「もう一度おっしゃっていただけますか」ではダメ...相手の声が聞き取れなかった時に使うべき正しい日本語

「もう一度おっしゃっていただけますか」ではダメ...相手の声が聞き取れなかった時に使うべき正しい日本語

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2023/01/25

電話などで相手の声が聞き取れなかったとき、どう応じればいいのか。マナー講師の諏内えみさんは「『もう一度おっしゃっていただけますか』は相手に同じ動作を求めることになる。『もう一度おうかがいしてもよろしいでしょうか?』と主語を入れ替えて応じたほうがいい」という――。(第2回)

※本稿は、諏内えみ『一生ものの「正しい敬語と上級の気遣い」 先生! ダメダメな私を2時間で仕事デキる風にしてください!』(KADOKAWA)を再編集したものです

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写真=iStock.com/Wenping Zheng

誠意と丁寧さが伝わる謝罪の言葉

相手に対して失礼なことを口にしてしまい、「あっ!」と思ったもののすでに手遅れで、気まずい思いをしたことはありませんか? 悪気はなく、つい口がすべったというのが本当のところではないでしょうか。

「失礼いたしました」「申し訳ありませんでした」と言うのは当然ですが、その後で黙り込んでしまったら、二重に失礼な印象を与えてしまいます。

お詫びとともに相手にわかってもらいたいのは、「思ってもいないことを言ってしまって後悔している」「言い間違いだったので許してほしい」「不快感を与えてしまったことを反省している」ということ。ここでは、「意図せず失言してしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます」と言いましょう。

あくまでも本心ではなく不可抗力だったというニュアンスを、責任逃れに聞こえないように伝えるために、「意図せずして」「意に反して」「図らずも」「心ならず」などの言葉を用います。言ってしまったことは取り消せませんが、誠意と丁寧さは伝わるはずです。

クレーム対応で大事な2つのこと

ビジネスにおいてお詫びする場面は多々あります。前章は自己責任による失言の例でしたが、自己責任ではない(とは言い切れない場合も含む)例として、クレーム対応があります。

明らかに自社に非があるクレームの電話について、「失礼いたしました」「申し訳ありませんでした」だけで乗り切ることは困難です。「それしか言えないのか」と、相手はさらにヒートアップすることでしょう。

クレームの初期対応で必須なのは、“謝罪&共感”です。相手は、不利益をこうむった上に不快な思いをし、またクレームの電話をかけるという手間と時間をかけています。ですので、謝罪だけでなく、相手の思いに寄り添い共感することが必要なのです。

ここでは、「私どもに不行き届きがあり、大変申し訳ございませんでした。不快な思いをさせてしまいましたこと、お詫び申し上げます」と言いましょう。「ご不便、ご不自由をおかけした」「ご不安にさせた」など、状況に応じて使い分けることも大切です。

謝罪は、ビジネスのキモでもあります。謝罪の仕方によっては見限られることもありますし、逆に信頼されることもあります。プラスに転じる謝罪ができる人は、どんな仕事をしてもうまくいくことでしょう。

相手からの信頼度が上がる言い換え

商談でクライアントから値下げ交渉をされた時、それがあまりに無理な要求だったために、つい「それは、私からは何とも……」と言ってしまったことはありませんか?

もちろん、それが本音であり事実ではありますが、相手は当事者意識に欠けていると感じるでしょう。

要求に応えることが100%不可能であったとしても、即答するのは避けたいもの。かといって、可能性があるように見せるのも危険です。

ビジネスだけでなくプライベートでも同様ですが、コミュニケーションで大切なのは相手の気持ちを一旦受けとめること。どんなに無理なことでも相手の「思い」だけは受け取って、何とかして応えたいという「思い」を伝えます。応えたいという「思い」なら、OKの言質を取られることにはなりません。

ここでは、「私では判断いたしかねますので、一旦持ち帰り上席にかけあってみます。明日の正午までお時間いただけますでしょうか」と言うのがベストです。

「確認する」ではなく「かけあう」と言うと、相手側に立つニュアンスが出ます。立場は自社側ですが、「思い」は相手側というのがポイント。信頼度が格段にアップします。

遅刻の謝罪はシンプルに限る

電車の遅延で遅刻をした時、開口一番「すみません、電車が遅れまして……」と言ってしまいがちです。しかし、状況によってはそれが相手を怒らせることもあります。交通機関のトラブルや想定外のハプニングは自身の責任ではないにせよ、時間に遅れたこと、相手を待たせたことに違いありません。

第一声は「遅れまして、申し訳ございませんでした。ご迷惑をおかけしました」に尽きます。

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写真=iStock.com/AH86

遅刻に関して、理由を聞かれたら正直に答えればいいのですが、聞かれてもいないのに「電車が……」と言う必要はありません。理由を聞かれないということは、相手が理由を問題にしていないということ。遅刻したという事実が重要だということです。

電車の遅延は日常茶飯事であり、社会人としてはそれを見越して余裕を持った行動をすべきです。もし、途中で遅刻しそうだなと思ったら、その時点で一報入れておくのがビジネス上のマナーです。

今は、電車内でも「ただいま○○のため停車しております。運転再開は△分後の予定です」とアナウンスがあるくらいです。その都度、目安の時間や状況を共有することは非常に大切なのです。

絶対に言い間違いをしてはいけないこと

絶対に言い間違いをしてはいけないのは、人の名前です。

例えば「北里柴三郎」は「きたさと」であって「きたざと」ではありません。「荻野」さんと「萩野」さんも、混同しやすい名前です。人によっては、名前を間違えられることに強い不快感をおぼえる方もいるので要注意です。

名刺をもらった相手が珍しい名前の場合は、その場で確認します。相手が名乗りながら名刺を出したとしても、聞き慣れない名前の場合はなかなか記憶できません。忘れて間違えるリスクがあるくらいなら、何度でも確認しておきましょう。

注意したいのは、聞き方。「変わったお名前ですね」と言うのは失礼にあたるので、「初めて拝見するお名前です。なんとお読みすればよいでしょうか」と尋ねます。

名前の特徴を見て、「どちらのご出身ですか」「○○の地方に多いお名前ですよね」と言う人がいますが、初対面で個人情報に踏み込むような質問は避けた方が賢明です。もし相手が自ら「○○の出身なんです」「○○地方の名前でして」と言ったら、「そうなんですね」と話を広げてもかまいませんが、こちらから切り出すのはやめましょう。

「もう一度おっしゃっていただけますか」はダメ

珍しい名前の場合のように、相手の言葉がよく聞き取れなかった時、あなたはどうしていますか? もちろん聞き直すと思いますが、その際「もう一度おっしゃっていただけますか」と言っていませんか?

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諏内えみ『一生ものの「正しい敬語と上級の気遣い」 先生! ダメダメな私を2時間で仕事デキる風にしてください!』(KADOKAWA)

「おっしゃっていただく」という丁寧すぎるくらいの敬語を使っているので、失礼にあたるとまでは言いません。ですが「おっしゃる」の主語は相手、つまり相手に同じ動作を繰り返してほしいと頼んでいることになります。

「もう一度おうかがいしてもよろしいでしょうか?」ですと、「おうかがいする」の主語は自分。もう一度相手が同じことを言うという結論に変わりはありませんが、「うかがう」という自分の行動に焦点を当てる言い方の方が、遠回しでやわらかく伝わるのです。

電話で相手の声が聞き取りにくい時も同じ。「お電話が少々遠いようなのですが」と電波のせいにしたうえで、「恐れ入りますが、もう一度おうかがいできますか」と伝えます。

頼みにくいことを伝える時には、主語を入れ替えて動作主体を自分にするというのは一つのコツです。

失言をリカバーする方法とともに、そもそも失礼にならない言い方をマスターしておくのも社会人の心得です。

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諏内 えみ(すない・えみ)
「マナースクール・ライビウム」「親子・お受験作法教室」代表
VIPアテンダント業務を経てスクールを設立。上質なふるまいや会話、社交術、テーブルマナーが学べるオンライン講座『Class the SUNAI』を主宰。難関幼稚園、名門小学校合格率95%のお受験講座は「にじみ出る育ちの良さ」が身につくと話題に。映画やドラマで女優への所作指導のほか、テレビ出演多数。著書に『「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)』など。
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諏内 えみ

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