週刊こむぎ (56) もともと そこには 何もない

週刊こむぎ (56) もともと そこには 何もない

  • マイナビニュース
  • 更新日:2016/11/30
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冷たい風が吹き、冬がやってきます。
木々の葉が落ちて周りが寂しくなっていく中、
こねりは「本来無一物」と唱えます…。

「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」は、
中国禅の第六祖、慧能(えのう)禅師が詩の中に詠んだ言葉です。
早くに父親を亡くし、家は貧しく教育を受けられず、
文字の読み書きができなかった慧能は、
お寺に弟子入りしてからは下働きをこなしていました。

ある時、師匠である弘忍禅師が後継者を決めるべく、
弟子達に「悟りの境地を詩で表現せよ」と命じます。
お寺には後継者として最も有望とされていた神秀という弟子がいて、
次のような詩を書きました。

『身はこれ菩提樹 心は明鏡台の如し
時々に勤めて払拭し 塵埃をして有らしむことなかれ』
(我が身は悟りを宿す樹、心は曇りのない鏡のようなもの
煩悩の埃がつかないよう、常に磨きをかけておかねばならない)

この詩は他の弟子たちも納得する出来だったのですが、
慧能だけは「これを書いた人はまだ悟りの境地に至っていない」と、
次の詩を詠み始めます。

『菩提本より樹無し 明鏡も亦(ま)た台に非ず
本来無一物 何処にか塵埃有らん』
(悟りに至る身体も心も、世界には元々何もないのだ
どこに煩悩の埃がつくことがあろう)

師匠の弘忍禅師は慧能を後継者に指名し、
争い事を避けるためこっそりとお寺から送り出したといいます。

善・悪、浄・不浄などの分別に始まり、
悟りや煩悩と言った概念も人間が作り出したもの。
これらにすらとらわれないことが、
目指すべき境地であることを慧能は表現しました。

自分を取り巻く環境を変えるとき、
不要になったものを片付けるとき、
自分にとって新しい分野に飛び込んでいくとき…

「今まで積み重ねてきたもの、持っていたものをなくす(通用しない)」
という思いが、ためらいや不安を呼ぶことがあります。
そんなとき、慧能のエピソードや
「元々何もないのだ」というこの言葉が、肩の荷を降ろし
物事に思い切って挑戦する勇気を与えてくれるかもしれません。

■こむぎこをこねたもの、とは?

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■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。

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