カルロス・ゴーンのルーツを辿る。賄賂が日常茶飯事なレバノンという国

カルロス・ゴーンのルーツを辿る。賄賂が日常茶飯事なレバノンという国

  • BEST T!MES
  • 更新日:2019/01/15

大きく異なる特性を持った集団が、肩を並べて暮らすモザイク模様の、レバノン社会。そのモザイクの単位は、宗教だけに留まらない。貧富の差が激しいレバノンでは、出身家庭の収入や社会的地位により、生まれた時点で人生が決まってしまう、という悲観的な声もよく聞かれる。現在のレバノン社会、特にベイルートのように異教徒同士が肩を並べて暮らす街では、宗教が直接社会を大きく分断することは無くとも、貧富の格差、更には社会的地位(ソーシャル・クラス)が、物事の成否を左右する事もよくあるという。

■そこら中で見られるバクシーシ

No image

汚職が日常茶飯事のこの国では、官民問わず、賄賂(バクシーシ)が縦横無尽に飛び交い、先進国で言う手数料や税金のような感覚で、バクシーシが様々なところで見られる。例えば、ある大企業がベイルート郊外にオフィスビルを建設しようとすると、様々な許可証が必要になる。バクシーシ無しでこのプロセスを正式に完了しようとすると、最低でも3ヶ月はかかる。しかし、正しい人に正しい額のバクシーシを払えば、1週間で全ての手続きが完了する。このような話は、政府関係者だけでなく、民間人同士のやりとりでも日常的に行われている。

支払われるバクシーシは正式な料金ではなく、当人たちの“記憶”以外には何も“記録”が残らない。このような形で大規模プロジェクトが進められて行く現実は、レバノン社会の常識として知られる。

それでは、あるプロジェクトに必要なバクシーシの額は幾ら程度で、どの人が正しいバクシーシの払い先なのか? その答えは、「社会的上層部」にいる人にしか分からない。要するに、このグループに属する人でなければ、それなりの規模のプロジェクトの通常の形での実行は、事実上不可能という不文律がある。

■社会の上層部にいる「フランス系」とカルロス・ゴーン

また、こうしたグループの中にも、更なる細分化があるのが、モザイク社会・レバノン。この国の社会的上層部にいる人たちの「種族」の一つとして、「フランス系」というグループが存在する。血統上のフランス系だけでなく、両親がレバノン人ながらも、裕福な家庭の子供はフランスで教育を受け、祖国との繋がりを保ち続けながらも、世界で活躍する人材も多い。ゲンマイゼというベイルート西部のキリスト教徒地区にある、カイヤンというバーでは、平日の夜から上質のレバノンワインを嗜む、こうしたフランス系が集まる。

日本でもよく知られるこの層の例としては、カルロス・ゴーン氏もその一人だ。ゴーン氏の場合は、シャルル・ドゴール元フランス大統領他、多くの著名人が卒業生として名を連ねる、パリ6区にある私立スタニスラス校(Collège Stanislas)で学んだ。

日本のメディアでも取り上げられたが、レバノンではゴーン氏の逮捕及びその後の対応について、批判的な見方が強い。レバノン出身者が世界で大きな成功を収めているということで、ここでは氏の名前は、ポジティブな意味で多くの人々に知られる。日産の企業として資産と自分の財産の線引きでトラブルとなったゴーン氏だが、皮肉なことに、氏はレバノン内の学校に多くの資金を寄付していることでも知られる。

国際的なバックグランドを持ちながら、レバノン人としてのアイデンティティを忘れずに、海外の成功で得た富を、自国の子供達の教育へ還元。長年、こうした目線で氏を見てきたレバノン国民たちは、背信行為により逮捕され、留置所に拘束され、取り調べを受けている氏への扱い対して、当然批判的な見方をする。

それは、バクシーシが必要悪として事実上黙認されるような社会であれば、尚更だろう。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

国外総合カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
タリバンがアフガン情報機関を攻撃、死者65人か
世界が注目!ブルガリア『盲目の予言者』が2019年を予言していた
バングラデシュの「樹木男」、症状悪化で再入院
平和条約交渉、日ロ首脳が主導=2月に独で外相会談-共同経済活動、進展を指示
迎撃ミサイル発射の瞬間、スキー場で撮影
  • このエントリーをはてなブックマークに追加