学生を悩ます“隠れ”「採用直結型インターン」 その問題点とは?

学生を悩ます“隠れ”「採用直結型インターン」 その問題点とは?

  • AERA dot.
  • 更新日:2017/10/12
No image

内定者のインターンシップ参加状況(AERA 2017年10月16日号より)

2019年卒の学生は、建前上、就職活動を18年3月にスタートすることになっている。だが、いまやインターンでも、選考プロセスは本採用さながら。インターン選考通過が本選考に進む条件とされる企業も多数あるとされる。

【図】インターンシップは4年前の◯倍に!?

問題は、インターンが採用と直結しているのかしていないのかが、はっきりしないことだ。

企業の多くは表向き、「インターンは採用とは無関係」との建前を守っている。経団連が6月の面接解禁日前の採用活動を禁じているからだ。しかしリクルートキャリアの調査では、17年卒ですでにアンケートに応じた企業の7割が「内定者の中に自社のインターンシップ参加者がいた」と答えている。うち2割ははっきりと、「インターンはそもそも採用目的」と位置付けていた。

採用コンサルタントの谷出正直さんは、

「水面下ではますます採用活動との一体化が進んでいる」

と指摘する。最近では、インターンの募集広告で堂々と「特別選考ルートへのご招待あり」などと、本選考での優遇をうたう企業もある。千葉大学理学部3年の女子学生(20)も、夏のワンデーに参加した企業の担当者から「本採用の1次選考免除」を告げられた。

「うわさは本当だったんだと思いました。直結かもしれない、と思うと、まずはワンデーで業界研究、なんて言っていられなくなりそう。でも、全部のインターンが採用直結じゃないでしょうし、その見極めが難しい」(女子学生)

疑心暗鬼で学生を悩ませるくらいなら、いっそ「採用直結」を認めたほうがいい──。そうした声も上がっている。

「特に長期インターンでは、成果が出れば採用もあり、というのを最初から明確にしたほうが、企業も学生も安心できる」

そう話すのは、インターンシップの募集を多く掲載しているウォンテッドリーの広報、小山恵蓮さんだ。長期であれば、学生と企業双方がお互いの相性をじっくり確かめられ、3年以内に離職してしまうようなミスマッチが起こりにくいという。

一方、安易に「採用直結」を認めると、メリットを受ける学生が一部の層に集中する、と心配するのは立教大学キャリアセンターの市川珠美課長だ。

「学生によって、インターンに対する姿勢がかなり違います。自分たちは『見られる側』と考えるのか、『企業を見に行く側』ととらえるのか。企業が欲しいのは後者のような能動的な学生です。インターンが採用直結になると、内定をもらえるチャンスが増えるようにも思えますが、実際には、企業の内定がいま以上に能動的な後者の学生に集中してしまうのではないでしょうか」(市川さん)

前出の谷出さんも市川さんと同じ意見だ。インターンからの採用が広く行われているアメリカでは実際に、選ばれる学生と選ばれない学生の二極化が進んでいるという。

「新卒一括採用」は日本独特のもので批判もあるが、経験やスキルのない新卒の学生の将来性や潜在能力を評価する仕組みでもある。

「多くの学生に社会に出るチャンスを与え、若年失業率を低く抑えるという役割も果たしていた。『インターンと採用の直結』は、そういうメリットが失われ、若年失業率も欧米並みに高くなっていくリスクまで含めて、議論すべきでしょう」(谷出さん)

当然、就活の早期化、長期化も避けられない。学生は大学に入学したら即就活。企業は早い段階で内定を出せるが、卒業までつなぎとめるのに莫大(ばくだい)なコストがかかるという指摘は多い。

昨年6月には文部科学省、経済産業省、厚生労働省の3省合同の有識者会議で、5日以上のインターンに限っては、そこで得た情報を採用に活用しても良いとする「採用直結解禁案」が検討されたが、立ち消えとなっている。位置づけがあいまいなまま、インターン狂騒曲を続けていいのか。(編集部・石臥薫子)

※AERA 2017年10月16日号より抜粋

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
客にも従業員にも愛される日本一のホテル
住宅ローン、破綻する人の「マズすぎる返済計画」パターン
マツダと資生堂、香水を共同開発 車らしさやスピード感を香りで表現
マンションバブル崩壊、戸建て価格暴落の不気味な予兆
トヨタの次世代タクシー「JPN TAXI」が発売 街に調和するニッポンの藍色ボディカラーが美しい
  • このエントリーをはてなブックマークに追加