手配したものもある。共用部に関する受付のうち、何らかの手配を行った案件の手配箇所別の構成比は図表1にある通りだ。

トップは「機械式駐車場」の23%で、以下「エレベーター」13%、「給排水設備」9%、「扉・鍵・シャッター等」が8%で続いている。全体としては、機械設備に関する緊急コールが主体で、かろうじて、「漏水」が2%となっているが、共用部に関しては水回り関係のコールは極めて少ない。

図表1 コールセンター受付の共用部手配箇所構成比(単位:%)

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(資料:大和ライフネクストマンションみらい価値研究所ホームページ)

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それに対して、居室部分に当たる専有部に関するコールは、図表2にあるように、「キッチン」「トイレ」が各15%ずつで、以下「浴室」と「洗面所」が9%で、「洗濯機置場」が4%と、全体の半数強を水回りが占めている。

しかも、コールの内容として「漏水」に関するトラブルだけを取り上げると、図表3のようになっている。「キッチン」が19.9%のトップで、「洗面所」が15.0%、「メーターボックス」13.0%、「トイレ」9.7%、「浴室」7.9%などが続いている。

「メーターボックス」は漏水とはあまり関係なさそうに感じるが、実はメーターボックス内には、給水管、給湯管が集合しており、かつ、タテ管とヨコ管が結合されている場所であるため、意外に「漏水」が発生することが多いので注意が必要だ。

図表2 コールセンター受付の専有部分手配箇所構成比(単位:%)

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(資料:大和ライフネクストマンションみらい価値研究所ホームページ)

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図表3 案件名に「漏水」を含む受信の部位別構成比 (単位:%)

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(資料:大和ライフネクストマンションみらい価値研究所ホームページ)

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水回り問題は長期化・深刻化する

こうした水回り部分における漏水は、下階の住戸に影響を及ぼすケースもあり、トラブルが長期化、深刻化しやすいという問題がある。そのため、調査をまとめた大和ライフネクストのマンションみらい価値研究所では、緊急コールに占める漏水関係のトラブルの多さについて、次のように分析している。

「20年ほど前には、マンションの三大問題として『ペット、騒音、漏水』と並び称されたことがある。ペットに関しては、ペットの飼育が可能な管理規約のあるマンションが増加し、現在はペットに関するトラブル事例を聞くことはほとんどない。

騒音に関しては、床材などの建築資材や施工方法の改良などにより、上下階の騒音トラブルは減った感がある。しかし、専有部分の漏水に関しては、配管の材質や施工方法の改良がされても、配管のリフォーム工事まで行われていない例もあることや、不注意による事故もあることから、漏水は今も昔も変わらない問題であるようだ」

この漏水に関しては、住宅・リフォーム紛争処理センターの『住宅相談統計年報2020』でも、図表4にあるように、マンションにおける不具合事象の上位に挙がっている。

同センターに寄せられた相談のうち、マンションの不具合事象のトップは外壁や基礎などの「ひび割れ」の19.5%で、これは放置すると水漏れや雨漏りにつながりやすい。実際、2位には屋根や外壁などの「雨漏り」が16.4%で続いている。

以下、設備機器などの「性能不足」12.2%などが続き、「漏水」が5.3%で7位に入っている。大和ライフネクストという管理会社のコールセンターへの手配案件だけではなく、第三者機関への相談件数においても、雨漏りや水漏れなどの案件が上位に入っていることが分かる。

これから、本格的な梅雨時を迎え、さらに夏場から秋口にかけては台風や豪雨の時期であり、十分に注意しておく必要がある。

図表4 共同住宅等の不具合事象と主な不具合事象

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(資料:住宅・リフォーム紛争処理支援センター『住宅相談統計年報2020』)

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トラブル全体では「築20年」で急増

こうしたマンションの建物に関する不具合は、築年数が長くなるほど多くなるのはいうまでもない。

国土交通省の『平成30年度マンション総合調査』によると、建物の完成年次別にみた建物の不具合に関するトラブルの発生率は図表5のようになっている。

図表5 完成年次別の建物の不具合に関するトラブルの発生状況 (単位:%)

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(資料:国土交通省『平成30年度マンション総合調査』)

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平均すると31.1%と、ほぼ3割のマンションでトラブルが発生しているのだが、完成年次が2000年から2004年以降のマンションでは、トラブル発生率が全体平均を下回っているものの、築20年前後から急速にトラブルが増えてくる。

1980年~1984年完成では4割、1975年~1979年では5割、1970年~1974年では6割を超え、1969年以前のマンションだと実に7割を上回っている。築年数が50年前後に達すると、7割以上のマンションで建物に関して、何らかのトラブルが発生していることになる。

建物に関する不具合のなかでも、「雨漏り」と「水漏れ」に関するトラブルの発生率を建物完成年次別にグラフ化したのが図表6だ。

図表6 完成年次別の「雨漏り」「水漏れ」に関するトラブル発生率 (単位:%)

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(資料:国土交通省『平成30年度マンション総合調査』)

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「雨漏り」に関しては、完成年次が2010年以降のマンションではトラブル発生率は1%台で、ほとんど気にならないが、完成年次からの年数が長くなるとジワジワとトラブル発生率が高まり、特に1975年から1979年完成のマンションでは18.4%に上がり、1974年以前の物件では30%台に達する。

「築30年」が水問題のターニングポイント

築40年前後のマンションに住んでいる人は要注意で、これから中古マンションの購入を考えている人は、築深物件を買うときには、特に「雨漏り」の痕跡がないかどうか、入念にチェックしておく必要がある。

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photo by istock

そのポイントは次のような点だ。

・居室内の天井や壁に雨漏りのシミはないか
・屋上の防水層が劣化していないか
・外壁のコンクリートのひび割れはないか
・外壁の破損はないか
・室内のどこかで雨音がしないか

マンションの「水漏れ」は「雨漏り」より早く始まる可能性が高い。先の図表6をみると、完成年次が2000年~2004年でトラブル発生率は10%台に乗り、1990年~1994年で20%台に、1980年~1984年で30%台に、そして1975年~1979年で40%台に、1970年~1974年で50%台と半数を超えてしまう。

築30年前後から急速にトラブル発生率が高まるので十分に注意しておきたい。

漏水しやすいポイントに注目

それでは、どのような点をチェックしていけばいいのか、ひとつずつ見ていこう。

まず、水道メーターの水道の使用状況を知らせるパイロット部分をチェックしてみる。これが回転していたり、点滅したりしている場合には、水道が使用されていることになる。すべての蛇口を閉めた上で確認すれば、漏水が発生しているかどうかを確認できるわけだ。

その上で、どこで「水漏れ」が発生しているのか、たとえば

・トイレの配管の接続部分、便器のひびの有無、トイレタンクまわり、温水便座の各部位まわり
・キッチンの蛇口の付け根や接続部分、シンク下の排水管の接続部分
・浴室の浴槽やタイルのひび割れ、シャワーのホース部分、蛇口の接続部分
・洗面台の洗面ボールのひび割れ、蛇口の接続部分、排水管の接続部分、排水管のひび割れ

などをチェックすれば確認できるはずだ。

これからマンション選びを行う場合も、こうした水回りのチェックを確実に行ったほうが、資産価値を損ねない物件を見つける近道になるだろう。

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