10分で読める『ガンダムSEED』の物語<Road to 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM>

10分で読める『ガンダムSEED』の物語<Road to 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM>

  • WEBザテレビジョン
  • 更新日:2023/11/21
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第35話「舞い降りる剣」は特に高い視聴率を叩き出したことで知られている

【写真】女性ファンから絶大な人気を誇った主人公キラ・ヤマト(左)とアスラン・ザラ(右)

平成の大ヒット作『機動戦士ガンダムSEED』が完全新作の劇場作品、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』として2024年1月26日(金)より全国の劇場にて上映をスタートする。昨年からはテレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が話題になり、そこから「ガンダム」が気になりだしたという読者も多いだろう。とは言え、『SEED FREEDOM』は21年前のテレビシリーズから続く物語。「観てないし、ちょっとハードル高いかも…」と、気後れしている方もいるかもしれない。そんなSEED初心者のために、WEBザテレビジョン編集部ガンダム担当から「10分で読める『SEED』の物語」の分析記事をここで届けたい。

平均視聴率6.2%、最高視聴率8%の大ヒット『ガンダム』

『SEED』は2002年10月から始まったテレビシリーズ作品で、全50話。続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(こちらも全50話)と併せて2部作で放送された。TBS系列の土曜夕方6時から放送され(一部地域を除く)、『SEED』の平均視聴率は6.2パーセント。最高視聴率は8パーセントを記録。当時、アニメのゴールデン枠を指す「土6」という言葉を生み、アニメ専門誌ではない雑誌でも表紙、特集が組まれるほどの人気ぶりだった。そんな「SEEDシリーズ」はどんな物語だったのか? 全100話を一度に覚えるというのはなかなか骨が折れるので、まずは第1作目の『SEED』について知っていこう。

コーディネイターとナチュラル、対立する「2つの人類」

順を追ってあらすじから紹介すると、『SEED』はキラ・ヤマト(CV.保志総一朗)、アスラン・ザラ(CV.石田彰)という親友同士の2人の少年を中心に動いていく物語だ。舞台はコズミック・イラ(C.E.)と呼ばれる未来世紀。「コーディネイター」と呼ばれる遺伝子調整で生まれた優秀な人類と、自然のままに生まれた人々「ナチュラル」の対立が戦争に発展し、キラとアスランは両軍に分かれて戦うことになってしまう。

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【写真】女性ファンから絶大な人気を誇った主人公キラ・ヤマト(左)とアスラン・ザラ(右) / (C)創通・サンライズ

このコーディネイターというのが、「SEEDシリーズ」の覚えておきたい1つの鍵だ。受精卵の時点で遺伝子調整を施せば、生まれてくる子どもの容姿、才能は思いのまま。身体能力は強靭で、頭脳も明晰。となれば「ぜひ我が子をコーディネイターに」と飛び付きたくなるのが親のエゴというものだが、これを受けるには莫大な費用も発生した。結果、裕福層ばかりがコーディネイターの子どもを持つことになるのだが、これは普通の人々=ナチュラルにとってはやるせないことだった。もし自分がナチュラルだったときのことを想像してみてほしい。勉強でもスポーツでも、生まれながらにコーディネイターに敵わないとなったら、失意、妬み、理不尽に敵意も持ってしまうかもしれない。

世の中にそんな超人みたいな人間が増えたことでナチュラル側の反発は高まり、自然の摂理に反する人間の誕生に反発する人々ももちろん大勢存在した。そんな感情が世界に「2つの人類」という対立を生み、やがて「血のバレンタイン」(※)という最悪の事件に発展してしまうのだ。

実は、主人公のキラと幼馴染みのアスランは、共にコーディネイターだ。ただし、キラは次のような事情からナチュラルの軍隊「地球連合軍」でガンダムのパイロットになってしまう。ここから先は、「SEED」世界におけるモビルスーツとガンダムについて解説していこう。

キラとアスランの戦いを宿命付けたガンダム強奪事件

ガンダムとは、人型ロボット兵器「モビルスーツ(MOBILE SUIT)」の中でも特別な機体の通称だ。「お台場や横浜に建ってるやつ?」と思った人、それ正解です。正確にはお台場のは「実物大ユニコーンガンダム立像」、横浜のは「実物大動くガンダム」であって『SEED』のガンダムではないが、ああいう格好良いモビルスーツが本作にも多数登場する。

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キラ・ヤマトが乗るガンダム、ストライクガンダム / (C)創通・サンライズ

さて、このモビルスーツ。操縦するには戦車や戦闘機などとは比べ物にならない情報処理能力、センスが必要になり、ナチュラルでは乗りこなすのが難しいシロモノ。そのため戦場はモビルスーツを投入してきた「ザフト」(コーディネイター側の軍事組織)に有利な状況になっており、これを覆すために地球連合軍が開発したのが、強力な性能を持つ5機のガンダムだった。しかし、その情報をザフトにキャッチされ、地球連合軍は4機のガンダムを強奪されてしまう。

この強奪事件の際、突入部隊の1人であったアスランは1機のガンダム(ストライクガンダム)の近くにいた少年にナイフを向けるが、偶然にもその場にいたのはかつての親友キラであった。アスランはもとより戦うためにザフトに入隊したのだが、キラは避難の最中に居合わせただけの民間人。しかし、キラはストライクガンダムを操縦して窮地を脱し、以降、地球連合軍の貴重なガンダムパイロットとして、キラ自身も中立国オーブの資源衛星ヘリオポリスで共にいたナチュラルの友達たちを守るためにザフトと戦うことになってしまう。

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SEEザフトが強奪したガンダムの1機、イージスガンダム。デュエルガンダム。ガンダム対ガンダムの対決に注目 / (C)創通・サンライズ

一方、アスランも「血のバレンタイン」で母親を亡くしており、これ以上大切な人たちを傷つけさせないために、地球連合軍と戦うザフトの戦士となっていた。2人が大切なものを守るために、再会した親友を傷つけてまで戦う悲劇的なドラマは本作の大きな見どころになり、特に今までガンダムシリーズを観ていなかった女性たちを呼び込む魅力にもなっていったのだ。

キラとアスランをつなげ、導くヒロイン

キラとアスランの周りには、共に戦い、支えてくれる多くの仲間たちがいる。キラが乗艦する地球連合軍の新造戦艦「アークエンジェル」には共に避難民として乗り込んだ友人たちがいた。ナチュラルの軍艦ではあるが、キラという1人の少年を理解してくれる良き大人たちもいる。そしてアスランの周りには、コーディネイターの未来のために志を共にする戦友たちがいる。『SEED』はキラとアスランを中心とした物語ではあるものの、脇を固める人物たちとのヒューマンドラマも非常に奥深い。その中でもやはり注目したいのが、ヒロインの存在だ。

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中立国オーブの姫、カガリ・ユラ・アスハ / (C)創通・サンライズ

アスランの婚約者であるプラントの歌姫ラクス・クライン、キラに複雑な愛憎を向けるナチュラルの少女フレイ・アルスター、中立国オーブの勝気な姫カガリ・ユラ・アスハといった同年代の少女たち。キラ、アスランと心を通わせる彼女たちとの恋愛ドラマはときにトキメキ、ときに切なくもなるものだ。その詳しいエピソードはまた別の記事に譲るが、1人、最重要ヒロインのラクスについては物語を知る上でもここで取り上げておきたい。

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ザフトの歌姫、ラクス・クライン / (C)創通・サンライズ

アスランとラクスは親同士が決めた許嫁。アスランの父親はプラント最高評議会(※)の一員である国防委員長。ラクスの父親はプラント最高評議会の議長。いわゆる政略結婚を目的にされた2人だが、当人同士の仲は良好で、どちらかというと奥手で鈍感すぎるアスランのせいでなかなか次に進展しない間柄だった。普段は穏やかで心優しいラクスだが平和への願いは誰よりも強く、アスランに撃墜されたキラを救助したのをきっかけに、自身も戦いに身を投じていくことになる。これが地球連合軍でもザフトでもない、両者の垣根を超えた「クライン派」と呼ばれる第三勢力の誕生になっていく。

ここからは物語の終盤。やはり一度は観てもらいたいため最後の敵については伏せておくが、ラクスという新しい平和の旗印が立つことで、互いに葛藤し、苦しみながら戦っていたキラとアスランは和解。クライン派となった2人は共に戦い、地球連合軍とザフトの大戦を終結に導くことになる。

しかし、これで「2つの人類」ナチュラルとコーディネイターの対立が解消されたわけではなく、物語は2年後の世界、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』へと続いていくことになる――。

以上、駆け足ながら、ここまでが「10分で読める『SEED』の物語」だ。次回は続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』について解説していきたい。

※血のバレンタイン……地球連合軍が農業プラントに核ミサイルを撃ち込み、24万人以上の犠牲者が出た最悪の事件。2月14日に起こったことからこの名称が付いた。この暴挙によりコーディネイターにはナチュラルへの憎悪が深く刻まれ、戦争は解決の糸口が見えない泥沼と化してしまう。『SEED』の入口のエピソードでもある。

※プラント最高評議会……コーディネイターはプラントと呼ばれる宇宙コロニー群で暮らしており、各プラントが1つの都市のようなもの。最高評議会はプラントの最高意思決定機関になる。

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