「いきなり」大惨事のウラで急成長、「やっぱりステーキ」とは何者か

「いきなり」大惨事のウラで急成長、「やっぱりステーキ」とは何者か

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/01/15
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大量閉店が止まらない

「いきなり!ステーキ」の窮状が明らかになっている。

まず、既存店の売上の低下がおびただしい。昨年10月には41.4%減、11月は32.8%減という深刻な状況で、このようなデータはこれまでの外食産業には存在しない。

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Photo by iStock

これらは客数の減少幅が大きいことに起因する。既存店の10月では40.5%減、11月は27.8%減となっている。全店売上高でも100%を割り込むようになり、10月は19.9%減、11月は12.1%減となっている。現状、約500店舗の体制だがすでに44店舗の閉店を決めた。

「いきなり!ステーキ」では昨年11月メニュー改定を行った。肉の種類を絞り、これまで300gで食べることを推奨していたところ、新しく200gといった定量カットを設けて、1000円台の価格表示を行うことで、「高くない」ことをアピールするようになったのである。

2013年12月、東京・銀座四丁目にオープンした1号店は20坪で月商3000万円を売り上げ、ロードサイドから商業施設へと出店エリアを拡大。そして「ファストステーキ」という新しい業態の言葉をもたらした「いきなり!ステーキ」であるが、今最大の危機を迎えている。

一方そのウラで、急成長しているステーキチェーンがあることをご存知だろうか。

行列待ち2時間も当たり前

その名は「やっぱりステーキ」だ。

経営するのはディーズプランニング(本社/沖縄県那覇市、代表/義元大蔵)。同社代表の義元大蔵氏は1975年生まれ、那覇市内の高校を卒業後渡米、10年間滞在し、帰国後、飲食コンサルタントとして勤務したのち、独立して現在に至る。

2015年2月、沖縄・那覇市に1号店がオープンすると、その後続々と店舗を拡大し、現在45店舗となっている(2019年12月末)。出店場所の内訳は、沖縄県内が24店舗(うち直営10店舗)、本土が21店舗である(うち直営3店舗)。

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「やっぱりステーキ」の店内。コーポレートカラーのオレンジが目を引く(筆者撮影)

本土の直営店は福岡市、名古屋市、仙台市にある。いずれも九州、中部、東北の拠点となる地方都市に出店していることから、これから本土での多店化が計画されているようだ。

本土への出店は2017年9月、大分が皮切りとなった。2018年12月、沖縄に近い鹿児島に出店(天文館店)、「沖縄で人気のステーキチェーンが鹿児島にやってきた」ということで、オープン初日から200人近くの行列を作り、待ち時間は2時間以上という日が続いたという。そして、それ以降も出店するたびに、このような現象が見られるようになったそうだ。

これだけ人気を博している理由の一つは、「やっぱりステーキ」の特徴である、「赤身肉」がメインで、ずばり「1000円」(税込)というお手頃価格であることだ。

しかも、昨年10月に消費税が上がってもこの価格は堅持している。同店のファンはこのような経営姿勢をリスペクトしていることだろう。

「赤身肉」に力を入れる

スタンダードのメニューは、店名と同じ「やっぱりステーキ」180g1000円。これでスープ(溶き卵入り)、サラダ(キャベツの千切りがメイン)、ご飯がセルフサービスで食べ放題である。

また、肉のボリュームを増やすことが可能で、270g1480円、360g1980円となっている。肉のおかわりの「替え肉」が90g500円ということだから、180gの塊のほかは90gの単位で用意されているのであろう。

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看板メニューの「やっぱりステーキ」(筆者撮影)

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様々なソースがテーブルの上に置かれ、お好みで味付けも可能(筆者撮影)

このほかのメニューを紹介すると、「赤身ステーキ」や「イチボステーキ」、「上ミスジステーキ」などが並ぶ。脂身のついた「サーロインステーキ」もあるが、やはり赤身肉が「やっぱりステーキ」の本領のようだ。

「赤身肉」というと硬いのではとイメージしがちだが、「やっぱりステーキ」の赤身肉は柔らかい。感動的ですらある。

店名のついた「やっぱりステーキ」は、「ミスジ」という牛の肩甲骨の下にある部位のものだ。食感にやさしさがあり、もたつかず、それでいて味わいは濃厚だ。「イチボ」はランプと呼ばれるお尻上部の肉のうち下側の柔らかい部分を切り出したもの。ステーキにナイフを入れると、サクッと切ることができる。

東京上陸の日は近い

やっぱりステーキが、“沖縄発”で“赤身肉”にこだわる理由は、沖縄にステーキ文化が存在しているからだと考えられる。

沖縄ではアメリカに統治されていた時代にアメリカ人のステーキ食が浸透。また、1991年に牛肉輸入自由化となる以前に関税率が優遇されていたことがステーキ文化を醸成させたようだ。

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「イチボステーキ」も「やっぱりステーキ」と同じ1000円で味わえる(筆者撮影)

ちなみに、沖縄では酒を飲んだ後に「〆ラーメン」ではなく「〆ステーキ」となるとのこと。人口150万人弱で、本島だけでも22店舗存在しているということは、このような文化によるものなのだろう。

現在、「やっぱりステーキ」のフランチャイズ希望でオープン待機中のオーナーは、実に2桁も存在するという。筆者が「東京にはいつ出店するのか」と本部に尋ねたところ「2月中には」という回答を受けた。場所は明かしてもらえなかったが、おそらく春先には「やっぱり」旋風が東京にも上陸すると見られる。

少し話は逸れるが、2019年3月に松屋フーズが「ステーキ屋松」というステーキ店を三鷹にオープンした。同店人気の「松ステーキ」は、これもミスジを使用したもので、その柔らかさとメニュー構成に驚いたものである。

松屋フーズがこの店を開発した背景には、2018年6月沖縄県にとんかつ専門店の「松のや」で初進出し、ここで「やっぱりステーキ」のメニュー構成と繁盛ぶりに有望性を感じ取り、この業態での多店化を想定したのではないかと筆者は考えている。

ファストステーキ市場の成熟へ

「やっぱりステーキ」に、「ステーキ屋松」の動きも相まって、「ミスジ」がステーキの新しいスタンダードとなっていくかもしれない。そして同時に、これまで「いきなり!ステーキ」が先導していたファストステーキ業界は、次なる段階に進むのではないだろうか。

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『月刊食堂』というフードサービス業界の経営専門誌で、「いきなり!ステーキ」の社長、一瀬邦夫氏がこのチェーンの動向について連載している。直近の2020年1月号では「前向きな気持ちは失わない」という見出しをもって、一瀬氏は論述していた。

同氏は「いきなり!ステーキ」が勢いを失った要因として、メディアから「数回にわたる価格改定によって絶対的な安さが失われた」「ファミレスのような客席になることで業態の位置づけがあいまいになった」と言われてきたことに対し、真摯に受け止めているという。

筆者は、「いきなり!ステーキ」が勢いを失った要因は、単に店が飽和状態にあることに尽きると考えている。メニューや客席構成に問題は全くない。ただ、ステーキを「がっつり食べたい」という需要はあるが、そのような重さのあるステーキばかりだと飽きられるのではないだろうか。

その点、さっぱりとした、しかも柔らかい食感の「やっぱりステーキ」は、「いきなり!ステーキ」の独壇場と思われたステーキ市場において、強烈な存在感を放っていくことであろう。

今年の春先以降、いわゆるファストステーキは、消費者にとってますます選択肢が広がり、そして成熟化していくはずだ。

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