湯山邦彦監督、3DCGで描いたポケモン。「新たな発見がたくさんあった」

湯山邦彦監督、3DCGで描いたポケモン。「新たな発見がたくさんあった」

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  • 更新日:2019/07/18

1998年に公開され国内興収76億円を記録したポケモン映画シリーズの記念すべき第一作目『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が、21年の歳月を経て、フル3DCG版『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』として蘇った。テレビアニメ、映画とほぼすべての作品で演出を務めてきた湯山邦彦監督が、本作を経て感じた新たな気づきについて語った。

“最強のポケモンは誰だ!?”というキャッチコピーのもと、1998年に劇場公開された『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』。“最強のポケモン兵器をつくる”という人間のエゴにより、この世に誕生した伝説のポケモン・ミュウツーが、自らの生い立ちを恨み、人間たちに復讐する物語は、可愛らしいポケモンたちが描かれるポップな側面だけではなく、哲学的なテーマを含んだ重厚な作品として、多くのファンからの支持を得た。

こうした名作を、なぜいまのタイミングで3DCGとして蘇らせたのか? 湯山監督は「この時期に映画化したことにはあまり大きな理由がないんです」と語ると「もともと3DCGで作品を作れないのかという案はずっとありました。技術的な部分を含めて体制が整ったのが“いま”だったというのが正直なところ」と説明する。

3DCGの題材として『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』をチョイスしたのは、プロデューサー側の意向だったというが、湯山監督は「シーンが多ければそれだけCGにするのは大変なわけで、シーンが絞られている『ミュウツーの逆襲』はある意味で必然だったと思います。3DCGの初作品が、シリーズの第一作目というのもいいのかなと……」と共通認識で臨めたという。

ポケモン初の3DCG――湯山監督と共に監督を務めたのが、『ルドルフとイッパイアッテナ』でもタッグを組んだ榊原幹典だ。「正直、榊原監督が受けてくれなければ作れないという話はしました」と湯山監督は笑うと、イメージ的には『美女と野獣』の実写版のようなものを作ろうと話し合ったという。その真意を問うと「『美女と野獣』の実写版は、アニメを見続けていた人が、違和感を持たずに入れたと思うんです。本作も、そういった部分にはかなり意識を強く持ちました」

そこで重要となってくるのが、人間のキャラクターだ。「ポケモンに関しては、アニメのなかでもCGが使われていましたし、ゲームでも3D化されているものもあったので3DCGにする際、それほど心配はありませんでした。一番違和感を覚える危険性があるのは人間だと思ったんです。どう3Dに落とし込むかは、かなり試行錯誤しました」

湯山監督と榊原監督の細部にわたるこだわりにより、ポケモンと人間たちの融合にも、2Dとは違った表現が見られる。「ひとつのラインとして今後も繋がっていけばいいなとは思っています」と未来に思いを馳せた湯山監督。3DCGでポケモンを描くことで、面白い発見がいっぱいあった。20年以上やってきた経験が本作に携わることにより、またゼロからスタートするような新鮮な感覚を得ることができたという。

「なによりポケモンに質感という要素が加わりました。例えばプリンの前髪はどうなっているのかとか、ニャースの髭は一本なのか、毛が集まっているのか……とか(笑)。さらに面白かったのは、ニャースの変装はCGでは使えないなと思ったことですね。いままでは肌色っぽかったので、変装すると人間に見えたのですが、CGだと完全に毛むくじゃらなので、ダメですよね(笑)」

「アニメがスタートしたときは、自分たちが原作を作ったわけでもないので、普通のテレビシリーズのひとつという位置づけだった」とポケモンについて語った湯山監督。しかし、シリアスありギャグありというふり幅の多いポケモンという題材は、これまで湯山監督が培ってきた表現力のすべてをつぎ込むだけの価値がある作品という認識に変わっていった。「だからこそ20年以上続けてこられたんだと思います」

昨年公開された『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』で初めて湯山監督は、監督という立場を離れ、アニメーションスーパーバイザーという形で作品に参加した。「劇場版もテレビアニメシリーズも世代交代で若い人が出てきました。その意味で、この3DCG作品が、新しい『ポケモン』のレイヤーになった気がしますし、これからまた新しい発想で広がっていければと思っています」と更なる発展を誓っていた。

『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』
公開中

取材・文・写真:磯部正和

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