国という枠組みから脱出するために作られた国『ローズ共和国』 【ネトフリさんぽ2】

国という枠組みから脱出するために作られた国『ローズ共和国』 【ネトフリさんぽ2】

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  • 更新日:2021/07/20
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見かけは石油のプラットフォーム。だが、建設した側は「国」だと主張した。イタリアとバルカン半島の間にあるアドリア海にイタリア人技術者が人工島をつくり、独立国を主張した史実に基づく「ローズ共和国」(2020年、シドニー・シビリア監督)は、国という枠組みからの脱出を企てる手段として「国」を作るという、トートロジーのような面白さと哀しさを味わえる作品だ。

前回の東京五輪が開かれた1964年、イタリア北東部、リミニの沖合約12キロの海上に、面積400平米ほどのプラットフォーム建設が始まった。この12キロ、というのがミソで、そこはイタリア領海を抜けた500メートル先、どの国の主権も及ばない公海上。建造したイタリア人技術者のジョルジオ・ローザは、この“人工島”を一つの国として独立を宣言した。イタリア政府はもちろん、国連や欧州評議会を巻き込んで起こる政治的な騒動。ドイツの脱走兵やアルコール依存症患者など、既存社会から押し出されてしまった人々が集まり、“島”は法に縛られない自由な場所として一躍有名になる。

結末は史実に沿っている。面白いのは、国家に縛られない自由を求めて新天地を作っても、これを認めてもらうために既存の国際機関に訴え、大統領だ外相だと既存の国家機構を模し、切手を発行して「国」づくりに奔走しているところ。人類が長い時間をかけて、多くの人が平和に暮らすための在るべき形を探り続けている「国家」という枠組みと、自由との較量、バランス、最適な落としどころ。一石を投じるべく、島をつくって独立を宣言するという手段に訴えるあたりが、イタリアらしい豪胆さだ。

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