「HarmonyOS」がついにスマホに ファーウェイはソフトウェアベンダーに転身を図る!?

「HarmonyOS」がついにスマホに ファーウェイはソフトウェアベンダーに転身を図る!?

  • ASCII.jp
  • 更新日:2021/06/10

ファーウェイがついに自社OS「Harmony OS」を搭載したスマートフォンを発表した。新バージョンの「HUAWEI Mate40」シリーズなどに搭載されて発売されるほか、スマートウオッチやタブレットでも動作するという。いよいよ自社OSを搭載したスマートフォンが船出を迎えた。

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スマートフォンだけでなく、タブレットやスマートウォッチ、IoTでも動作するというHarmonyOS

ついに登場するHarmonyOSスマホ 本国では旧機種も含めてアップデート予定

ファーウェイが2020年12月にベータ版を発表した「HarmonyOS 2 for Smartphone」だが、ついに搭載スマートフォンが発売を迎えた。今回リリースされるのは「HUAWEI Mate40 Pro」「HUAWEI Mate40E」、それにタブレット「HUAWEI MatePad Pro」、スマートウォッチ「HUAWEI WATCH 3」シリーズだ。

ファーウェイはまた、約100機種のファーウェイ端末でHarmonyOS 2を動かせるようになることも発表した。ただし、対象は中国のみのようだ。

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本国では古い機種に対してもアップデートを提供するようだ

ファーウェイは1月に、年内に合計で3億台の端末にHarmonyOSがインストールされるという目標を打ち出している。このうちの2億台がファーウェイ端末、残る1億台は外部という試算だ。

グーグルの独自OS「Fuchsia」も1.0に TizenはWearOSとの統合の道を歩む

HarmonyOSの歴史は随分昔にさかのぼれるようだが、2019年に「HarmonyOS」として公表してからの流れは、米政府との関係抜きには語れない。Android(AOSP)は利用できても「Google Mobile Services(GMS)」は利用できない。そこで「Huawei Mobile Services(HMS)」を立ち上げ、アプリストア「AppGallery」などのエコシステムを育ている。

ファーウェイが語るところによると、現在300以上のアプリとサービスパートナーが参加しており、開発者は50万人、ハードウェアパートナーは約1000に達しているという。AppGalleryの月間アクティブユーザーは5億4000万としている。

その上での、HarmonyOS for Smartphoneのローンチとなる。

実はこの1ヵ月、HarmonyOS以外にも面白い動きが2つあった。1つ目は、グーグルが開発を進めている独自OS「Fuchsia」がバージョン1.0となったこと。Googleのスマートディスプレイ「Nest Hub」の第一世代向けに配信を開始した。

2つ目は、サムスンが中心となって進めていた「Tizen」が、グーグルの「WearOS」に統合すると発表されたことだ。

スマートフォンのOSといえば、iOSとAndroidの2強状態が続いている。この14年間、古くはオープンソース化で挽回を図った「Symbian」、Nokia/Microsoftが進めた「Windows Phone」、ブラウザーからスマートフォンOSへの展開を狙った「Firefox OS」、あるいはLinuxディストリビューション「Ubuntu」のCanonicalが進めたスマートフォン向け「Ubuntu Touch」などが登場した。Ubuntu Touchは現在、UBportsのコミュニティによりメンテナンスが続いているが、それ以外は消えていった。

TizenがWearOSに吸収されるとなれば、活発なのはJollaの「Sailfish OS」(NokiaとIntelの「MeeGo」の流れを汲む)ぐらいかもしれない。

ソフトウェアへシフトせよ――創業者の社内メモが報道される

HarmonyOSをiOS/Android対抗と見るのは、実は短絡的なのかもしれない。ファーウェイはHarmonyOSの特徴として、アプリをバックグラウンドで稼働でき、中断後にタスクをすぐに再開できること、省電力性、セキュリティとプライバシーなどをアピールしている。コンシューマービジネスグループCEOのRichard Yu氏は、「1+8+N」というキーワードのもと、さまざまな端末がつながるスマートライフという文脈で、HarmonyOSがシームレスにハンドオーバーする図を描いた。ファーウェイはすでに自動車向けにもHarmonyOSを提供している。

問題は、HarmonyOSを採用するメーカーがどのぐらいいるのかだろう。スマートフォンでは現時点でファーウェイ以外のメーカーはいないようだ。

そしてファーウェイは、HarmonyOSをはじめとしたソフトウェアに生き残りをかけている。5月にロイターは独自報道として、創業者である任正非(Ren Zhengfei)氏が社員に宛てたメモを報じている。そこでは、同社は高度なハードウェアの製造がままならないことから、「米国の支配の外にあり、ファーウェイが大きな自由と自律を持てる」ソフトウェアが将来だとしている(https://www.reuters.com/technology/huawei-founder-urges-software-push-counter-us-sanctions-2021-05-24/)。

そこではオープンソースのアプローチをとり、コミュニティーから「栄養素を吸収」("absorb nutrients")するようスタッフに呼びかけているという。

もっともハードウェア企業がソフトウェアにシフトして成功した例はあまりない。ただ、ファーウェイのことだからやってのけるのかもしれない。一方で、HarmonyOSはオープンソースとなる約束だがまだ公開されていない。スマートフォン版については、Androidのフォークという報道もあったが、どうなのだろうか?

筆者紹介──末岡洋子

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フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

末岡洋子 編集● ASCII

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