女性アイドルたちは卒業後なぜ起業する? 運や才能に頼らなかった成功者たちの共通点

女性アイドルたちは卒業後なぜ起業する? 運や才能に頼らなかった成功者たちの共通点

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  • 更新日:2021/10/14
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『blt graph. vol.39』(東京ニュース通信社)

2021年9月、「ラーメン評論家の入店拒否」を宣言して注目を集めた、飲食経営者の元バイトAKBのメンバー・梅澤愛優香。メディアではトラブルの詳細がとりあげられたが、同時に、アイドル引退後の2017年9月にラーメン店を開店させ、それを皮切りに現在計3店舗を経営する起業家としての面も脚光を浴びた。

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バイトAKBは契約更新がなく、梅澤が採用された第1期も2014年8月から翌年2月までの期間限定活動だった。梅澤は自著『ラーメン女王への道 アイドルから店主への創業奮闘記』(2021年/さくら舎)のなかで、アイドルを続けなかった理由として、AKBグループでは20代前半で卒業する人が大半で、当時18歳だった自分は厳しい競争に勝ち抜いてもわずか数年で卒業タイミングが来てしまうことを挙げた。

そんな梅澤はバイトAKB在籍時も「ラーメン大好き」を公言し、「ラーメン関係の仕事がもらえたらいいな」と考えていたという。そしてバイトAKB関係者から、「そんなにラーメンが好きなら、こんな人がいる」と知り合いを紹介され、その人物が開業時にキーマンとなったと同著で記している。多くのアイドルは自分の好きなものや特技をアピールして、ファンとの交流に役立てたり、仕事に結びつけたりする。梅澤はまさにそれを起点に卒業後の人生を築き上げた。

2021年9月4日に乃木坂46を卒業した大園桃子は、自身のInstagramのアカウントで10月上旬にアパレルブランドをオープンすることを報告した。ちなみに卒業後にブランドを立ち上げたアイドルは、ほかにも元AKB48の小嶋陽菜、篠田麻里子らが思い浮かぶ。アイドルがセカンドキャリアとしてファッション業界へ進むのは、王道路線だ。AKBグループ、坂道シリーズにはファッションモデルとして活躍するメンバーも多数いる。そういった活動から、ファッション業界への興味がふくらんでいくのではないだろうか。

大園はアパレルブランド発足の発表時、「ファッション関係の頼れるお姉様方のお力をお借りしながら」と綴っていた。彼女もまたアイドル時代のファッションの仕事を通じて色々な関係者と知り合えたことが、今回の起業の後押しになったのではないか。

■島田晴香はアイドルの卒業後の就職を支援

アイドル卒業後に起業家としてクローズアップされた元AKB48のメンバーといえば、島田晴香である。2009年にAKB48の第6回研究生(9期生)としてグループに加入。2017年にグループ卒業・芸能界引退後は、ロンドン留学や広告代理店勤務などを経て2020年5月、人材紹介の会社、株式会社Dctを設立。事業内容はアイドルのセカンドキャリアを支援するもので、現役アイドルにオンラインプログラムを受講してもらい、卒業後の一般企業への就職をバックアップしている。

2012年11月をもってAKB48を卒業した佐藤夏希は、翌年6月にネイルサロンをオープン。佐藤は2019年2月21日にオンエアされたバラエティ番組『メッセンジャーの○○は大丈夫なのか?』(毎日放送)に出演した際、AKB48の人気が高まった時期の初期メンバーとあって「AKBバブル」の恩恵を受け、「人気がなかったけど月収は70万円ほどだった」と告白。そのときの給料を開店資金にあてて、現在に至っていると明かした。

同じオンエア回には、2010年9月に開催された『AKB48 19thシングル選抜じゃんけん大会』で優勝し、シングル曲「チャンスの順番」でセンターを務めた内田眞由美も登場。2015年10月にAKB48を卒業した内田は現在、新大久保で人気の焼肉店のオーナーを務めている。AKBグループのメンバーたちのサインが店の壁に書かれており、元メンバーがアルバイトとして勤務。ファンにとっては聖地的な場所であり、AKB48出身だからこその「武器」を生かして精力的に店づくりに励んでいる。

同番組では2019年6月20日放送回でもアイドルのセカンドキャリアを特集しており、元アイドリング!!!・伊藤祐奈の近況を伝えていた。彼女はアイドル経験を活用してイベント制作やキャスティングをおこなっているという。さらに伊藤は「飲食店とアイドルのコラボ」を目的とした事業も展開し、現役アイドルをアルバイトとして雇用。店としては販売促進につながり、アイドルたちは堂々と顔を出してアルバイトができるなどのメリットを見出した。

■起業で成功した元アイドルたちの共通点

彼女たちはいずれもアイドル時代の経験と考え方を発展させて、事業化している。アイドル活動で得たものを自分の人生の弾みにするのは、セカンドキャリアとして理想的ではないだろうか。特に島田晴香、内田眞由美、伊藤祐奈の事業は、アイドルとしての現実を知っているからこそ、その立場と気持ちに寄り添える内容だ。

また、起業した元アイドルたちの関連記事や番組を見ると、多くの者が学校へ通い直したり、会社に一度就職したりしている。芸能活動の経歴と人脈だけで渡り歩こうとせず、知識や社会経験を上積みしているのだ。時間、金銭、努力、根気をかけている。

姫乃たまの著書『職業としての地下アイドル』(2017年/朝日新聞出版)では、一般の若者と地下アイドルには「成功するために重要なもの」の考え方に違いがあると提議し、興味深く掘り下げている。同著は、さまざまなアンケートの回答と数値をもとに「地下アイドルは『個人の努力』があまり通用しない世界で、自分の努力ではどうすることもできない『自分の才能』に思いを馳せながら、巡ってくるかわからない『運やチャンス』を求めて活動を続けている女の子である」と、ひとつの結論を導き出している。なかでも筆者が着目したのは、「成功するには個人の努力が重要」と答えた地下アイドルが一般の若者に比べて少ないという結果だ。

地下アイドルと、AKBグループや坂道シリーズなどのいわゆる地上アイドルには違いがあるかもしれない。しかし「アイドルたちは才能や運を重視している」という傾向は、業界全体のリアルな反応であるように感じた。そういった世界から卒業して社会に出たとき、いったいどんなことができるのか。間違いなく言えるのは、運や才能以外のものが大きく求められるということ。起業で成功を収めた元アイドルたちの経歴を見ると、その点と向き合った上で自分自身を磨き上げて、今のポジションにたどり着いたように思える。

■アイドル特有の承認欲求も起業に結びつく?

起業の際、自分を支持してくれる人=ファンの存在も大きかったのではないか。私たちは普段の生活のなかで、ファンがつくなんてことはほとんどあり得ない。しかしアイドルである彼女たちには、その言葉、その仕草を愛してくれるファンが大勢いる。誰かを楽しませ、幸せにできる喜びも知っている。またアイドルを志す人の多くには「人気者になりたい」「認められたい」という承認欲求があり、卒業後もその気持ちは根底にあり続けるのかもしれない。それらを踏まえると、元アイドルが「起業」という形であらためて人々の前に立つ理由もどこか頷ける。

地上、地下を含めると全国には数えきれないほどのアイドルが存在する。彼女たちがアイドル経験を生かして、その後の人生でどんな仕事を展開するのか、楽しみでならない。(田辺ユウキ)

田辺ユウキ

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