ここが変だよ、日本の英語!日本の鉄道「英語アナウンス」は回りくどい?

ここが変だよ、日本の英語!日本の鉄道「英語アナウンス」は回りくどい?

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  • 更新日:2016/10/20
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英国の駅構内にある電光掲示板。停車駅案内には停車する駅を示す「Calling at」の文字が見える

国際社会となった昨今、日本国内でもあらゆる場所で英語による案内が一般化しつつあり、もちろん鉄道を中心とした公共交通機関も、表示や放送に英語の案内が用いられるようになった。あと4年後に迫った東京オリンピックへ向けて、さらなる整備が急務であろう。

ところで、昔からよく言われているのが、日本語の案内放送はいささか過剰気味ではないか、という話だ。日本に住む外国人同士の座談会などでも、必ずと言ってよいほど、この話題が出るが、実際のところ、外国ではどのような案内がされているのだろうか。ヨーロッパの事情をご紹介しつつ、日本と比較してみた。

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――欧州では少なかった案内放送

元々、英国を含むヨーロッパでは、駅構内や車内で不必要に長々と案内放送をする習慣はなかった。車内では、必要最低限の行き先や次の停車駅の案内程度、駅も行き先と停車駅程度の内容で、駅や列車によっては何の放送もない場合もあったほどだ。

とはいえ、近年は自動放送が普及したことで、以前と比較すれば、これでも結構いろいろな案内をするようになったと感じる。天候に応じた、「傘のお忘れ物にご注意ください」といった細かい案内まではさすがにないが、終点で忘れ物の注意喚起をするなど、昔ではありえなかった放送が、最近は各地で行なわれるようになってきた。

これは、各国で施行されたバリアフリー法の影響もあるようだ。ドアチャイムや電光掲示板も含め、最近は相当な老朽車両にも、しばらく使う予定がある車両には、自動放送装置が必ず設置されるようになり、こうした案内は車掌がせずとも、勝手に放送してくれるようになった。

日本人には聞き慣れない「英語」

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今やヨーロッパ各地で目にする、Mindという単語。しかし何といっても有名なのは、ロンドン地下鉄のMind the Gapだ

Mind the Gap――英国を旅したことがある人であれば、おそらくほとんどの人が耳に、あるいは目にしたことがあるかもしれないフレーズではないだろうか。Mind~というのは、まさにブリティッシュ・イングリッシュの表現で、「気を配る、注意する」という意味になり、Mind the (closing) Door(閉まるドアにご注意ください)のような表現としても使われる。

日本の英語教育が、アメリカ英語(米語)をベースとして発展してきたことから、日本国内における鉄道用語や案内も同様に、アメリカ英語の表現が多く用いられているため、このMind~という表現は、我々日本人には新鮮に映るかもしれない。おそらく、アメリカであれば、Watch your stepのような表現になるのではないだろうかと思うが、Watch~という表現は、逆に英国ではほとんど一般的ではない。

停車駅の案内も、英語と米語で異なる。「停車駅」と聞くと、stopという単語がまず思い浮かび、実際日本の列車内ではStopping at~という表現が一般的だが、英国ではCalling at ~を使う。

――英語の案内はシンプルだ

ところでMind the Gapとは、実に簡潔な表現で、日本であれば、「電車とホームの間が、一部広く空いているところがございます。お降りの際は、足元に十分ご注意ください」といった感じで、丁寧に放送されるのが通例だが、英国ではたった3語、Mind the Gap、せいぜい最後にPlease を付けて4語で済む。

これには、各言語の事情も大いに関係していると思う。日本語には「です・ます調」や「だ・である調」といった表現方法や、相手の立場に合わせて使い方を変える尊敬語や謙譲語といった用法の違いなどがある。日本語を学ぶ外国人が、難しいと感じる最大のポイントがここであるが、英語は実にシンプルで、基本的に誰に対しても使う言葉は同じだ。日本国内の英語案内が、たまに少々回りくどい、難しいと感じるのは、日本語の案内を忠実に英訳しようとした結果なのではないか、と考えている。

もっとも最近、特に英国の列車内では、Mind the gap between the train and the platformのように、少し丁寧な案内をするようになってきた。昔の英国を知る人であれば、少し驚くかもしれない。

英国以外ではどんな英語放送が?

英国以外のヨーロッパ各国では、どのような英語の案内がされているのだろうか。地続きで、多くの国際列車が運行されているヨーロッパでは、自国語以外に近隣諸国の言語と英語の案内は必須で、国際列車に乗務する車掌は、まずマルチリンガルである場合がほとんどだ。スイスのように公用語がいくつもある国の場合は、そのすべての言語を話せる人がほとんどで、もちろん英語は必ず通用する。

では自国語で案内した車内放送は、内容をすべて忠実に英訳して放送しているかというと、必ずしもそういうわけではなかった。英語の案内は、基本的に外国人旅行者へ向けた案内であり、不必要な内容まで英語にして案内する必要もない、ということなのだろう。

私が過去に、何度も笑い話として紹介しているのが、イタリアの高速列車車内での話だ。今から10年以上前、まだ21世紀を迎えたばかりの頃だったと思う。満員の乗客を乗せたローマ行きの列車は、ミラノを出発すると、車内でイタリア語による案内放送が始まり、途中停車駅と到着時刻、車内設備や食堂車の案内などが延々と続いていた。

やがてイタリア語の案内が終わると、「Ladies and Gentlemen」と英語による案内がスタートした。当時、ほかのヨーロッパ諸国を見回しても、国内列車の車内で英語が放送されることは珍しく、イタリアも頑張っているものだと大いに感心したら、「next stop Bologna(次はボローニャ)」だけで終了し、あれだけ放送していた途中停車駅も到着時間も一切案内が無く、あぜんとしたことがあった。

よく、日本人は英語が苦手だ、ということを耳にするが、ヨーロッパでも英語が通じない地域はまだまだ多い。特に地方のローカル線では、地域住民はもちろんのこと、車掌とすらコミュニケーションを取ることが難しいと思っておいたほうが良い。ちなみに現在のイタリアでは、多くの車両に自動放送装置が設置され、英語でもさまざまな案内が行なわれるようになってきた。

――特急=Limited Expressは「米語」

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インターシティの名前を有名にした、英国の特急列車インターシティ125はディーゼル機関車が牽引・推進する

急行よりさらに上位の、特別な列車として特別急行、すなわち特急が誕生した。この英訳は、日本国内ではLimited Expressと訳するのが一般的となっているが、世界を見回すと、この表現はアメリカなど、一部の国でしか用いられていないようで、日本で使われているLimited Expressもアメリカから輸入されたものだ。そのアメリカでは、旅客列車が衰退したことで、この言葉も死語のようになっている。

では、多くの旅客列車が走るヨーロッパでは、どのように種別を分けているのか。一口にヨーロッパと言っても、国によって分け方も呼び方も異なっているが、昨今は高速列車が各国の最上位列車になったことから、上から順に高速列車、国内外の在来線特急列車、特急より停車駅の多い急行・快速列車、各駅停車のように分けられ、呼び方も各国で異なる。

高速列車は、愛称がそのまま種別を指すパターンが多く、フランスならTGV、ドイツならICEとなる。在来線を主に走る特急列車の種別で、ヨーロッパで最も一般的なものは、インターシティ(国際列車はユーロシティ)であろう。

列車種別はどう表す?

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オランダ国内で運転される各駅停車「Stoptrein(ストップトレイン)」

種別としてのインターシティ(『都市間の』の意)という呼び名は英国が発祥で、すでに1950年代から列車名として存在しており、1960年代には急行列車の呼び名として使われるようになったが、世間一般に広く知られるきっかけとなったのは、1976年にデビューした最高時速200キロの特急列車「インターシティ125」であろう(125とは最高時速125マイル=200キロを指す)。

日本では、元になる言葉を忠実に訳す例が多いが、このインターシティのように、現地の種別は必ずしも列車の特性を忠実に表しているわけではない。

そのインターシティより停車駅が多い列車が、通常の急行列車、すなわちExpressとなるわけだが、日本と同様、特急すなわちインターシティの大衆化が進んだことで、急行の存在意義が薄れており、快速に相当する料金不要の列車、Regio Expressといった列車が主流になっている。ローカル列車は、Regionalという単語を用いたものが多い。日本風に「各駅停車」と明確に示した種別では、オランダのStoptreinという種別があり、文字どおり各駅停車の種別となっている。

――ちょっとおかしな日本の英語放送

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英国・サザン鉄道の車内にある優先席の表示

それまで何げなく聞いていた、日本の車内放送。ネイティブスピーカーや、長年海外で生活している人でなければ、特に気になることはなく、そういうふうに言うのか……程度にしか思わず聞き過ごしてしまうだろう。筆者は、自慢できるほど海外生活が長いわけでもなく、英語も堪能ではないが、今になってふと思い返してみると、「ちょっとおかしいような……?」と感じる表現があったことに気付く。

たとえば、JR山手線車内で放送されていた案内放送のうち、優先席の案内について。私が日々利用していた頃、すなわち少なくとも2012年より以前は、優先席の案内にHandicap passengersとExpecting mothersという言葉が入っていた。

日本で「障がい者」という言葉が、差別的な表現として使われなくなったことと同様、英国でもHandicapという言葉は一般的ではなくなっており、Disabled peopleもしくはPeople with disabilitiesという表現が一般的である。また、Expecting motherは文法的に間違っていて、Expectant motherが正しい。

参考までに、地元のサザン鉄道(Southern)で優先席などに使用される表現を調べたところ、

People with disabilities, Expectant mothers, Elderly passengers, People carrying infants、もしくはDisabled people, Pregnant ladies, Older people, People with small childrenという表記も使われている。

上記の表現は、最新のE235系車両では改善されているようだ。自動放送が普及すると同時に、英語の案内放送も増えてきたが、表現として好ましくない、あるいは一般的ではない部分に関しては、今後も修正されていくだろう。

著者
橋爪 智之 :欧州鉄道フォトライター

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