今週の一枚 フー・ファイターズ 『コンクリート・アンド・ゴールド』

今週の一枚 フー・ファイターズ 『コンクリート・アンド・ゴールド』

  • rockinon.com
  • 更新日:2017/09/15
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フー・ファイターズ

『コンクリート・アンド・ゴールド』

9月15日発売

ヘヴィ・メタルとレゲトンが狂騒の彼方へデッドヒートを繰り広げる“Run”の時点で、フー・ファイターズの「今」のクリエイティビティが、ハード・ロックもパンクも重力崩壊させるレベルのスリリングな混沌の渦を描き出していることは十分に窺えた。
そして、続く“The Sky Is A Neighborhood”は、その「混沌」が『サージェント・ペパーズ』以降のザ・ビートルズを彷彿とさせる、メロディ&アレンジ探求精神の百花繚乱状態とともにあることを伝えてもいた。

しかし。フー・ファイターズ9作目のアルバムとなる今作は、もっと途方もなく壮大で切実でエモーショナルなーーおよそロックというフォーマットが表現し得る、思想と闘争心の激流そのものだった。
3年前の前作『ソニック・ハイウェイズ』と比べても、いやこれまでのフー・ファイターズのどの作品と比べても、格段に巨大で、ドラマチックで、切迫したサウンドスケープに満ちた作品である。

後期ビートルズを連想させたサウンドメイキングはもっとずっと豊潤で冒険精神にあふれていて、それこそビートルズのみならず同時代のピンク・フロイドやデヴィッド・ボウイやキング・クリムゾンが体現した「ロックが思想を持ってロックを越境しようとしていた時代」のマインドまでもが、その音から濃密に滲んでくる(表題曲“Concrete and Gold”の音世界にピンク・フロイドを重ねる人は少なくないはずだ)。

デイヴ・グロールが今作のプロデューサーに辣腕ヒットメイカー=グレッグ・カースティン(アデル、シーア、ビヨンセetc)を起用したのも、そんな「ロック混沌の時代」にも通じるアティチュードを2017年最新型にアップデート可能な人材を、デイヴ自身が求めていたことの表れなのかもしれない。

そしてーーフー・ファイターズをそんな音楽的な変化と革新へ駆り立てたのは取りも直さず、デイヴの危機感と焦燥感に他ならない。

《俺たちは命がけで戦う/だって今度こそ/すべてが危険にさらされているから》(“The Line”訳詞)

アメリカの8都市でレコーディングを行ったという『ソニック・ハイウェイズ』を通してUSロック史を血肉化し、言わば音楽的に「アメリカそのもの」を体系化してみせたデイヴ・グロールは、トランプ政権発足後のアメリカの迷走を目の前にして、己の創造性のすべてを注ぎ込んで反抗のロック・オペラを響かせてみせた。
かつてグリーン・デイがイラク戦争への怒りに突き動かされて『アメリカン・イディオット』(2004年)という壮大なパンク・オペラを生み出すに至ったのと同じように、時代に向き合い時代に作用するロックの真髄が、この『コンクリート・アンド・ゴールド』を貫く強靭な軸となっているーーということは、何よりそのサウンドと歌からダイレクトに伝わるはずだ。

《王様になりたいわけじゃない/ラブ・ソングを歌いたいだけさ》(“T-Shirt”訳詞)

今作の冒頭、今や全世界的にロックの象徴的存在となったデイヴ・グロールは、つぶやくようにそんな言葉を歌いながら、「でも立ち上がらなければならない時が来てしまった」というリアルな使命感を覗かせている。
ジャスティン・ティンバーレイクがゲスト・ボーカルで参加していたり、“Sunday Rain”でポール・マッカートニーがドラムを叩いていたり……といったトピックにも事欠かない今作。来るべき「時代との闘争」の黙示録としても、荒ぶる魂が生んだ音楽的な進化の記録としても、2017年の音楽史に深々と刻まれるべき1枚であることは間違いない。(高橋智樹)

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