不眠症と思い込むことは実際の不眠症よりも有害であるという研究結果(米研究)

不眠症と思い込むことは実際の不眠症よりも有害であるという研究結果(米研究)

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  • 更新日:2017/11/13
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「眠れない。ああ眠れない。自分は不眠症かもしれない」そう思えば思うほどにますます眠れなくなってくる。不眠症の特徴は、定期的に起こる日常生活に影響するような不眠だ。

不眠症を訴える人の多くは、客観的に測定できるような形できちんと眠れておらず、それについて不満を持っているということだ。

ところが、本当は不眠症だが、そのことに不満を持たない睡眠不足の人は、日常的な疲労や不安による悪影響は出ていないという。

睡眠不足と不眠症に関する総合的研究

アメリカ・アラバマ大学のケネス・リヒシュタインが『Behaviour Research and Therapy』に発表した論文「不眠症アイデンティ」では、睡眠不足と不眠症の訴えとの関係性を把握するために、それぞれを個別に測定した20本の研究をレビューした。

それらの研究は、「一般的な眠りにつくまでの時間は?」や「眠りに満足しているか?」といった研究テーマを掲げていたり、被験者自身が不眠症であることについてどの程度確信を持っているかを直接訊いたりしたものだ。

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睡眠不足であってもそのことに不満がなければ日常に害を及ぼさない

400名以上のボランティアを調査した1995年の研究では、過半数が専門的には睡眠不足(6ヶ月の間、週に3日以上30分過ぎても寝付けないことがある)だったが、本人らはストレスを感じていたり、不眠症であるとは考えていなかった。

”不満のない寝不足の人”は、きちんと眠っている人と比べても、日常的な疲労や不安による悪影響は出ていなかった。

睡眠ポリグラフ検査(脳波や生理学的指標で睡眠状態を測定する)と睡眠日記からも、この発見が裏付けられた。

追跡調査でも、不満のない寝不足の人は一般の人と比べて不安やうつのレベルが高くないという結果が得られている。

1700人という大規模なデータセットでは、短時間の睡眠が高血圧を350~500%増加させることが判明しているものの、このことは自分が不眠症であると考えていない人たちには当てはまらなかった。

従って、短時間の睡眠が必ずしも不眠症にまつわる経験を生じさせるわけではないし、それによる健康への悪影響が出るわけでもない。

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不眠症と思い込むだけで不眠症と似た症状が現れる

一方、人が不眠症だと不満を訴えるようになるために睡眠不足は必要条件ではない。

睡眠ポリグラフ検査と睡眠日記の研究は、睡眠パターンが臨床的な不眠症の基準を明らかに満たしていないというのに、自分が不眠症であると思い込んでいる人がいることを示している。

しかも”不満のあるよく寝ている人”は、日常的な疲労、不安、うつといった臨床的な不眠症を患う患者と同じ症状を経験していることがあった。

最近の研究によれば、睡眠の質自体は自殺願望とは関連がなく、睡眠不足であると考えていることが問題であるという。

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不眠症であると訴える人の37%は睡眠不足ではない

こうした結果を踏まえて、リヒシュタインは不眠症であると訴える人の37%は「従来の基準によれば睡眠不足ではない」と報告した。

そうした人の睡眠に問題がないとは言わないまでも、その眠りは確かに通常の睡眠時間の範囲にはあった。

その一方で、通常の睡眠レベルに当てはまらないのに、不眠症とは無縁のまま暮らしている人も存在する。一体どういうことなのだろうか。

思い込みによって形成される「不眠症アイデンティティ」

ヒリシュタインの考えでは、きちんと寝ているのに自分が睡眠不足だと考える人は、思い込みのバイアスによって作られる”不眠症アイデンティティ”があるのだという。

例えば、不眠症アイデンティティのある人には、15分経っても眠りに落ちないのは異常であるという、非現実的な考えがあるのかもしれない。

心気症の気がある人や破滅的な思考(慢性的な痛みに関連するとされる)の持ち主は、ちょっとした出来事を大げさに受け止めることがある。

不眠が和らぎつつあるタイミングで、たまたま眠れない日があったとしたら、またぶり返したと思い悩む。こうした不安がますます眠りにくくさせているのだ。実際の睡眠不足が大したことのないものであっても、就寝時間が生き地獄と化してしまう。

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本当の不眠症なのか?不眠症アイデンティなのか?確認する必要性

セラピストにとって不眠症アイデンティティを持つ人の治療は特に厄介かもしれない。きちんと症状を治したとしても、患者の思い込みのせいでいつまでも問題が消えないのだ。

このアイデンティティがあると、自分の問題を疑うことも難しくなる。さらに、寝不足になろうという歪んだインセンティブすら生じさせかねない。

不眠症の診断は患者の眠れないという訴えで始まり、ほとんどの医療関係者はきちんと診断を下す前に睡眠検査を受けてはどうかと勧める。

もしかしたら、そこには本当はきちんと眠れているのに不眠症アイデンティティのせいで苦しんでいる人が大勢いるのかもしれない。

リヒシュタインは、患者に「通常の睡眠とは?」「睡眠は完璧でなければならないか?」「不眠症に見せる必要があるか?」といった質問をするのも手だと提案している。

via:sciencedirect/digest.bpsなど/ translated by hiroching / edited by parumo

不眠症じゃなくても、心に不安があると眠れなくなるし、「眠らなければ健康を損ねてしまう」という強い思い込みが余計不眠を悪化させたりして、睡眠と上手に付き合うのは難しいね。というか人間の脳の思い込みとか強迫観念とかそういうのが、すべてに影響を及ぼしてるってわけだね。

あとさ、眠るためにお酒を飲むの。と言って毎晩お酒を飲んで寝る人もいるようだけど、毎晩睡眠薬を飲んで眠るのと、どっちの方が体にとってマシなのかね?

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