65歳以上の半数以上がワクチン2回接種 それでも帰省「もうひと夏我慢を」医師が警鐘

65歳以上の半数以上がワクチン2回接種 それでも帰省「もうひと夏我慢を」医師が警鐘

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  • 更新日:2021/07/22
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AERA 2021年7月26日号より

東京に4度目の緊急事態宣言が発出された。宣言の意義や効果を疑問視する人が増えるなか、コロナ禍の2度目の夏をどう過ごすべきか。AERA 2021年7月26日号は「東京五輪」特集。

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最初の緊急事態宣言が行動変容、外出自粛に大きな効果をもたらした一方、2回目以降にその効果がなかったことは調査からも読み取れる。東京女子大学の橋元良明教授(情報社会心理学)らが昨年4月に行った調査では、緊急事態宣言発出によって「新型コロナに対する危機感」が増えた人が59.6%、「外出を自粛しなければいけないという気持ち」が強くなった人が62.7%いた。一方、今年1月、2回目の宣言時の調査ではそれぞれ26.8%、29.7%と半減している。橋元教授は言う。

「最初にあった恐怖心は薄れ、まん延防止等重点措置との違いもよくわからない。さらに、宣言による感染者減少の効果は見えないし解除の基準も不明瞭で自粛するモチベーションが湧きません。4回目になったいま、行動の変化は望めないでしょう」

加えて、今回の宣言やそれに伴う措置は医学的にも疑問だという。感染症に詳しい内科医でナビタスクリニック理事長の久住英二医師が言う。

「いま感染が広がるデルタ株は感染力が強く、飲食に絞った対策にほぼ効果はありません」

久住医師によると、デルタ株はマスクをした状態で短時間の接触でも感染の可能性があるという。人流が抑制できれば感染者減につながるが、人出が減らない限り飲食店を抑えても効果は薄い。事実、東京で確認される新規感染者が1千人を超えた7月14日、感染経路が「会食」である割合はわずか1.9%で、6割強が経路不明だった。

「保健所が相変わらず続けている濃厚接触者調査ではマスクを外した会食の有無などは詳しく聞かれる。つまり、大半の人はそういった場面以外で感染しています。アルコールや飲食を制限しても抑止効果は小さいし、時短営業も店の密度を増す可能性があって逆効果です」

さらに久住医師は、「東京はそもそも『緊急事態』ではない」とも指摘する。

「確かに感染者は増えていますが、重症化しやすい高齢者の割合はかなり下がっています。重症例・死亡例は減るはずで、同じ感染者1千人でもこれまでのようなインパクトはありません」

■もうひと夏我慢して

7月14日の東京都の感染者は20代・30代が全体の47%を占め、70代以上はわずか2.9%だった。さらに都では、既に65歳以上の8割弱が1回目のワクチン接種を終え、半数以上が2回目も接種している。久住医師によると、8月中には「ほぼ打ち終わる」という。

「イギリスの報告によると、ファイザー製のワクチンはデルタ株に対しても96%という高い入院予防効果が確認されています。ワクチンさえ打てば、仮に発症しても高度な治療が必要な状態にはほぼならない。科学的見地に立てば、少なくとも現時点で慌てて宣言を出す必要はありませんでした」

宣言を出すタイミングになく、対策も的外れ。行動変容も望めない。宣言にまだ大きな効果があると政府が考えているなら、それこそ「緊急事態」だ。ただし、慶応義塾大学大学院の小幡績准教授(行動ファイナンス)は国民の責任も大きいと指摘する。

「政府が稚拙で政策に軸がないのも問題ですが、感染者が増えると何とかしろと大騒ぎし、厳しい制限をしようとすればやってられないと批判する国民にも混乱の責任はあります」

ではこの夏休み、旅行や帰省はどうするべきか。久住医師は、旅行や帰省はできる限り控えてほしいと話す。

「『緊急事態』に値しないとはいえ、まだまだ全国津々浦々にワクチンが広まってはいないし、免疫治療中の方や抗がん剤を使用している方などワクチンを打っても免疫が付かない人もいる。そういった方々が安心して過ごせる社会をつくるためにも、ウイルスが全国に拡散される旅行や帰省はもうひと夏我慢してほしい。それは宣言の有無とは関係ありません」(久住医師)

小池百合子東京都知事が「この夏は『特別な夏』」と自粛を求めてから丸一年。「特別な夏」は再び巡ってきた。行動を決めるのは政府が出す宣言ではなく、私たち一人ひとりの判断だ。(編集部・川口穣)

※AERA 2021年7月26日号より抜粋

川口穣

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