折り畳める〝チェーンレス自転車〟は普及するか?

折り畳める〝チェーンレス自転車〟は普及するか?

  • @DIME
  • 更新日:2018/01/12

■連載/鈴木拓也のクラウドファンディング・ウォッチャー

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チェーンのない自転車、その名も『チェーンレス』(Chainless)が、キックスターターで絶賛資金調達中となっている。果たしてどんな自転車なのか、チェックしてみよう。

通常であれば、自転車の駆動に絶対不可欠と思われているチェーンだが、自転車が発明された19世紀にヒットした『ベロシペード』は、「ペダルを1回転すると、前車輪が1回転する」直接駆動方式を用いており、チェーンという概念はなかった。そのため、速度を出すには、とにかく前車輪の直径を大きくする必要があり、開発上の限界があった。1879年に、チェーン駆動式自転車が発明されると、こちらが駆動方式のスタンダードとなり、現在に至る。今は、丸石自転車などが、チェーンを使わない「シャフトドライブ」式のシティサイクル(いわゆる「ママチャリ」)を発売しているが、価格に対してメリット感が伝わりにくいのか、あまり普及していないのが実情。

香港出身の米国人、ショーン・チャン氏がキックスターターで資金を募っているのは、「シャフトドライブ」式ともまったく異なる駆動方式で走る、チェーンのない自転車。駆動機構は後輪部に集約しており、要となるのはタングステン製のギア。そしてペダルも後輪部にあって、ギアを直接駆動させる形で漕ぐ。チェーンが発明される前の自転車に先祖返りしたかのような印象を受けなくもないが、しっかりと変速機もついており、汗だくになりながらノロノロと走る、ということはない。さらに旋回性能が増しており、狭い路地でのカーブも容易になっている。また、制動機構として、ディスクブレーキが前後に付いている。

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『チェーンレス』の明らかなメリットは、チェーンがはずれるとか、ズボンの裾が汚れるといった、チェーンにかかわるトラブルの確率をゼロにしたこと。もちろん、注油メンテナンスも不要。そして、構造がシンプルになったおかげで、折り畳みが非常に楽になった点も挙げられる。折り畳み式でありながら自重が11kg強と軽く、折り畳んで、車のトランクに収納するまで15秒しかかからないという。

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『チェーンレス』が資金調達に成功した後の小売価格は999ドルを予定しており、現在キックスターターでは、799ドルの「早割」キャンペーンが実施されている。販路は、米国、カナダなど一部の国に限られるが、ニーズがそれなりにあれば日本を含めた多国籍展開も検討するとしている。

<クラウドファインディング・ウォッチャー鈴木の目>
革新性 ★★★★☆
利便性 ★★☆☆☆~★★★★☆
デザイン性 ★★☆☆☆

チェーンなしの自転車は世界初ではないが、商業ベースに乗って、「それなりに売れそう」(つまりアイデア倒れで終わらない)な製品であることを考えると、革新性は高いと思う。

一方、利便性については、どうだろう。冷静に考えると、チェーン付きの自転車は、そう簡単にはチェーンははずれず、頻繁に注油が必要というわけでもない。ただ、朝が忙しいビジネスパーソンが、通勤用に使うのであれば、万が一のチェーントラブルや汚れがないのは大きなメリットとなる。都会の雑踏の中、スーツ姿でチェーンを直すというのは、結構格好悪いというのもあるし。逆に自転車を使用するのが休日の散歩くらいであれば、約10万円出してまで、利便性を確保したいとは考えないだろう。よって、利便性については、使う人よりけりとなる。

デザイン性については、機能性を優先したぶん、ちょっとイケてない。ロードバイク愛用者が、これに乗り換えるかというと疑問符がつく。通勤専用のセカンドバイクという扱いならアリかもしれないが。

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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