米国企業の日本人社長が語る「米国人にはワークライフ・バランスなんてなかった」

米国企業の日本人社長が語る「米国人にはワークライフ・バランスなんてなかった」

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/13
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多くの日本人が、「米国のビジネスパーソンのワークスタイル」ときいて思いうかべる印象は、「ワークライフ・バランスを徹底し、オン・オフの切り替えがうまい」、「残業はほとんどしない主義」、「会議などは根回しのないオープンポリシー」といった、日本人とは真逆のスタイルではないだろうか? そして、職場で理不尽な体験をするたびに、「あ〜ぁ、ここが米国(外資)企業であったなら...」とため息をついている人もいるだろう。

ところが、そんなわれわれの考えに対し、「いえいえ、とんでもない誤解です」と言うのが、カリフォルニア州に本拠をおく広告代理店のCEOである岩瀬昌美氏。29年におよぶ在米生活で、あまたの米国人ビジネスパーソンの働き方を見てきた岩瀬氏によれば、特に仕事ができる人ほど、日本人の固定観念から離れたワークスタイルをしているという。

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近著の『できる米国人 11の「仕事の習慣」』(日本経済新聞社)に詳しい事情が述べられているが、今回はそのあたりを改めてうかがった。

■米国のビジネスパーソンには、ワークライフ・バランスはない!?

「米国は、ワークライフ・バランスの元祖。日本も見習うべき」だと思っていたら、大間違い。米国の多くのビジネスパーソン(特に若手)には、ワークライフ・バランスという考えはないという。岩瀬氏によれば—

「米国の若いビジネスパーソンには、経営学修士(MBA)取得のため夜間大学へ通っている人が多いです。昼間は会社で働き、夜は勉強に打ち込む。すべての時間を仕事や勉強にあてているのです」

それでもプライベートな時間は確保し、思い切り趣味を楽しんでいるのではと思うが、そういう人も実は少数派とか。

「できる米国人と、オフの趣味について語り合ったことは、一度もありません。彼らにとって、ライフとワークは分けられるものではないのです。仕事が楽しければ、それでいい。『仕事とは別に趣味をもたなきゃダメ』なんて発想が存在しません。つまり、ワークライフ・インテグレーションが、できる米国人の働き方です」

■米国はテレワーク先進国ではなかった

日本では総務省が推進し、大手企業を中心に導入が進められているテレワーク。モバイル・IT機器を活用して、在宅あるいは外出先での仕事を容易にするもので、米国がテレワーク先進国かと思っていたら...

「私はかつて、全米最大の通信会社AT&Tに勤めていましたが、在宅勤務の制度はすでに20年前からありました。ところが、ほとんどの人がやっていないのです。最初のうちは試しても、かなり多くの人がやめていました。その理由として第一に挙げられるのが、子供です。小さな子供がいると、騒いだりいたずらしてきたりで仕事に集中できません。結局、オフィスで仕事をしたほうがはかどるので、在宅勤務の意義が乏しいのです」

ただし、米国の企業社会では、子供が急病や学校の行事などの都合で、オフィスを出ることに寛容だという。これは、私用外出がしにくい風土の日本企業が、積極的に学ぶべき点だろう。

■米国のビジネスパーソンは個人主義でもなかった

「日本人は和の精神で協調しながら仕事を進める。対して米国人は個人主義的で愛社精神に乏しい」といった相違が日米間にあると、漠然と信じられている。が、岩瀬氏は「まったく逆では」と思えるシーンの方が多かったという。

「できるアメリカ人の上司は、部下の面倒を本当によく見ます。部下はその上司に対して、強い忠誠心をもっています。組織自体への忠誠心は日本人ほどではないかもしれませんが、上司・部下の関係は、まるで日本の戦国時代の武将と配下の兵の関係を見るようです」

■転職を繰り返せばキャリアダウンするのは米国でも同じ

ひと昔前ほどではないといえ、日本では転職を何度かするキャリア構築は一般的でなく、まだまだ雇用の流動性は低い。そこが、米国の企業社会との大きな違いだと思っている人は多い。しかし、実は数度の転職によってキャリアアップをはかる人は、米国でも稀だという。

「たしかに2〜3年おきに転職する人は存在します。しかし、彼らは嫌になったらすぐ離婚するようなタイプの人たち。こういう人はキャリアアップどころか、転職のたびにキャリアダウンしていきます」

「米国でも40代に入ると、就職は至難の技です。履歴書に年齢を書かなくてよいですが、年齢差別は厳然としてあります」

日本人がよく引き合いに出す、転職するたびにキャリアアップするタイプは、ヘッドハントされるような超エリートくらいなものだとか。

「隣の芝生は青く見える」とはよく言ったもので、日本人から羨望のまなざしで見られる米国の企業社会も、実情はそう甘いものではなさそうだ。岩瀬氏は、「日本のほうがチャンスの国」だと指摘しているくらいである。ちなみに、「ブラック企業」は米国にも存在するそうで、理不尽な過重労働を強いるような企業は、さっさと見切りをつけるべきだと釘を刺している。

岩瀬昌美プロフィール
名古屋出身。南山大学卒業。MIW Marketing & Consulting Group Inc.代表取締役社長CEO。サンディエゴ州立大学にて米国学でMAを取得後、三洋電機に初の女性総合職として入社。その後、再渡米しカリフォルニア州立大学ロングビーチ校でMBA取得。マルチカルチュラル広告代理店最大手のKang & Lee Advertising、全米最大の通信会社AT&T、米国初のオンラインデリバリーサイトKozmo.comを経て、2002年にMIWを設立。マルチカルチュラル・マーケティング戦略を数多く手がける。ブログは『岩瀬昌美のLA ブランディングマジック』。著書の『できる米国人 11の「仕事の習慣」』は、米国のビジネスパーソンのワークスタイルを紹介するとともに、日本人にも役立つ仕事力アップの習慣術が盛り込まれている。

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文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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