ラーメンの幸楽苑が52店閉鎖へ。日高屋とどこで明暗が分かれたか?

ラーメンの幸楽苑が52店閉鎖へ。日高屋とどこで明暗が分かれたか?

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  • 更新日:2017/11/21
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11月10日、昭和29年創業の「幸楽苑」が52店舗の閉鎖を発表しました。同店は、不採算店の一部を先頃フランチャイズチェーン契約を結んだ「いきなり!ステーキ」へ転換することで活路を見出すことに。なぜ幸楽苑はここまで追い詰められてしまったのでしょうか。そして同社は「いきなり!ステーキ」との提携で再浮上することが出来るのでしょうか。無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者・佐藤昌司さんが詳細に分析するとともに、幸楽苑の建て直しに何が必要なのかを探ります。

幸楽苑が不振で52店を閉鎖。「いきなり!ステーキ」に助けを求める

ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)は11月10日、全店の1割弱にあたる52店を閉鎖すると発表しました。

全国32都道府県に出店していますが、採算が合わない店舗を閉鎖し、出店エリアや出店形態などを見直す方針です。

不採算店舗の閉鎖に伴い、5億3,000万円の特別損失を計上しました。これにより、同日発表した17年4~9月期の連結決算の最終損益は6億4,000万円の赤字(前年同期は5億6,000万円の黒字)となっています。

また、18年3月期通期の業績見通しを下方修正しています。連結売上高は409億円から388億円に引き下げました。営業利益は8億7,900万円から大幅に引き下げ、2,000万円としています。最終損益は2億円の黒字から一転、6億7,400万円の赤字に転落する見込みです。

業績が好調に推移している、ラーメンチェーン「日高屋」を展開するハイデイ日高とは対照的です。

ハイデイ日高の17年2月期決算は、売上高が前年比4.7%増の385億円、営業利益は5.3%増の45億円、純利益は5.7%増の29億円です。順調に収益を伸ばしている状況です。

一方、同年度(16年度)の幸楽苑HD(17年3月期)の売上高は前年比1.0%減の378億円、営業利益は83.1%減の1億4,700万円、純利益は16.0%増の1億5,400万円です。収益は停滞状況が続いている状況です。

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両社の売上高は同レベルですが、利益に関しては雲泥の差があります。16年度の幸楽苑HDの売上高営業利益率と売上高純利益率はそれぞれわずか0.4%に過ぎません。一方、ハイデイ日高の同年度の営業利益率は11.9%、純利益率は7.6%にもなります。利益率では両社の間に大きな開きがある状況です。

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幸楽苑は商品の価格設定でブレが生じたり、異物混入問題が起こるなどで業績が悪化しています。

幸楽苑はかつて、看板メニューの「中華そば」を390円(税抜き、以下同)で販売していました。その後、競争が激化したため、06年5月に100円値下げし、290円で販売するようになりました。しかし、食材や人件費などが高騰し、利益を圧迫するようになったため、現在は一部の店舗を除き、「あっさり中華そば」を390円、「二代目醤油らーめん司」を490円で販売しています。

こうして価格を変えていきましたが、収益性は抜本的には改善しませんでした。また、幸楽苑のラーメンは安いのか高いのかがよくわからないというイメージが定着してしまいました。こういったこともあり、幸楽苑の競争力は弱まり、日高屋などの台頭などもあって、収益は頭打ち状態が続いているのです。

16年10月に発覚した異物混入問題も影を落としました。「幸楽苑 静岡インター店」で働いていたパート従業員がチャーシューの仕込み作業をしていた際に、誤って左手親指を切断してしまいました。さらに、指がチャーシューの保管容器に残ったままとなっていました。そのことに誰も気づかず、後日、気づかずに商品に指がまぎれ、そのまま客に提供してしまったのです。そのことが報道により広く知れ渡ることになりました。

これにより、16年10~12月の売上高と客数は大きく落ち込みました。特に問題発覚翌月の11月の落ち込みが激しく、客数は前年同月比13.7%減、売上高は12.9%減と大きく減少しています。

幸楽苑は新井田司氏(現社長・新井田傳氏の父親)が1954年に福島県会津若松市に「味よし食堂」を開店したのが始まりです。当時は「らーめん」を35円で販売していたといいます。67年に「幸楽苑」に改称し、70年に株式会社幸楽苑に改組しています。

75年にラーメンと餃子を核としてチェーン展開することを決めました。79年に駐車場付きの郊外型店舗をオープンし、以後、郊外型店の出店を推し進めていきます。80年にはフランチャイズ事業に進出し、加盟店の1号店が福島県郡山市に誕生しました。

店舗数は徐々に増えていき、12年には国内500店舗を達成しています。しかし、その後は競争の激化や幸楽苑の競争力の低下もあり、店舗数は伸び悩んでいます。近年は500店台前半で推移し、停滞感が漂います。

そうしたなか、幸楽苑HDは、ステーキ店を展開するペッパーフードサービスとフランチャイズチェーン契約を結びました。福島市内にある幸楽苑を12月下旬に人気のステーキ店「いきなり!ステーキ」に転換するといいます。

「いきなり!ステーキ」は立ち食い形式のステーキ店で、リーズナブルな価格でステーキ料理を食べられることで知られています。駅前立地の店舗が多いため、気軽に利用できることも人気の理由の一つとなっています。

ペッパーフードサービスの業績は好調と言っていいでしょう。10月30日発表の17年1~9月期の連結決算は、売上高が250億円(今期より連結決算になったため対前年同期比は省略)、営業利益は16億8,600万円です。営業利益率は6.7%と高い数値を示しています。ちなみに、16年1~9月期の単独決算は、売上高が159億円、営業利益は6億2,800万円、営業利益率は3.9%となっています。

「いきなり!ステーキ」の出店は勢いが止まらない状況です。17年1~9月期には25店を新たに出店し、9月末の店舗数は155店にもなります。

幸楽苑HDとしては、勢いに乗る「いきなり!ステーキ」をフランチャイズ展開することで、落ち込んでいる業績を回復させたい考えです。ペッパーフードサービスとしては、飲食業界に精通している幸楽苑HDがフランチャイズ展開することで、出店に弾みをつけたい考えです。

今回の提携は、当面、両社に恩恵をもたらすことになるでしょう。ただ、幸楽苑HDは、本業の幸楽苑を立て直さなければ未来はないと言えます。「いきなり!ステーキ」は補完的な位置付けでしかありません。幸楽苑の不採算店舗の閉鎖を推し進め、店舗オペレーションを効率化し、利益率を高める必要があります。そして、メニューの強化が必要でしょう。これからが正念場と言えそうです。

image by:幸楽苑 - Home | Facebook

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