eスポーツと音楽の親和性とは - RAGEテーマソングを歌うポルカドットスティングレイに聞く

eスポーツと音楽の親和性とは - RAGEテーマソングを歌うポルカドットスティングレイに聞く

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/09/15
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eスポーツのプロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League 21-22」の大会公式テーマソングに、ポルカドットスティングレイの「ダイバー」が採用されました。ミュージックビデオ(MV)も公開され、楽曲、大会ともに注目度が上がっています。

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そこで、ポルカドットスティングレイのボーカル・ギターを担当する雫さんに、ダイバーの曲作りやMV制作の裏側、イベントと音楽の親和性などについて、話を聞きました。

――まずは自己紹介がてら、今ハマっているゲームを教えてください。

雫さん(以下、雫):ポルカドットスティングレイのボーカルとギターを担当している雫です。福岡出身の29歳で、2017年までゲーム開発会社でディレクターをやっていました。今ハマっているゲームは『Ghost of Tsushima』です。ダウンロードコンテンツもバリバリやっていて、ふんどし一丁で馬に乗って、敵陣に乗り込んでいます(笑)。

――なかなかのプレイっぷりですね。「RAGE Shadowverse Pro League」のテーマソングはゲーム好きやゲーム開発の経験からきたのでしょうか。

雫:いえ、普通にオファーを受けました。ポルカドットスティングレイのメンバーは全員がゲーマーなので「RAGEだ! Shadowverse(シャドウバース)だ! すげー、やったー!」ってメンバー同士で盛り上がりましたね。先方から提示されたテーマは、eスポーツ選手を志す人やeスポーツ選手を応援する曲だったので、「全力で応援します!」って。完成した曲は、eスポーツ選手はもちろん、夢を目指すすべての人に向けて歌っています。

あと、ベースを担当しているウエムラユウキは、“シャドバ廃人”なんですよ。いつもネクロマンサーがどうのこうのって熱く語っています。どうせ、たいしたことないんだろうってタカをくくっていましたけど、この前、大会にエントリーして健闘していたみたいなので、口だけじゃなかったんだって思いました。

――テーマソングは「応援歌」として作られたのですね。

雫:夢に向かってがんばるときって、場面場面で落ち込むことがあるじゃないですか。それでも「またがんばろう」って気持ちになると思うんです。なので、曲は「無理かもパート」と「やれるかもパート」の繰り返しになっていて、サビで「よっしゃー、かかってこい!」と吹っ切れる。テンションの上がり下がりを大きくしました。

曲調としては、シリアスなコード進行で始まって、Bメロで開放、サビで転調し、明るくなります。ダンスビートで鼓舞する感じですね。アレンジにも力を入れていて、2番のBメロではBPMを落としました。どーんと暗くなる。

ドラムも打ち込みにして、無機質さを演出しています。ギターはデモ音源。収録時に適当に何度も弾いてもらって、パッションを感じる仕上がりにしました。ライブで再現できるかどうかわからないほど、めちゃくちゃ盛り込んでいますよ。

――テーマソングとして、曲作りで意識したことはありますか。

雫:まず、曲がどういった使われかたをするか聞きました。ハイライトでサビを使用するとのことだったので、サビだけ使われても、そこで終わっても、満足できるよう、使いやすさを心がけましたね。

また、それとは相反するんですが、フルバージョンで聴いたときは、まるっきり印象が変わるようにしました。サビしか聴いたことなかったけど、フルで聴いたら、「こういう歌詞だったんだ」「曲調だったんだ」って、もっと引き込めるようにしたかったんです。そうすることで、曲も「Shadowverse Pro League」も、より深く感じてもらえると思いました。

――楽曲を聴く人たち、選手、オーディエンス、運営などに伝えたいことはありますか。

雫:この曲を聴いて、ぜひ応援されてほしいですね。正直、応援ソングとして、すべての引き出しを使い切りました。これ以上は出ない。最初は応戦ソングなので、みんなに歌ってもらえるようなパートも考えたんですけど、結果的にそれはなくなって、難しい曲になってしまいました。

さっきも言いましたが、ライブのことをまったく考えずに作ったので、メンバーもライブでは弾けないって言っています。まあ、全国ツアーのラストで「ダイバー」をやるつもりなので、できるようになるまで練習してもらいますけどね(笑)。

――MVを制作するにあたり意識されたことを教えてください。

雫:撮影は終わって、これから編集作業なんですが、いままでで一番大変な撮影でした。挑戦を応援するので、私たちも挑戦しないといけません。なので、MVでは初めて殺陣アクションもやり、ガチで殴り合いもしました。内容は自分のシャドウ、つまり分身との戦い。「Shadowverse Pro League」は、まさに「戦っているな」ってイメージなので、我々も「戦いてぇ」って思ったんです。「Shadowverse」のスタイルはプレイヤーにより異なるので、MVでもメンバーごとにさまざまな戦闘スタイルのアクションを披露します。

今までのMVでは、自分をいかに2次元に近づけるか、美しく撮るかを重視していましたが、今回はアクションがメインなので、鬼の形相で戦っています。

実際、本気で戦っていたら、自分がキレイかどうかなんて気にしていられないじゃないですか。その生々しさを伝えるために必要だったのが“本気の汚え姿”を見せること。編集作業で改めてチェックしたときに、さすがに使えない顔してたらどうしようと思っていますが(笑)、それくらい、普段のMVでは絶対NGの顔でしたね。いい意味で汚いMVになると思いますよ。撮影も大変だっただけに、すでにお気に入り。期待していてほしいです。……編集がんばろう。

――RAGEのテーマソングを担当し、eスポーツについてどう感じましたか。

雫:eスポーツはフィジカルに依存しないので、万人にチャンスがあると思いました。私は見たとおり、ちびっこなうえ身体も結構弱いんです。スポーツ選手には憧れますが、生まれ持った体格など、どうしようもない部分もきっとあるでしょう。でもeスポーツはその「しょうがない」がないんですよね。ネット環境があれば、どこでもできますし、「可能性の塊じゃん」って思います。といっても、ゲームがそこまでうまくないので、大会に参加することは考えていないですけど、大会の演出には関わってみたいですね。

――eスポーツは誰でも大会を開催できるので、「ポルカドットスティングレイ杯」を開催するとかどうでしょう。

雫:え、やりた! めっちゃやってみたい! 楽しそう。ウエムラを選手で出して。負けたら罰ゲームですよね。前回大会にエントリーしたときに、負けたらSNSのアカウント名に「シャドバの負け犬」をつける話だったのに、フワッとなしにしていたから、今度は絶対やらないと。大会のBGMや映像などの演出も全部やりたい。RAGEの人に相談してみよう(笑)。

――イベントにおけるテーマソングの役割についてはどう考えていますか。

雫:とても重要だと思っています。それだけに任せていただけたのは本当にうれしい。音って、意識していなくても耳に入ってくるじゃないですか。私自身が五感のパラメーターで耳における割合が高いせいもあると思うんですけど、景色はちょっと見たくらいだと記憶に残りにくくて、音は覚えていることが多いんです。たぶん、無意識でも入ってきちゃうんじゃないかな。そういう意味では大会を印象づける大事な仕事。一回聴いたら忘れないような印象を持ってもらいたいので、うるさすぎるくらいの作りかたをしています。

イベントとしては、ブランディングにひと役買うものですね。ダイバーがどこかで流れていたのを耳にしたら、曲名や演奏者の名前がわからなくても、「RAGE」や『Shadowverse』を思い起こすでしょう。もう頭の中はゲームの世界に飛び込むみたいな。

ただ、ゲームのBGMと違うのは、ゲームを印象付けつつ、曲として自立していないといけないこと。この曲が好きって人が、後々RAGEのテーマソングって知ってもらい、『Shadowverse』をやりだすこともあると思うんです。それって、曲が入り口になるわけですけど、曲自体を気に入ってもらえないと入り口にならないんですよね。そういう意味では、ダイバーはいい塩梅になったんじゃないかな。

ポルカドットスティングレイって、タイアップ曲が多めなんですよ。タイアップ曲ってクライアントの意向があるから、さまざまな制限があるんですよね。それを嫌う人も多いと思いますが、私は制限が多いほうが楽しめるんです。クライアントから要望が出るたびに、自分の中のペルソナがどんどん出てきて、希望通りの曲に仕上がっていくんです。それがすっごく楽しい。求めるものに対してそれ以上のものを返していきたいですし、そこにやりがいを感じます。まったくサラの状態で自由に作れって言われると困ってしまうかも(笑)。

――eスポーツイベントにマッチする音楽はどのようなジャンルだと思いますか?

雫:ダイバーには歌詞にメッセージ性を込めましたが、テーマソングって「なんかかっけー」って思う曲もありますよね。歌詞が英語で何言っているかわからないけど、かっこいい。選手にとっては、自分をかっこよく魅せるBGMってやっぱりうれしいんじゃないですかね。そういうのも、いつかやってみたい。歌詞にメッセージ性があると、それがメインになってしまう。そうでないところで、選手を鼓舞したい曲も作りたいですね。

――最後に、ファンにメッセージをお願いいたします。

雫:メンバー全員こだわりをもってやっているので、フレーズとかの発見をしてほしいという気持ちはあります。また、今回のダイバーはRAGE経由で入ってきた人には、ダイバーだけのMVだけでなくほかのMVも見てもらうと、私のキレイな姿を見られるので、そちらも見てほしいですね。

――ありがとうございました。

ポルカドットスティングレイ

福岡出身、4人組ギターロックバンド。2015年活動開始。メンバーの交代を経て、2015年8月、現体制になる。独特のメロディと歌詞、突き刺さるギターサウンドで、あなたのメンタルを抉っていく。

著者 : 岡安学 おかやすまなぶ eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。@digiyas この著者の記事一覧はこちら

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