宇宙事業でベンチャーの参入が拡大 一方で、資金調達に課題も

宇宙事業でベンチャーの参入が拡大 一方で、資金調達に課題も

  • 産経ニュース
  • 更新日:2016/12/02

ANAホールディングスとエイチ・アイ・エス(HIS)が、宇宙旅行の事業化を目指すベンチャーのPDエアロスペース(名古屋市)に共同出資した。宇宙産業は巨額の事業費がかかるとされてきたが、宇宙開発関連法の整備でベンチャー参入の余地も広がりつつある。各社はユニークな事業モデルを考案しているが、今回のように大企業の“スポンサー”が見つからなければ、お金や優秀な人材を集められない恐れもある。(松村信仁)

民間の小型衛星開発の「先駆者」は、会社設立10年足らずのアクセルスペース(東京都千代田区)。近く人工衛星で得られたデータを販売する計画だ。

具体的には、多くの超小型衛星を打ち上げて継続的に地上を撮影。その画像データなどを農業や観光産業向けに売り出す。例えば、同じ地点の季節ごとの画像データがあれば、農業や観光に適しているかなどを判断しやすくなる。

同社は来年までに3機、平成34年までに延べ50機を打ち上げる計画だ。中村友哉社長は「日常生活にも役立ててもらい、宇宙を身近な存在にしたい」と意気込む。

一方、ALE(エール、東京都港区)は30年に「人工流れ星」の実現を目指す。年明けにも、東北大大学院と共同で「流れ星のもとになる粒子」を積んだ人工衛星の開発に着手。人工衛星からその粒子を放出すれば、地上の人には本物の流れ星にみえる。屋外イベントなどを手掛けるエンターテインメント業界に売り込む。

欧米では、民間企業の宇宙産業への参入が活発化。中国は国家を挙げて開発強化に乗り出している。

これに対し、日本の宇宙開発は国立研究開発法人の宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心に政府主導で進められたため、宇宙産業の市場規模は年3千億円程度と横ばいで推移する。

こうした中、民間企業の参入を促す動きも出始めた。ロケットや衛星の打ち上げを許可制とするなど、企業が宇宙開発に取り組む際のルールを定めた「宇宙活動法」など宇宙関連の2法案が11月に成立。政府は今後10年間で5兆円規模の産業に育てることを目指している。

ただ、日本の金融機関やファンドは、将来性の読み切れないベンチャー企業への投資に及び腰だ。

PDエアロスペースの緒川修治社長は1日、報道陣に対し「日本の金融機関は融資の可否を横にらみで判断するケースが多い」と指摘。

邦銀が、前例のないビジネスモデルへの投資に慎重なままでは、宇宙産業の発展が遅れる恐れもある。

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会見する緒川修治PDエアロスペース代表取締役社長(中央)、澤田秀雄エイチ・アイ・エス代表取締役会長兼社長(左)、片野坂真哉ANAホールディングス代表取締役社長(右)=東京都港区(伴龍二撮影)

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