JAL系、ハワイ・ホノルル線再開、 隔離後の隔離免除...国際線の“LCC化”加速

JAL系、ハワイ・ホノルル線再開、 隔離後の隔離免除...国際線の“LCC化”加速

  • Business Journal
  • 更新日:2021/06/10
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日本航空のボーイング777-300ER型機(「Wikipedia」より)

日本航空(JAL)の子会社でLCC(格安航空会社)のZIPAIR Tokyo(ジップエア・トーキョー)は、成田―ホノルル線の運航を週1便で7月21日から再開する。成田発が水曜日、ホノルル発が木曜日。10月までの夏ダイヤになる。機材はボーイング787-8型機(座席数は290席)だ。

ハワイ到着後に必要な手続きの一部を日本出発時に実施する。ハワイ州は、日本からの渡航者が出発前72時間以内に新型コロナウイルス感染症の検査を行い陰性証明書を取得すれば、ハワイ到着後10日間の隔離が免除される事前検査プログラムを導入している。プリクリアランス(事前検疫審査)により、ハワイ州検疫係員による審査が不要となる。

成田空港内提携機関でPCR検査を実施。出発当日に成田空港内でハワイ州指定用紙で陰性証明書を発行する。ジップエアは2020年12月19日、年末年始の観光需要を当て込み成田―ホノルル線を就航した。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で21年1月31日のホノルル出発便を最後に運航を休止していた。

大赤字でも強気の新中計

JALは2026年3月期までの新たな中期経営計画を策定し、LCC事業や非航空収入の拡大をテコに24年3月期にコロナ禍以前の利益水準を回復するという強気の目標を掲げた。

21年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益は4812億円(20年3月期比65%減)、EBIT(利払い・税引き前損益)は3983億円の赤字(前期は888億円の黒字)、最終損益も2866億円の赤字(同480億円の黒字)となった。12年の再上場以来初めて赤字に沈んだ。旅客数は国際線が前期比96%減とほぼ全滅、国内線も同66%減と惨憺たる結果だった。22年3月期は、新型コロナの収束が見えず「未定」とした。

「さまざまな変化に対応して持続的な成長を遂げたい」。赤坂祐二社長は記者会見で中期経営計画の達成について、こう述べた。中期経営計画の骨子は以下の通りである。

・収益目標:2026年3月期にEBITで1850億円の黒字(21年3月期3983億円の赤字)。

・航空事業:国際線の構造改革を進める。「JALブランド」の国際線を合理化し、LCCに注力する。中国系LCCの春秋航空日本を連結子会社にする。

・貨物事業:堅調な需要を取り込み、26年3月期に20年3月期比で売上高の5割増を目指す。

目標達成に向けた具体策の1つが国際線の構造改革だ。新型コロナウイルスの感染が収束した後を見据え、国際線を「稼げる体質」に転換する。JALブランドで展開する主力のフルサービスキャリア(FSC)事業では低収益路線の運休、機材削減を進めるほか、グループの格安航空会社と連携を深める。

LCCのダイヤの設定や予約システムはFSCとは異なる。訪日外国人客がLCCで成田に着いても北海道などへの移動は羽田空港からになる。「具体策はこれからだが、FSCとLCCでダイヤ設定や予約を連携する仕組みを考えたい」と赤坂社長は述べている。

5年間で8500億円の設備投資を予定している。大型機のボーイング777型機は削減し、787型機など中・小型機の比率を高める。グループ全体で使用する航空機は24年3月末で229機。20年3月末より12機減らす。

逆風下で策定した5年間の新中計では、24年3月期にEBITを1700億円の黒字、26年3月期には、これを1850億円に引き上げる計画だ。コロナの影響を除くと、20年3月期のEBITが1320億円の黒字だったという実績を踏まえても、この利益水準を達成するのは容易ではない。「コロナ禍からの復活以上の成長が必要になる」(関係者)。

LCCの営業収入を倍増させる

JALはアジアの観光需要について「国際的なビジネス需要よりコロナ収束後、回復が早い」とみて、国際線を強化する。観光客などに強いLCCの強化で補うという皮算用だ。中国系のLCC、春秋航空日本(千葉県成田市)に6月に追加出資し連結子会社にする。成田―天津、成田―ハルビンなどの路線に就航。中国からの訪日観光客の取り込みを図る。

ジップエア・トーキョーは、今後は米西海岸やアジアなどに路線網を広げる。豪カンタス航空と共同で50%ずつ出資するジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)も資本を増強する。

成田空港を中心としたLCCのネットワークを完成させる。一連のLCC強化策により26年3月期にグループLCCの収入を1500億円へと倍増させる。とはいえ、ジェットスターの営業利益率はコロナ前の19年6月期まで4期連続で1~2%台。競合他社に比べて低い。春秋航空に至っては、毎期数十億円の赤字である。

ANAは新しいブランドを立ち上げ

ANAホールディングスは傘下のLCCピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)の路線網を広げているほか、23年3月期をメドにアジアなどに就航する安価な国際線の新ブランドを立ち上げる方針だ。東南アジアやオセアニアなどが新ブランドのテリトリーとなる。一方、ピーチ・アビエーションは東アジアなどで棲み分けを図る。

JALもANAも、これまで中距離のLCCには注力してこなかった。飛行時間が長いほど、食事など機内サービスに旅客の関心が向きがちになるからだ。LCCはこの分野を簡略化することで利益を確保してきた。中距離のLCCは「国内線のLCCに比べて需要は限定的」(航空担当のアナリスト)との厳しい見立てもある。

(文=編集部)

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