【体験談】最近太ったと感じたのは「卵巣がん」が原因だった

【体験談】最近太ったと感じたのは「卵巣がん」が原因だった

  • Medical DOC
  • 更新日:2022/11/25
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卵巣がんは初期の段階では、自覚症状がほとんどない「がん」です。進行した場合は、食欲がなくなる、下腹部がふくらんでいるように感じる、などをきっかけに卵巣がんが発覚するのが一般的です。とにかく早期発見がむずかしい疾患で、卵巣がんの存在が分かったときにはだいぶ進行していたというケースが多いのです。そんな卵巣がんと闘う、平塚いく美さんに話しを聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年12月取材。

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体験者プロフィール:
平塚 いく美

神奈川県在住、1987年生まれ。両親、弟、妹と同居している。診断時の職業は接客業で、定期検査の際に卵巣がん(胚細胞腫瘍という希少がん)grade2が発覚。手術までの待機期間中、卵巣が捻転・破裂し緊急手術にて右卵巣、卵管、大網を摘出。抗がん剤BEP療法を3クール(39本)行い、ケモブレインに悩まされて一時期は家から出れなかったが、徐々に落ち着き約2年間経過観察で過ごしている。

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記事監修医師:
鈴木 幸雄(産婦人科専門医・婦人科腫瘍専門医)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

音をたてずに忍び寄る、卵巣がんの恐ろしさ

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編集部

卵巣がんが判明した経緯について教えてください。

平塚さん

定期検診で婦人科に行った際「卵巣が大きいかもしれない」と言われ、MRI・血液検査をしました。検査の結果、医師から告げられたのは「卵巣がんの可能性がある」ということ。3cmほどしかないはずの卵巣が、お腹を満たすほど大きくなっていたようです。

編集部

どのように卵巣がんを告知されたのですか?

平塚さん

医師からは「MRIと血液検査の結果を見る限り、ほぼ悪性で卵巣がんの可能性が極めて高い」「手術して病理検査の結果から悪性か良性かの最終診断が付きます」と言われました。そのとき悲しさや不安はなく、他人事のように話を聞いたのを覚えています。その後、手術を受け、卵巣がんでも希少がんに分類される胚細胞腫瘍の未熟奇形種だと診断されました。

編集部

卵巣がんは「初期症状が分かりにくいがん」と聞きます。自覚症状はありましたか?

平塚さん

自覚症状は全くと言って良いほどありませんでした。仕事は1日中立ちっぱなしの接客業でしたが体調の変化はなく、月経も通常通りでした。不正出血もなく、今考えると「下腹部が少し膨らんでいたかな?」くらいの初期症状しかありませんでした。それも「最近少し太ったかな?」と錯覚するくらい微妙な感じで、当時は自覚できる初期症状はなかったのです。

編集部

卵巣がんと判明したときは、本当にショックが大きく、深く落ち込まれたでしょうね。

平塚さん

そうですね、本当の意味で落ち込んだのは抗がん剤治療が終わり、現実を受け入れたときです。旅行も仕事もキャンセルになり、楽しみにしていた語学留学に行けなくなったときは「人生詰んだ……」としか思えませんでした。自分の立てている人生設計が全て崩れた感じでしたね。

編集部

どのように治療を進めていくと説明がありましたか?

平塚さん

開腹手術で右卵巣、卵管、大網を摘出し、その後入院で抗がん剤治療をすると説明を受けました。抗がん剤は「BEP療法」というもので、3種類の薬を何度も点滴で投与し、3クールの投与が終わるまでに60日間かかりました。抗がん剤治療が休みの期間は、毎日抗がん剤で減ってしまった白血球を増やすための注射を打つというハードなメニューでしたね。

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編集部

抗がん剤の副作用で皮膚の黒ずみがあったと伺いました。

平塚さん

抗がん剤が進むにつれ皮膚が黒ずんでいきますが、指や足の関節は特に黒く汚くなります。そして黒ずんだ爪は剥がれていきます。

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編集部

それは大変でしたね。治療を進めていくうえで困ったことはありますか?

平塚さん

抗がん剤が腎臓に負担をかけないよう24時間生理食塩水を点滴するのですが、起きることさえままならない身体で夜中だろうと1時間おきにトイレに行きたくなってしまうのがとても大変でした。それと注射がとても苦手で、回数を数えていましたが、採血も含め刺した注射の数は62回でした(笑)。

編集部

セカンドオピニオンは受けられましたか?

平塚さん

希少がんということもあり、通っていた病院だけではわからないことも多く、様々な意見を聞くためにセカンドオピニオンを受けました。婦人科がんの専門の先生に診てもらった結果、設備の整った病院に移ることになりました。手術の方法やアフターケアなど、様々な提案をしてくださったので、セカンドオピニオンを受けて良かったと思います。

卵巣がんで変わりゆく生活

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編集部

卵巣がんの発症後、生活はどのような変化がありましたか?

平塚さん

まだ元の生活に戻れたわけではないので、今は体調を戻すこと、健康的な生活を送ることを目標としています。病気発覚前は1ヶ月休みなしで働くこともありましたが、現在は何事もほどほどにしようと思っています。

編集部

薬の副作用などはありましたか?

平塚さん

抗がん剤で副作用の出ないものは1つもありませんでしたが、その中でもブレオマイシンという薬剤の副作用が酷く、動悸や軽い湿疹、息苦しさがありました。服薬して5~6時間後にはいつも39度を超える発熱がありましたね。熱が下がらずに一晩中歯を食い縛ってしまうので、次の日には自分の声すら聞こえないくらいの耳鳴りやめまいがありました(蓄積されたシスプラチンという薬剤の影響もあったのかもしれません)。

編集部

脱毛はありましたか?

平塚さん

ありました。海外では抗がん剤や脱毛症の女性がファッションと検査啓発を兼ねて頭部にヘナクラウン(天然素材のヘナを使った、消えるタトゥー)を描くそうです。可愛いので私もやってみました。

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編集部

卵巣がん再発を予防するために気をつけていることはありますか?

平塚さん

私の卵巣がんは特別な原因があったわけではないため、具体的に何に気をつければよいのかわからないですが、ストレスをためすぎないように、今までよりもう少し自分に甘く適当に生きてみようと思っています。生きていくだけでストレスがたまるのが人間だと思うので、ストレスフリーに生きるのは何より難しいことだと思いますが(笑)。

編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

平塚さん

同じBEP療法をしている仲間でした。もちろん、家族や友達など多方面から支えてもらいましたが、同じ時期に同じ治療をしている同世代の仲間は一番の理解者であり、戦友でした。例えば「今日6日目だからツラい」と言っただけで、何がどうツラいのか、全てわかるのがBEP仲間です。希少がんの困るところは圧倒的な情報量の少なさなので、SNSで現状を報告し治療を共有しあっていたのですが、本当に心の支えになりました。

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編集部

現在の体調や生活などの様子について教えてください。

平塚さん

抗がん剤治療のストレスや色々な要因で、最後の抗がん剤治療から半年後にバセドウ病になってしまいました。そのせいで仕事には復帰できていません。2年経った今も通院しています。また片頭痛とは無縁な人生でしたが、ケモブレイン(抗がん剤投与期間に一時的に思考力や集中力が下がること)が落ち着いてきた頃から酷い頭痛持ちになりました。治療後に体質が変わってしまったのは間違いないと思います。

過去の自分と読者へのメッセージ

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編集部

もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?

平塚さん

何よりも、がん保険に入っておくこと。「もう少し年をとってからがん保険に入ればいいや」と思っていたのが残念でなりません。がんになって治療費だけでも大変なのに、税金や生活費など出費は増えるばかり。でも収入はないという。本当にきついです。実は、治療の後遺症で仕事に戻れない場合は、障害年金を受けられる可能性がありますので、治療を受けている病院のソーシャルワーカーに問い合わせてみるのが良いかもしれません。

編集部

卵巣がんを意識していない人に一言お願いします。

平塚さん

私の家系にはがんも、婦人科系の病気にかかった人もいません。ある日突然、がん宣告をされたところで原因もわからないため、自分の行いを後悔することすらできませんでした。防ぐことはできないかもしれませんが、早期発見ができれば辛い治療をしなくていい場合もあります。自覚症状がなくても、定期的に婦人科検診を受けることは決してマイナスではないと思います。

編集部

医療従事者との関わりはいかがでしたか?

平塚さん

私が入院していた病院の看護師さんはとても優しい方たちで、これ以上を望むことはありませんでした。ただ、希少がんの場合、診断や治療法の選択肢が複数ある場合もありますので、きちんとセカンドオピニオンを受けることが大切だと思います。これまでの自分の苦しんだ経験や不安だったことを是非何らかの形で、これから闘病する人のためになるものを残せたらな、と思っています。

編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

平塚さん

婦人科の診察は怖い、行きづらいと感じる方も少なくないと思います。でも病気になって「いつ社会復帰できるのか? いつまで生きられるのか?」と考える方が何倍も怖いです。だからこそ身体に異変を感じたときは、すぐに受診してください。あと、ヘルプマークの認知度が上がればいいなと思っています。かつらを被り長袖を着ていれば健常者と見分けがつかないため、体調がつらい時に優先席に座り、注意されたこともありました。

編集部まとめ

初期症状がほとんど見られない卵巣がんですが、平塚さんは婦人科での定期検診のおかげで発見できたそうです。平塚さんの「定期的に婦人科検診を受けることは決してマイナスではない」という言葉は、本当にそのとおりだと思いますし、ひとりでも多くの方にこの声が届いてほしいです。子宮頸がんの定期検診できちんと産婦人科にかかること、そして健康診断を毎年きちんと受け、後悔しないようにしたいですね。予防がむずかしい卵巣の病気でも、そうした検診をきっかけに見つかることもあります。

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