あまりの変化に愕然!“一帯一路”の象徴となった新疆ウイグル自治区の駅とは <下川裕治のどこへと訊かれて>

あまりの変化に愕然!“一帯一路”の象徴となった新疆ウイグル自治区の駅とは <下川裕治のどこへと訊かれて>

  • AERA dot.
  • 更新日:2018/02/15
No image

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)

さまざまな思いを抱く人々が行き交う空港や駅。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界の空港や駅を通して見た国と人と時代。下川版「世界の空港・駅から」。第45回は新疆ウイグル自治区・庫車駅から。

【夕暮れどきの庫車駅はこちら】

*  *  *

庫車(クチャ)を訪ねたのは5年ぶりだった。中国の新疆ウイグル自治区。タクラマカン砂漠の北端にある街だ。前回はウルムチから列車に乗って庫車に着いた。今回はトルファンから。やはり列車だった。

トルファンで庫車までの行き方を聞くと、列車のほうがバスより早いといわれた。

タクラマカン砂漠の北端を、ウルムチ・トルファンとカシュガルを結ぶ鉄道が走っている。列車への信頼度が高いのは、それだけ気候が厳しいせいだろう。それでも8時間近くかかった。

到着した庫車の駅ではだいぶホームを歩かされた。やっと出口に立ち、つい駅舎を見あげてしまった。5階ほどの新しい駅舎が建っていたのだ。かつては平屋の駅だった。

5年の間になにかが起きた……。

市街に出て愕然とした。庫車は駅の近くに漢民族の街が広がり、その奥、亀滋古渡 と書かれた橋を渡ると、ウイグル人街という構造になっていた。市街地は当然、漢民族街で、通りに沿って、10階以上あるビルがずらりと並んでいた。以前は2階建てまでの街だった気がするが。

4ツ星以上のホテルが何軒もそびえていたが、宿泊は断られた。外国人を泊める資格がないというのがその理由である。資格を取得する必要もないのだ。中国人で部屋は埋まってしまう。外国人を受け入れるのは面倒なのだ。好景気に浮かれる中国の街の特徴だった。

しかたなく、外国人も泊まることができるというホテルにタクシーで向かおうとした。しかしタクシーの空車がない。庫車の人がこう教えてくれた。

「この街は最近、相乗りをしないとタクシーに乗れない」

以前の上海、いやウルムチを思い出した。とんでもなく景気がよく、タクシーが足りないのだ。郊外の油田の影響ともいうが、中国政府のシルクロードをなぞる経済政策「一帯一路」の現実が庫車の街を包んでいた。郊外には次々に巨大な工場ができている。膨大な資本が投下されているのだろう。

街はものものしい警備網が敷かれている。ホテル、市場の入り口などそこかしこにX線のセキュリティーとボディーチェックが待っている。ウイグル人の反発を徹底的に抑えるためだ。そしてこの街に次々と漢民族が移住し、「一帯一路」は進んでいく。その象徴となっているのが、庫車駅でもあった。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

コラム総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
顔診断。顔のパーツから性格を見抜く方法
レスのきっかけは出産?本音炸裂 ママたちの営み事情
危険な計算式“シンデレラ体重”、20年前に提唱した「たかの友梨」が今になって批判の的に!
セックスレスと束縛がきっかけで... AVデビューした主婦・黛あおに直撃
貧困40代シングルマザーが「金持ち母さん」になれた「時給」の考え方
  • このエントリーをはてなブックマークに追加