深田恭子の魔力...私たちはなぜ『ルパンの娘』にこれほど惹かれたか

深田恭子の魔力...私たちはなぜ『ルパンの娘』にこれほど惹かれたか

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2019/09/27
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「女性を描く」秀作が揃った夏ドラマ

この夏のドラマで、もっとも印象的だったのは、やはり深田恭子の怪盗姿である。

なぜだろう。ドラマそのものの力を越えて、深田恭子が迫ってくる。不思議でたまらない。

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フジテレビ『ルパンの娘』公式サイトより

ドラマとして、お話として見ているなら、たとえば黒木華の『凪のお暇』のほうが心惹かれた。また同じ時間帯にNHKでやっていた『これは経費で落ちません!』の多部未華子の動きもとても沁みる。また、『監察医 朝顔』の上野樹里は深く刺さってきた。

みんな働く女性を描き、その生きづらさがテーマになっていた。。

どれも優秀なドラマだった。

『凪のお暇』は、無理して人に合わせて暮らしていた女性(凪)が、それをやめてみた、というドラマである。見てると何だかいろいろ楽になっていく。仕事もやめて、安いアパートに移って、クーラーがないので河原に落ちていた扇風機を拾ってきて直して使って、身なりをあまりかまわず、だらっと生きていく。

でも、いろいろある。やめたからといって、すべてリセットできるわけではない。
そういうお話だった。

低いところから世間を眺めてるドラマだった。つまり「下から目線」である。

それぞれ、自分の背丈にあったところから世界を眺めようという物語で、見てると落ち着く。ゆったりする。そういうポイントにおいて、屈指の名作だったとおもう。ちょっとないドラマだ。ただ、そこに同調できなければあまり何も感じられないドラマだっただろう。視点に同意できなかったら退屈そうなお話である。
ドラマ作りはそういうところがむずかしい。

『凪のお暇』の視聴率は、そんなに高いわけではないが、でも数字は落ちなかった。「凪の世界」の気持ちよささに気付いた人が増えていったのだ。お話の展開もさることながら、この「世界」が心地いい、と気づいた人たちによって、同調する和が広がっていったという感じがする。

もと彼や、刹那的にしか生きてない彼、いろんな男が現れてはそのたびに心乱されていくのであるが、でも凪は凪である。凪は凪でありつづけようとしている。

書いてて気づいた。

「乱されるが、凪」

である。そういうことか。そういうことのようだ。

力強いドラマだった。地力の強い物語だった。十年のちに見てもほっとできるドラマだとおもう。すばらしい。

多部未華子の魅力

『これは経費で落ちません!』は、その「凪のお暇」と同じ時間に放映されている。どっちかをリアルタイムで見て、どっちかは録画を見ることになる(どっちも録画でもかまいませんけど、それをやると時間をくう)。

私は、経費落ち、をリアルで見て、凪お暇、を録画で見ていた。

経理部で働く女性の姿を描いていて、これを見てるととにかく元気が出る。

彼女は(多部未華子演じる森若さん)頑張っている。優秀な経理部員である。仕事ではまず間違わない。同僚たちも彼女を信頼している。仕事姿の彼女は安心して見ていられる。

優秀な経理部員として社員に接する。適当に処理したり、大雑把にやりすごそうとしたり、自分で経費分を出そうとしたり、逆に何とかごまかそうとする社員たちに、きちんと経理処理をするように迫る。

その姿を見て、そんな細かいことはいいじゃないとおもわないのは、やはり「会社のお金」についてのお話だからだろう。仕事は適当な部分があってもしかたないが、働く人としてお金だけはきちんとしなければいけない。それが社会の基本である。と、彼女があらためて教えてくれる。たしかに。

働く人として最低守らなければいけないラインを彼女は示している。人が人でなくならないように見張っている役でもある。人でなくなっちゃってた人は(つまり会社の金を使い込んじゃった人は)消えざるをえない。それがルールである。私たちはそういうルールのもとで生きている。彼女はそれを見守る立場にあり、ときに発見し、指摘する立場にもなる。

なかなか厳しい仕事である。それを彼女はまったく嫌な感じを与えずに演じている。
多部未華子ならではである。

頑なな仕事ぶりが、やたらとかわいいのだ。顔が小さくて、女性だから、かわいいんではない。一生懸命でぎこちないからかわいいのである。いわゆるおじさんのかわいさに近い。

そこがえもいわれない。

人との深い付き合いがあまり得意ではなく、仕事の鋭さと反比例して、実生活ではかなり無器用なのだ。「兎を追うな」と常に自分を律しているようでいて、その言葉によってかえって深追いしてしまうところなど、とてもかわいいです。

素敵な女性の姿を描いていた。『だから私は推しました』ともどもこの夏のNHKドラマは素敵に尖った作品が並んでいた。

深田恭子の「怪盗姿」を受け入れるか、否か

夏のドラマは、ゆるやかな空気が目立っていた。

『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』の石原さとみも、『偽装不倫』の杏も、不思議でゆるやかな存在だった。

『監察医 朝顔』は事件ドラマと家庭ドラマを不思議に混ぜ合わせたドラマとしてなかなか素敵だったが、最後の最後で「災害日本」を考えさせるドラマになっていた。突き刺さるドラマであった。

でもって何といってもこの夏は『ルパンの娘』の深田恭子である。

そもそもの設定がすごい。

怪盗一家の娘である。ルパンの一族らしい。日本人だけど「L」の一族なのだ。

それなのに警察一家の彼氏がいるし、ミュージカルに動く幼なじみの泥棒仲間がいる。ドラマの設定そのものが常識的な判断を越えている。

ドラマ展開がどうの、リアリティがどうの、設定がどうのと言ってもしかたがない。

このドラマのポイントは、深田恭子の怪盗姿を受け入れるか受け入れないか、だけであった。

そして多くの人が受け入れて、見続けていたのだ、とおもう。深く静かに、そして熱く支持していた。

深田恭子の役どころの設定は、怪盗一家に生まれ、怪盗技術に秀でていながら、ふつうに生きようとしている女の子というものだった。しかし、家族からの強い要請もあり、どうしても盗みを働かなくてはいけない。他人から求められるものと、自分がやりたいことのギャップに悩む、という姿がいちおう描かれていた。でもそれは設定であって、おそらく彼女の真の姿は怪盗姿にあったとおもう。

怪盗にはコスチュームがある。ボディラインの浮き出るような、前にチャックのあるボディスーツである。見ようによってはお色気たっぷりというスタイルで、怪盗となって縦横無尽に動き回る。いろいろとドラマの見せどころである。

コスチュームには特殊な仕掛けのあるスーツという説明はなされてなかったので、要は「盗みのときの決めごと」ということなのだ。これを着れば怪盗として動けるらしい。ほかの服でも同じように動けるのではないかと、ふとおもわなくもなかったが、それはこの一族の決めごとであり、芝居の決めごとであり、視聴者もそこは含んでくださいという決めごとだったようだ。

そういう意味では、昔からの(それも天明・寛政時代くらいからの)お芝居の型を守っているドラマでもあった。型どおりに進めるので、そのおつもりでいただきたい、と強いメッセージが放たれている作品だということだ。

それは、時代劇に似ていて

昼と夜とは違うヒロインをお楽しみください、という設定である。

昼は煌びやかでフェミニンな深田恭子(の演じるLの一族の娘)を眺め、夜になると(盗賊活動に入ると)俊敏な動物のように動きまわる彼女を見てご堪能ください、というメッセージである。

パターン化の魅力である。かつてのテレビでは時代劇が受け持っていた分野でもある。もともとの物語世界が持つ「繰り返しの魔力」を強く見せてくれている。ドラマ全体の流れとしても、敵対して相容れることのない仇同士の家の息子と娘の悲恋(ぽい話)というしっかりした型を踏襲している。

祖母(演じるはあの個性的な「どんぐり」さん)の若いころを深田恭子が演じ、女学生姿やらいろんなスタイルも見せてくれた。深田恭子の変化(へんげ)がとにかく楽しい。

フェミニンだけど、強く美しい裏の顔もある、ということで、その二重性はぐっと魅力的に見える。すごく単純な構成だけれど、だからこそ深田恭子が演じると力強い。そしてこれは30代半ばの深田恭子だから見せられる魅力でもある。

女学生も働く女性も怪盗姿も、しっかり演じられる彼女が素敵ではある。それは、かなり無茶ぶりにも見える依頼を断らず、プロとしてしっかり演じきる彼女の心情まで想像して、そこに共感して、惹かれてしまっているのだ。

そんな姿まで演じるのか、と驚くほどの幅の広い役を演じ、無茶ぶりだとわかっていても引き受ける彼女の深さに心動かされるのだ。

ドラマはほんとはいちいち役者の心情まで想像して見るものではない。でも深キョンだとついそのへんまで想像してしまう。フェミニンな30代だからだろう。

怪盗娘ドラマから、ひたすら深田恭子の深さを感得してしまう。

まだまだ彼女の魔力には引っ張られていきそうな時代が続きそうだ。

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