
昭和の懐かしい雰囲気が残ると再び注目されているドライブイン。紹介する企画「福島ドライブイン紀行」で、鈴木 美伸リポーターは二本松市へ。

「二本松3大ドライブイン」と呼ぶ!?
二本松市には、3つのドライブインがある。北から、二本松インタードライブイン(休業中)、二本松バイパスドライブイン、二本松ドライブインだ。

55年前にオープン
このうち、今回は、国道4号沿いにある1968年創業の二本松ドライブインに注目してみよう。

1980年代の外観

1970年代の外観
高度経済成長の真っ只中に、現在の主人である2代目・高橋 真一さんの父、高二さんがオープンさせた。

ドライバーたちのオアシス
現在は昼と夜の営業だが、55年と長きに渡って続けられている理由の一つは、やはり食事!

定食に丼、ラーメン…お腹を満たすラインナップ!
たくさんの種類があるが、目を引くのはエビチリや中華丼、五目チャーハンなど中華系のものが多いこと。その理由は、真一さんが東京の中華料理店で修業していたから。その修業先で出会ったのが、妻の百合子さんだ。

百合子さんの実家が、修業先の中華料理店だった
そして、1989年に二本松に戻った真一さんは、このドライブインに中華を取り入れた。以前は、酢豚などもっと多くの中華メニューを扱っていたという。

従来の食事に中華をプラス!パワーアップ!
現在も提供し続けているのは、特に自信作!その一つが…

見るからにエビがプリプリ!

クオリティが高い本格中華
本格的な「エビチリ定食」。プリプリしたエビとピリ辛のチリソースは、まるで専門店に来ているかのような錯覚に陥るレベル!「ドライブインで楽しめるとは!」という驚きの味で、これを目当てに来店するお客さんも多くいるという。

これでも…普通盛り!
でも、ご飯はドライブインらしく多め!大盛りも無料だ。エビチリのソースだけで、ご飯が何杯でも食べられちゃいそう。
一方、気になるのは隣にある製麺所。

二本松ドライブインの左隣にある
二本松ドライブインで使う麺を、初代の高二さんが作っていた場所。いまは真一さんの息子で3代目になる翔平さんが受け継ぎ、麺作りに励んでいる。

二本松ドライブインの生みの親、初代の高橋 高二さん

祖父が見本
翔平さんは、料理の専門学校を卒業した後、東京で修行し、福島に帰ってきて、初代である祖父に麺作りを学んだ。7年前に他界した祖父の味「餅風麺」。食べた時にもっちりした食感が楽しめるという麺は、創業当初から変わらない人気メニューで味わえる。

真ん中にゴロッと入っているのがニンニク
それが…豚肉や温泉玉子、そしてニンニクがゴロッと入った「スタミナラーメン」だ。

自家製の「餅風麺」
麺は「餅風麺」という名前の通り、もちもちした不思議な食感!そしてホクホクしたニンニクでスタミナたっぷり!さらに特徴的なのが…ラーメンのトッピングとしてはめずらしい餅!

なかなかない発想…

翔平さんが「なんで餅を入れるの?」と質問したところ…
考案した翔平さんの祖母によると、餅を入れる理由は「おなかがいっぱいになるから」。なんともドライブインらしい答え!コンビニなどがなかった時代、長距離を移動するトラック運転手のお腹が満たされるように…と願うやさしさから生まれたメニューだ。
このラーメンの人気は格別で、気に入って足を運ぶお客さんにいまも愛され続けている。

2階には、30人収容できる宴会場もある
そんな二本松ドライブイン、夜には焼き鳥やおつまみなどの居酒屋メニュー、そして飲み放題も楽しめる。「夜にお客さんが少ない。少しでも呑みのお客さんが来たらいいな」という思いから、居酒屋で働いていた経験を活かして翔平さんが始めたものだ。

ボリュームも食べ応えもカツカレーに負けていない!
新しく生まれたおすすめメニューは「厚切り炙りチャーカレー」。カレーの上に、カツならぬチャーシューがドンッと鎮座!カツカレーよりもあっさりしていて食べやすいが、チャーシューに厚みがあるため食べ応え抜群だ。
翔平さんだけに、見事、ドライブインと居酒屋の”二刀流”!そんな翔平さんには、4代目候補となる2人のお子さんも。

家族でつなぐ過去、現在、未来
地元に愛され続けて55年。中華料理、そして居酒屋メニューの導入と、世代交代するたびにパワーアップしていく二本松ドライブイン。今後の発展も楽しみだ。
Chu!PRESS編集部
福島中央テレビ