日本代表に何が欠けていたのか? データに見るブラジル戦の敗因...王国に勝った項目も

日本代表に何が欠けていたのか? データに見るブラジル戦の敗因...王国に勝った項目も

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  • 更新日:2017/11/13
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「チャレンジの勝率」では日本がブラジルを上回る

バヒド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は、10日の国際親善試合ブラジル戦で1-3と敗れた。前半に3失点を喫した日本は、後半にDF槙野智章が1点を返したもの、力の差を見せつけられる結果に終わっている。

試合後にハリル監督は多くの改善点があると口にしながらも、「二面性があった。前半は残念だったが、後半はかなり満足のいくものだった」と後半の内容に一定の評価を下した。後半開始時の0-3というスコア、両軍の選手変更、選手変更に伴う組み合わせや連係などの要素が複合的に絡むなか、賛否両論を呼んでいる。そこでデータ分析会社「InStat」社が集計している客観的なデータを基に、この一戦を紐解きたい。

1試合を通じたボール支配率は日本の36%に対して、ブラジルは64%。日本は大きく下回ったが、前半の34%から後半は39%に微増している。そして、ボールポゼッション時のプレー数は日本102回に対して、ブラジル104回とほぼ同数だ。違いはボールポゼッションの平均時間で、縦への素早い攻撃を標榜する日本は13秒ながら、ブラジルは22秒と両国の違いを示している。

その一方で、「マイボールにするためのルーズボール、空中戦、地上戦、ドリブルなどのボールの奪い合い」を意味するチャレンジの項目では、128回のなかで日本の勝率53%、ブラジルの勝率47%と日本が勝った。これはハリル監督が常々重要性を力説する「デュエル(1対1)」の一面を示す項目だが、むしろ上回るという意外な結果となっている。

パスの「本数」、「成功率」とも大きな差が…

それでも日本はブラジルに1-3と敗れた。戦術もさることながら、個の技術差を触れないわけにはいかないだろう。例えば、ドリブル成功率は日本の38%(16回)に対して、ブラジルは52%(27回)。回数もさることながら、局面打開の面で精度の差が見て取れる。

何より顕著な差が出たのはパス成功率だ。日本は1試合を通じて424本のパスを記録し、成功率79%。その内訳は前半203本(80%)、後半221本(77%)となっている。一方のブラジルは1試合745本で成功率91%、前半379本(92%)、後半366本(89%)だった。日本より約1.7倍のパス数を誇ったブラジルは、成功率でも12%上回っている。

周囲との関係性や戦術も絡むため、ドリブル成功率やパス成功率だけで個の技術差と一括りにはできないものの、無関係ではないのも確かだ。

また局面の攻防に目を移すと、明らかなホットエリアが浮き彫りになる。攻撃方向の回数で日本は右サイド36回が最多。左22回、中央16回と続いている。一方のブラジルは左サイドが最多の33回で、右23回、中央22回となった。

つまり、日本の右サイド(前半FW久保裕也とDF酒井宏樹)とブラジルの左サイド(前半FWネイマール、DFマルセロ)が最激戦区だったことを示すデータであり、この攻防が試合の趨勢に影響を及ぼしていたと言える。

日本代表「チャレンジ成功率ランキング」

日本の選手個々で「チャレンジ成功率」を見ると、トップはMF長谷部誠の100%ながら回数は3回と少なく、そうした場面が限られていた。2位は最終ラインで吉田麻也とCBコンビを組んだ槙野の89%で、一定の強さを見せたと言える。チーム最多タイの総数15回をマークした山口蛍が3位で73%、同じく15回で67%の吉田が4位と続いている。

不慣れなトップ下の位置に入ったMF井手口は総数10回、成功率が60%の5位。相手のアンカーに入ったMFカゼミーロを主に見る役割を担い、一定の数字は残したものの、十分に機能したとは言い難い。ネイマールやマルセロと対峙する機会が多かった右サイドバックの酒井宏は53%で6位となっている。

■日本代表「チャレンジ成功率ランキング」(vsブラジル戦)
※GK川島除く、カッコ内は左が総数、右が成功数。◆先発出場、▲途中出場

1位 MF長谷部 100%(3 / 3)◆(出場時間70分)
2位 DF槙野 89%(9 / 8)
2位 MF山口 73%(15 / 11)
4位 DF吉田 67%(15 / 10)
5位 MF井手口 60%(10 / 6)◆(出場時間86分)
6位 DF酒井宏 53%(15 / 8)
7位 DF長友 50%(8 / 4)
7位 FW浅野 50%(6 / 3)▲(出場時間45分)
7位 MF森岡 50%(2 / 1)▲(出場時間20分)
10位 FW乾 43%(7 / 3)▲(出場時間20分)
11位 FW大迫 38%(13 / 5)◆(出場時間80分)
12位 FW久保 33%(9 / 3)◆(出場時間45分)
13位 FW杉本 25%(4 / 1)▲(出場時間10分)
14位 FW原口 18%(11 / 2)◆(出場時間70分)
15位 MF遠藤 0%(1 / 0)▲(出場時間6分)

日本代表「パス成功率ランキング」

また、日本の選手個々の「パス成功率」でトップはMF遠藤航だが、後半41分から出場で総数は5回のみ。DF槙野とMF長谷部が92%で2位タイとなり、先発組で高数値を叩き出した。もっとも、後方で回す機会が多いだけに、4位の吉田、5位の酒井宏を含めて納得の順位だろう。一方、先発した久保が16回で、成功率12位タイと低く、攻撃面で十分に機能していなかったのは大きな課題と言える。

■日本代表「パス成功率ランキング」(vsブラジル戦)
※GK川島除く、カッコ内は左が総数、右が成功数。◆先発出場、▲途中出場

1位 MF遠藤 100%(5 / 5)▲(出場時間6分)
2位 DF槙野 92%(37 / 34)
2位 MF長谷部 92%(37 / 34)◆(出場時間70分)
4位 DF吉田 89%(44 / 39)
5位 DF酒井宏 85%(60 / 51)
6位 MF森岡 83%(12 / 10)▲(出場時間20分)
7位 FW杉本 80%(5 / 4)▲(出場時間10分)
8位 FW大迫 78%(27 / 21)◆(出場時間80分)
9位 DF長友 77%(47 / 36)
10位 FW原口 76%(17 / 13)◆(出場時間70分)
11位 MF山口 68%(38 / 26)
12位 MF井手口 63%(38 / 24)◆(出場時間86分)
12位 FW久保 63%(16 / 10)◆(出場時間45分)
14位 FW乾 56%(9 / 5)▲(出場時間20分)
15位 FW浅野 50%(12 / 6)▲(出場時間45分)

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選手の「平均ポジション」に見えた違い

最後に両チームの「平均ポジション」(攻守両面を含む/図)を見ると、大きな違いが見て取れる。日本はGK川島、CB吉田と槙野のみが自陣に位置し、途中出場を含むそれ以外の12選手は全員がハーフウェーライン以上となった。後半反撃に打って出た影響も色濃いとはいえ、前からのプレッシングを普段以上に意識していた結果と言えそうだ。

一方、日本に比べるとブラジルはチームの重心が低く、FWからDFまで各セクションの距離感も狭くなっており、ある種のコンパクトさを維持していた。チッチ監督の就任以降、圧倒的なタレント力に組織というエッセンスを加えた結果が表れているようだ。

日本にとっては、指揮官が狙いとするサッカーを少なからず体現しようと努めていた。実際、日本がブラジルを上回った項目もあったものの、試合の流れに影響を及ぼす項目では総じて下回っており、負けるべくして負けたと言える。

【了】

大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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