ファンの店 第4回 Dragon Ashファンが営む、煮干し香るラーメン店

ファンの店 第4回 Dragon Ashファンが営む、煮干し香るラーメン店

  • 音楽ナタリー
  • 更新日:2019/01/11

自らがファンであるという理由から、お店を好きなアーティストの色に染め上げてしまった“筋金入りの〇〇ファン”な店主たちがいる。ここには、同じアーティストのファンたちが全国から集まる。本企画ではそんな筋金入りのファンが集う飲食店を全5回にわたりレポートしていく。今回は東京・綾瀬にある、Dragon Ashを敬愛するラーメン店に登場してもらった。

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Kjはカッコよくてアツくて優しかった

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陽はまたのぼるは東京都足立区の綾瀬駅から徒歩8分にあるラーメン店。この店は外まで香る煮干しダシが自慢だ。店内に入ると、箱詰めされた煮干しが厨房に入りきらず、客席の後ろにまで並んでいる。「うちは“圧倒的な煮干し”がウリなんで、狭くなっちゃってすみません(笑)」と話すのは店主の大川真弘さん。約7年の修業のあと2017年4月にオープンした。

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大川さんは当時を「似た人がいるけどまさかそんな訳ないと思ったら、『来たよ、本物が』って。本当にKjだったんですよ。『この人に今からラーメン作るのか』って思ったら、うれしさと恐怖で吐きそうになりました(笑)」と振り返った。初対面時の印象を聞くと「『写真を撮ってほしいんですけど、お客さんにラーメン作らなきゃいけないから』と言ったら、お客さんが切れるまで奥さん(MEGUMI)と一緒に待っていてくれて。思っていた通り、カッコよくてアツくて優しかった」と、たった今会って来たかのように高揚した様子で話してくれた。

22歳でラーメン屋さんになることを志した大川さんは、厳しい修業時代はよく「Run to the Sun」を聴き、「駆け出しもせずあざけ笑って見てる奴には届きやしない所までも不恰好に届いてやれ」という歌詞に励まされたそうだ。

「あの日、そのことをKjに伝えたら『次のライブに来るときにやるわ』って言ってくれて。期待はしてなかったんですけど2018年12月11日のDragon Ashのツアー『UNITED FRONT』の当日、Kjが『ラーメン屋の陽はまたのぼるに捧げます』って言って『Run to the Sun』を歌ってくれたんです。間奏では『俺もまだまだ曲たくさん作るから、お前もうまいラーメンたくさん作れよ』って。気付いたら号泣しながらクラウドサーフしていました。いつもファンの顔を見渡しながら歌うKjなのに、そのときはじっと一点だけ見ていたんですよ。あれはあえて俺と目が合わないようにして『まだまだここからだぞ、勘違いするなよ』っていうメッセージだったと解釈しています。そういうところがまたカッコいいんです」

破壊と創造を繰り返す

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メニューはあっさり系の「煮干しそば」「塩煮干しそば」と、パンチの効いた「濃厚そば」の3つがメイン。朝に仕込んだスープを売り切ったら営業を終了させるため、土日はお昼で閉店になることもしばしば。人気メニューの「濃厚そば」はオープン当時、大川さんが好きな“攻撃的でしょっぱい味”で出していた。しかし地元のおじいちゃんおばあちゃんがそのラーメンを食べにくそうにしている姿を見て、“みんなが食べやすい味”で提供しようと改良を繰り返してきたという。だが最近そのラーメンを自分で食べ、作りたかったラーメンと違うということに気付き、また自分が食べたいと思うラーメンを作ってみることにしたのだとか。「濃厚そばは今、イチから作り直そうと試行錯誤しているところです。オープンしてから“作っては壊してまた作る”を繰り返しています」と大川さんは話す。そしてその味が変化していく過程を楽しみに来店する常連客も多いという。

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大川さんがDragon Ashのライブに行く日、陽はまたのぼるは閉店になる。「Twitterに『ライブのため閉店』と書いてもみんな『楽しんできて』って温かく言ってくれるんです」と申し訳なさげに肩を竦ませた。来店客は近隣住民が多く、約1割がDragon Ashファンなのだとか。「やっぱり地元のお客さんに喜んでもらうことが大切ですから」と言いつつ、これからもっとDragon Ashファンが集まる店にして地元からもファンからも愛される店にしたいという思いがあるそうだ。

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取材の日、大川さんは「Dragon Ash Live Tour 2017 MAJESTIC」のツアーTシャツを着ていた。お店では毎日必ずDragon AshのTシャツを着るためライブに行けば物販で新作のTシャツを全種類購入するらしい。最近では常連客がレアなグッズを持って来てくれることもあるという。

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圧倒的中二力

店名の由来はもちろん、Dragon Ashの「陽はまたのぼりくりかえす」だ。大川さんが25歳のときに初めてこの曲を演奏するDragon Ashを生で観て感動したことから、自分の店の屋号にした。オープン以来店ではDragon Ashの曲だけを流している。ファンになった当時を振り返り「初めてライブでKjを観たときにあまりにもカッコよすぎて震えが止まらなくなっちゃったんです。それから過去の作品も全部聴いて、Dragon Ashしか聴かなくなっちゃいました。一途なんで」と言って笑った。「Dragon Ashの曲はCDで聴いてもカッコいいですが、ライブで聴いて初めて本当のカッコよさがわかる。新曲を初めてライブで聴くと『この曲はこういう曲だったんだ』って完結するんですよ。Dragon Ashはライブバンドだし、やっぱり生で聴かなきゃダメなんです」と言うように、大川さんはライブにこの5年だけで12回足を運んでいるそうだ。

「3人で始めてDJ、ダンサー、ギターが加入して、IKUZONEが亡くなって、KenKenが入って……って、紆余曲折ありながらもメンバー同士すごく仲がよくて、仲間思いの人たちが集まったバンドだと思います。特にKjはほかのバンドとも仲がよくて、人に愛される人。そのKjをバンドのみんなが支えて盛り立てている。Dragon AshのライブDVDとかを観るとみんな和気藹々とした雰囲気が感じられるんですけど、一方、曲には身も心も削って作ったんだろうなっていうカッコよさがあって、昔の曲も色褪せないしアルバムによってやっていることが全然違うから“Kjが今は何を聴かせたいと思っているか”っていうのがすごく伝わるんです。そして最大の魅力は照れ臭いアツいことを堂々と言ってしまう歌詞の“圧倒的中二力”なんです。そこが中二病をこじらせた僕にはすごく響くんです」

そして最後に「Kjが自分のラーメンを食べてくれて、ライブで『Run to the Sun』を歌ってくれて、2018年はラーメン屋をやってDragon Ashのファンで本当によかったって思うことができました。目標にしていたことが1つ叶いましたけど、KjがライブのMCで言ってくれたように、まだまだおいしいラーメンを作っていくことが自分の仕事だし、ラーメン屋としてお客さんをがっかりさせないように、Kjに恥ずかしくないように“どんなときもラーメンを作り続ける”という覚悟を持ってやっていきたいです」と語り、話を締めくくった。

次回は福岡県にある椎名林檎のファンの店、喜人を紹介する。

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店舗情

住所:東京都足立区綾瀬2-1-4
電話番号:03-6231-2040
営業時間:月、木~日
[ランチ] OPEN 11:30 / CLOSE 14:30
[ディナー] OPEN 18:30 / CLOSE 21:00
※材料が無くなり次第閉店。
曲のリクエスト:不可
今好きな曲:「Run to the Sun」「Lily」「百合の咲く場所で」「The Show Must Go On」
よくかけている曲:「Ivory」「Stardust」

取材・文・構成 / 中村佳子(音楽ナタリー編集部) 撮影 / 阪本勇

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