世界でバカ売れスマートロック「SESAME」、日本版を安くできたワケは台湾の「モノ作り」

世界でバカ売れスマートロック「SESAME」、日本版を安くできたワケは台湾の「モノ作り」

  • マイナビニュース
  • 更新日:2018/10/12
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●SESAME miniとは

さまざまなIoT機器の中で、スマートフォン操作で玄関ドアのロックを解除できる「スマートロック」は、一般ユーザーにとって身近な製品といえます。日本でも複数の製品が発売されていますが、2018年に注目の製品が参入しました。北米市場で高い人気を誇るスマートロック「SESAME mini(セサミ ミニ)」です。

SESAME miniは、CANDY HOUSEがアメリカのクラウドファンディングサイト「キックスターター」で目標金額の1,428%を集め、製品化したスマートロック「SESAMI(セサミ)」を日本仕様にした製品。現在(2018年10月12日)、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて予約を受け付けており、すでに目標金額の6,318%を集めています。予約受け付けは10月30日までです。

○1万円台と低価格ながら機能が満載

SESAME miniについて紹介しましょう。SESAME miniは、シリンダー錠にかぶせて使うタイプのスマートロック。スマートフォンアプリが用意されており、アプリ操作でロックの解錠・施錠が可能です。アプリを開かなくとも、iPhoneの画面を3回タップするだけで解錠する「ノック解錠」機能(iOSのみ対応)のほか、AppleWatch、Amazon Echo、Google Homeなどを利用して開錠・施錠もできる多機能なスマートロックとなります。

北米と日本ではドアロックの形状が異なるため、従来の「SESAMI」は日本にマッチしませんでした。そこで、日本の住宅で採用されているシリンダー錠に合わせて開発されたのがSESAME miniというわけです。

SESAME miniが日本市場に与えるインパクトとして最も大きいのは、低価格を実現していること。本体価格は14,800円(税込)を予定していますが、現在(10月12日)「Makuake」では、38%オフの9,980円(税込)で購入できます。

低価格を実現できた理由は、台湾でのモノ作りにあるといいます。そこで今回、SESAME miniの開発や製造に関わっている台湾の工場を訪ねて、その秘密を探ってきました。

●各部品の試作から塗装まで

○拠点を台湾に選んだ理由

世界的にみて、ハードウェア製造の中心は中国深センを中心とする沿岸部に集まっています。そんな中、CANDY HOUSEが生産拠点に選んだのは台湾でした。CANDY HOUSEの創業者・Jerming(ジャーミン)氏が台湾出身ということだけでなく、台湾ならではの安さ、時間、品質のバランスを考慮した結果、ハードウェアスタートアップのニーズにマッチしたといいます。SESAME mini製造の流れに沿って、各工場を順番にのぞいてみましょう。

SESAME miniのようなハードウェアを製造するにあたって、最初に行うのがプロダクトの試作。近年は3D CADで設計したあとに3Dプリンターを使用して、筐体などを試作する流れになっています。それを担当しているのが、台北の北部で学生街に居を構える企業「RealFun」です。

RealFunは、3Dプリンターでお風呂の排水溝の製作などを受けもつ企業。FDM(熱溶解積層法)タイプの3Dプリンターを約20台、レーザーで素材を焼結させるSLM(粉末焼結積層造形)タイプの3Dプリンターを5台所有しており、注文して24時間以内にサンプルができあがるそうです。

最近は3Dプリンターを自社で所有し、社内で試作する企業も増えています。しかしジャーミン氏は、3Dプリンターによるプロトタイプ作りは、専門ノウハウがあるRealFunに依頼するほうが効率がよいと語りました。

「日本国内にも3Dプリンターで試作品を作ってくれるところはありますが、RealFunは安く、早い。専門スタッフがバリ取りや磨き工程を行ってくれるので、社員は設計に集中できます」(ジャーミン氏)

安く早く、プロトタイプを作れる台湾だからこそ、設計段階で試作を重ね、製品の品質を高められるのです。

試作品ができあがったら、製造工程に入ります。製造工程は、金型を使う筐体などの各種パーツ製造と、SESAME miniの動きを制御する回路基板の設計があります。まず、プラスチック部品の製造を担当しているのが「謹良實業股份有限公司(GINLIAN)」です。

謹良實業股份有限公司(GINLIAN)は、金型製造から射出成形(金型を用いた成形法の1つ)まで、プラスチック部品の製造を自社で手がけています。東芝や富士通といったPCメーカーのOEM、ODM製造を受けもつ廣達(Quanta Computer)や、スイスのGPS機器メーカーGARMINなど、世界的大手の仕事を中心に受託しつつ、CANDY HOUSEのようなスタートアップ企業の支援も行っています。大手メーカーの部品を作る合間を縫うかたちで、月に5,000個ペースで「SESAME mini」のプラスチックパーツを作り出しているそうです。

量産加工品の製造となると、中国の深センを思い浮かべる人もいるでしょう。「単純にスピードだけで考えると、深センのほうが早い」とジャーミン氏も語ります。ですが、ここで重要なのは品質です。

「台湾では金型を作るのに7週間かかります。それが深センでは2週間でできる。しかし、深センで作った金型は図面通りでないことも多いのです。間違っているところ、直すべきところを1つずつ指摘して管理する必要があり、管理コストが高い。台湾では図面と違うといったことがないので、信頼性が高く、管理コストが必要ないんです」(ジャーミン氏)

謹良實業股份有限公司(GINLIAN)で製造されたプラスチック部品は、塗装を担当する「皇盛科技股份有限公司」に送られます。皇盛科技股份有限公司は、台湾北部でトップ3に数えられるコーティング会社で、ASUSや廣達(Quanta Computer)など、台湾の大手メーカー製品のカバーコーティングも数多く担当しています。

謹良實業股份有限公司(GINLIAN)から届いたプラスチック部品は、社内ですべてチェックしたうえで塗装ラインに投入されます。塗装は基本的に機械でやりますが、手塗りの部分もあるそうです。

●SESAME miniを組み立てる

○いよいよ組み立てへ

SESAME miniを制御する電子基板は「貫崑科技有限公司(GWAN KUEN TECHNOLOGY)」で製造されています。回路基板を製造する企業としては、台湾北部でトップ3に入る大手で、1日に600万個の回路パーツを基板にのせる製造能力があります。

Appleをはじめ、他社で製造した回路基板の検査・認証なども実施しているため、非常に信頼性の高い回路を製造してくれるのです。

そろったプラスチック部品や回路基板など、各パーツを組み立てるのが台湾の中堅EMS「龍駿国際科技股份有限公司(DoTop)」。HPやDellなど大手メーカーの仕事を受注するかたわら、スタートアップ企業の製品作りにも積極的に協力しています。

ジャーミン氏は、龍駿国際科技股份有限公司(DoTop)に製造依頼した理由を「(スタートアップ企業の要望にも)非常に柔軟に対応してもらえて、予想できないトラブルがあっても対処してくれるため」と語ります。

SESAME miniの組み立て工程では、CANDY HOUSEの要望に応え、約8時間もSESAME miniのレバーを回し続ける耐久テストを実施しているそう。台湾のEMSは、スタートアップ企業の要望にも耳を傾ける信頼性の高さがあるのです。SESAME miniの組み立てを台湾EMSにゆだねる意味は、どうやらこのあたりにありそうです。

今回はSESAME miniの製造ラインを中心に紹介しました。次回はCANDY HOUSEの創業者、ジャーミン氏のインタビューを中心に、SESAME miniのさらなる魅力をお伝えします。お楽しみに!

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