戦力外リストに入っていた男が阪神の危機を救う

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  • 更新日:2017/08/15
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今オフの戦力外リストに入っていた岩田が故障者続出の阪神を救うか(写真・黒田史夫)

阪神は投打が噛み合い11日の横浜DeNA戦を8-1で勝利、“2位争い”のゲーム差を「3」に広げた。阪神の先発全員安打、筒香の落球、鳥谷の幻アーチなど、話題満載のゲームだったが、阪神を勝利へ導いたのは、先発、岩田稔の7回3安打1失点の99球だった。

立ち上がりにピンチはあった。一死から田中の三塁線への打球を鳥谷が弾き、筒香にはフルカウントからストライクに取ってもらってもおかしくないカーブをボールと判定されて四球。一死一、二塁にされたが、岩田は、「先制点は絶対に与えたくなかった。全力でゼロを(スコアボードに)付けに行った」とギアを入れた。
ロペスには、この日最速となる146キロのストレートでライトフライ、宮崎はチェンジアップでピッチャーゴロ。足元の難しい打球をさばいた。ホームベースを端から端まで使う投球術である。

4回二死までノーヒット。5回に倉本にタイムリー二塁打を許して1点を失うが、大量リードに支えられ、7回一死一塁のピンチも、代打・G.後藤が三遊間へ引っ掛けた打球を逆シングルでさばいた大和が、ジャンピングスローで二塁併殺に仕上げる超ファインプレー。「すごいゲッツー。最高です。とても助かります」
バックに助けられ岩田は今季2勝目を手にした。

試合前に、メッセンジャーの「右足腓骨の骨折」が発表された。前日の巨人戦で打球が右足のくるぶし付近を直撃したものだが、最悪、今季絶望の重症である。チームトップの11勝をマークしているエースの離脱。岩田は、「1人でまかなえるかはわかりませんが、ランディが帰ってくるまで、みんなで団結していきたい」と一致団結を誓い、メッセ離脱のショックを払拭した。

99球中ストレートは36球。果敢にインサイドを攻めた。その象徴は、6回、先頭の筒香の打席。岩田は146キロのインハイのストレートで空振りの三振に斬って取った。気迫が溢れていた。

金本監督も、「メッセの穴を埋めてやるという気持ちがあったんじゃないか。先発陣はこういうときこそ、俺が絶対に穴を埋めるという強いハート持って欲しい。チャンスだし、今日の岩田には感じた」と、岩田のそのハートを讃えた。

岩田のハートの裏にあるのは、この世界での生き残りをかけた切実な危機感だろう。

岩田はつい2か月前まで今オフの戦力外リストに入っていた。33歳。オリックスからFAで糸井を獲得した際の人的補償のプロテクトから岩田の名前は外れていた。オリックスは年齢面を考慮し岩田を指名せずに金田を獲得したが、事実上の戦力外である。
昨季は、開幕からローテーションに入ったが、4試合で0勝3敗、防御率7.11と結果を出せず2軍落ち、9月に中継ぎ起用されたが、6試合、0勝3敗、防御率8.85の成績に終わっていた。

今季も1軍キャンプメンバーには選ばれたが、秋山、青柳の台頭で開幕メンバーから漏れ、長い2軍生活が続いていた。この7月下旬から6連戦が続くために、第6の先発の椅子が生まれたとき、当初、昇格候補は、島本か岩田かの選択だった。だが、島本に故障の不安があり、1軍が求めていたのは先発のポジションだったため、ファームの首脳陣は、怪我なく週に1度のローテーションを開幕から崩すことなく守り、防御率3.32と安定した成績を残していて、直近の試合でボールにキレが出ていた岩田を推薦した。戦力外リストに載っていた男のラストチャンスだったのである。

実は、昨年、阪神の余剰戦力となっていた左腕の岩田に目をつけた楽天が、トレードを画策したこともある。交渉は成立しなかったが、2度も阪神のユニホームを脱ぎかけた男が救世主となったのである。

これで676日ぶりの白星をマークした7月27日の横浜DeNA戦から、3試合続けてゲームを作った。今や立派なローテーション投手。メッセンジャーが離脱、秋山も大腿部の違和感で登録抹消中、岩貞も制球不安で2軍落ち。藤浪が16日の広島戦で復帰してくるが、崩壊の危険性のあるローテーションの中で、戦力外リストに入っていた岩田の存在が、頼りになってきた。

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