小島慶子「アスリートは生身の人間 安心してプレーできる環境づくりを」

小島慶子「アスリートは生身の人間 安心してプレーできる環境づくりを」

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  • 更新日:2021/06/10
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エッセイスト 小島慶子

タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【写真】大坂なおみ選手のツイッターはこちら

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スポーツ中継を見るたびに思います。時には何千万、何億もの人が注視する中で心身の限界に挑戦するアスリートは本当にすごいなあと。勝敗の結果を世界中の人が見届けるのですから、負けた時はきついですよね。それに加えてメディアに嫌われないよう神経をすり減らし、何度も何度もインタビューに答え、さらに女性は容姿を取り沙汰されて、広告などで「強さと美しさ」のアイコンになることも。

テニスの大坂なおみ選手が鬱(うつ)病であることを明かしました。その告白自体も精神的に大きな負担になったはずです。病気であることを明かしたことを受けて、ようやく大会主催者やメディアがアスリートのメンタルヘルスに配慮する姿勢を見せました。大坂選手のスポンサーの多くは支持を表明。ネットなどで「後から病気だと言うのは言い訳では」と勝手なことを言っている人を見ると、本当に想像力がないなと腹が立ちます。

水泳の池江璃花子選手は、闘病を経て見事に復活しました。でも、オリンピックをはじめとしたいろいろなストーリーの象徴にされてしまい、そのイメージが負担になっているのではないかと思うことがあります。

見ることと、所有することは似ています。応援する喜びが、奉仕を求める気持ちに変わることも。有名になり大金持ちになったのなら、どんな時もメディアやファンの期待に応えるべき? メンタルがボロボロになっても耐えるのがプロ? 私はそうは思いません。それはアスリートを人間扱いしていないと思う。

アスリートは心身を鍛え上げて、まさに身一つで勝負して成果を上げているのだから、自分自身を守るのは当然です。

スポーツはファンあってこそだけど、「応援してやっている」という態度は敬意を欠いています。安心してプレーできる環境づくりをこそ、応援したいです。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

※AERA 2021年6月14日号

小島慶子

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