セスクはPSG撃破の主役になった。ムバッペの2得点も霞む輝き、33歳に与えられた活躍の場は?【分析コラム】

セスクはPSG撃破の主役になった。ムバッペの2得点も霞む輝き、33歳に与えられた活躍の場は?【分析コラム】

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  • 更新日:2020/11/21
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【写真:Getty Images】

ムバッペの独壇場だった前半

リーグ・アン第11節、ASモナコ対パリ・サンジェルマンが現地時間20日に行われ、3-2でモナコが勝利を収めた。古巣対戦となったキリアン・ムバッペに2得点を許す苦しい前半をモナコは過ごしたが、後半に3得点を挙げて試合をひっくり返した。後半からピッチに立ったセスク・ファブレガスは、絶対王者を相手に逆転勝利の立役者となった。(文:加藤健一)
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前半に奪ったリードをパリ・サンジェルマン(PSG)は守り切れなかった。ケビン・フォラントの2得点で追いつかれ、試合終盤にはディアロがPKを献上して逆転。屈辱的な逆転負けで、リーグ戦3敗は早くも昨季の数字に並んでしまった。

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UEFAチャンピオンズリーグ(CL)はグループステージを1勝2敗で折り返し、トーマス・トゥヘル監督への風当たりは強くなっている。リーグ・アンでは1勝2敗スタートから8連勝で巻き返したが、代表ウィーク明けとなったこの試合で逆転負け。CLグループステージ後半戦を目前に、チーム状況は風前の灯火と言っていい。

ただ、前半はキリアン・ムバッペが主役だった。24分に先制点を決めると、36分にはPKを成功させてリードを広げた。

先制点はカウンターからだった。アンヘル・ディ・マリアのスルーパスにムバッペが反応する。寄せるDFとボールの間に身体を入れ、間合いを詰めるGKの位置を見てシュートを決めた。

44分には敵陣にボールを運ぶアブドゥ・ディアロは、ムバッペにスルーパスを通す。チップキックでGKの上を通してゴールネットを揺らしたが、これは惜しくもオフサイドとなった。

ムバッペは10月31日のナント戦で負傷し、復帰できないままフランス代表に参加した。17日のスウェーデン戦で約30分プレーし、代表ウィーク明けとなったモナコ戦で先発に復帰している。

ハットトリック達成はならず、PSGでの公式戦100ゴールもお預けとなったが、ムバッペのプレーは圧巻だった。負傷明けということで、自慢のスピードは影を潜めていた印象がある。それでも裏を取るタイミングやシュートテクニックは圧巻で、モナコの脅威となっていた。PSGが圧倒していたわけではなかったが、少ないチャンスをものにしたPSGが前半をリードして終えることができた。

PSGが抱える苦しい台所事情

トゥヘル監督に同情すべきは負傷者の多さである。開幕前後にチームを襲ったコロナショックは静まったが、短かったオフのしわ寄せが来た。怪我がちな両エースはもちろん、プレスネル・キンペンベやイドリッサ・ゲイェ、マルコ・ヴェラッティらが相次いで戦線を離れている。

7日のレンヌ戦後には、長期離脱中のマウロ・イカルディやフアン・ベルナトを含めた負傷者の最新状況が発表された。そこに載っていた選手の数は11人。最終ラインのキンペンベから前線のネイマールまで、GKがいればリーグ・アンで優勝するのに十分なメンバーが揃っていた。

代表ウィークを経て、この試合ではその11人からムバッペ、モイーズ・キーン、パブロ・サラビア、キンペンベの4人が先発メンバーに名を連ねた。ネイマールとアレッサンドロ・フロレンツィは後半途中から出場。怪我人も徐々に戻ってきたのはPSGとトゥヘルにとって朗報と言えるだろう。

しかし、巻き返しが必要なCLを前に、トゥヘルの采配は消極的なものにならざるを得なかった。欠くことのできないディ・マリアと負傷明けのムバッペは早い時間で下げられている。交代策は逃げ切りを図るというより、主力のプレータイムを制限するためのものだった。

「オン・ザ・ボールでもオフ・ザ・ボールでも集中力とクオリティを欠いてしまった」と指揮官は後悔したが、すでに火曜日のCLに気持ちは向いていた。

セスクが変えた試合

前半は互いに4-4-2の布陣。モナコは相手のセンターバックにプレッシャーをかけ、PSGはビルドアップに苦しんだ。ボール支配率はモナコがわずかに優勢だったが、リトリートしたPSGの守備ブロックには安定感があり、モナコはアタッキングサードで相手に脅威を与えることができなかった。

ニコ・コバチ監督はハーフタイムに動いた。左サイドバックをカイオ・エンリケに替え、セスク・ファブレガスがピッチに立った。この交代策が後の逆転劇につながったことは言うまでもない。

トップ下に入ったセスクは相手のライン間でボールを引き出し、ウイングは高い位置を取った。セスクが高い位置でボールをさばくことで、モナコがアタッキングサードに侵入する回数は急増。データサイト『Whoscored.com』によれば、セスクは45分間でチームトップタイの3本のキーパスを供給している。

ボランチのユスフ・フォファナは後半早々に2本のキーパスを送ってチャンスを演出した。セスク投入により全体が押し上げられ、中盤も前を向いてボールを持てるようになった。PSGのDFラインはどんどん下がり、フォラントに仕事をするスペースを与えることになった。

フォラントの同点弾はファーサイドでセスクが潰れたことで生まれ、フォラントが倒されて獲得したPKをセスクが決めてスコアをひっくり返した。セスクがフォラントを蘇らせ、劇的な逆転勝利へとチームを導いた。

バルセロナの下部組織出身のセスクがアーセナルに渡って早17年。輝かしい実績を持つセスクも33歳となった。しかし、この試合で見せたセスクのパフォーマンスは無敵を誇ったスペイン代表時代と大きく変わらなかった。

19年1月に移籍したモナコでは、移籍のきっかけとなったティエリ・アンリ監督が加入直後に解任され、自身も怪我に悩まされた。コバチ監督はセスクをアンカーで起用したが、先発した4試合で2敗を喫し、ここ5試合はベンチスタートが続いていた。

指揮官は「サブであっても、彼は私を尊重してくれる」と語り、セスクのプロフェッショナリズムと人間性を高く評価する。毎週90分プレーするのは難しいかもしれないが、ゲームを変える能力は健在だった。

(文:加藤健一)

【了】

加藤健一

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