【エミー賞ドラマ7作品:あらすじ紹介】『ユーフォリア』絶賛の嵐、『ウォッチメン』11部門制覇、『シッツクリーク』ほか

  • サイゾーウーマン
  • 更新日:2020/10/17

9月20日に史上初のバーチャルで開催された第72回エミー賞。コロナ禍の影響を受け、欧米ではどの授賞式も軒並みバーチャルで行われているが、テレビ業界最高峰の栄誉と称されるエミー賞は「司会者とノミネートされた100人を超えるセレブがZoomで通話する」という形で中継。ロサンゼルスのステイプルズ・センターを貸し切り、スタッフのソーシャル・ディスタンスを保ちながら放送されるという異例の式典となった。

視聴率はイマイチだったが、多様性が際立っていたと高評価だった、そんな今年のエミー賞の主要部門でトロフィーを獲得した注目作品をまとめてご紹介。

『キング・オブ・メディア』 【ドラマ部門】作品賞&主演男優賞

ニューヨークを舞台に世界的巨大メディア企業を経営する、口が悪く何を考えているのか読めないワンマン経営者である老人ローガン・ロイ(と、その4人の子どもたちを描いたヒューマンドラマ。

1番目の妻との間に生まれた長男コナーは企業とは距離を置き、田舎で農場を経営。権力争いには興味ないそぶりを見せている。2番目の妻との間に生まれた元コカイン依存症である次男ケンダルは、後継者と目され、会社を守ろうと奮闘するが、ローガンからは評価されず、精神がズタズタになっている。ケンダルのすぐ下に生まれた三男のローマン(マコーレー・カルキンの弟キーラン・カルキンが熱演)は後継者としての後釜を狙うが、責任能力に欠けており、人望もない。末っ子で長女のシヴは政治コンサルタントだが、ローガンの会社の社員と婚約しており、自分の権利はしっかり主張するタイプだ。

後継争いが始まった直後にローガンは倒れてICUに入院するが、回復。認知症のような症状を見せつつも経営に復帰したことで、4人はじわじわと本性を見せ、醜い争いが繰り広げられるようになっていく。

同作は、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』『セックス・アンド・ザ・シティ』『ゲーム・オブ・スローンズ』など、数多くの“物議を醸した”大ヒット作を生んでいる米HBOで2018年6月から放送中の作品。スポンサーに縛られず自由に描写ができることで人気を集めているケーブルテレビ局HBOならではの過激な内容となっている。

今回のエミー賞では、作品賞と、次男役を演じているジェレミー・ストロングが主演男優賞を獲得。ゲスト女優賞(チェリー・ジョーンズ)、監督賞、脚本賞、キャスティング賞、シングルカメラ編集賞と計7部門を受賞した。

日本では、スターチャンネルとAmazonプライム・ビデオで視聴できる。

『ユーフォリア/EUPHORIA』 【ドラマ部門】主演女優賞

9.11の後に生まれたデジタルネイティブ世代たちが、ソーシャルメディア社会でティーンとして生きる姿を赤裸々に描いた話題作。

主人公のルー・ベネットは不安障害や躁うつ病を抱え、心の支えは現実逃避できるドラッグだけ。両親の離婚に伴い引っ越してきた転校生のジュールズ・ヴォーンはトランスジェンダーで、出会い系アプリで手軽に援交をしている。オタク女子のキャット・ヘルナンデスはセレブを登場させる二次創作小説作家としてネット上での有名人だが、初体験動画がネット上に晒されるという被害に遭う。

幸せを求めるがゆえに、ドラッグ、セックス、ネットポルノやバイオレンスなどに溺れてしまう。そんな“アイデンティティクライシス”にもがく、今どきのティーンのリアルな姿や心の声を繊細なタッチで描いており、昨年6月に米HBOで放送スタートした直後から、たちまち話題となった。人気R&B歌手でグラミー賞ラッパーのドレイクが製作総指揮を務めていることから、音楽の存在感と映像美が「半端なく素晴らしい」と大絶賛されている。

今回のエミー賞では、ルーを演じるゼンデイヤがカテゴリー史上最年少の24歳で主演女優賞を獲得。ほかにも、メイクアップ賞、オリジナル歌曲賞の計3部門を受賞した。

日本では、スター・チャンネルとAmazonプライム・ビデオで視聴できる。

アメリカの国民的“朝の情報番組”『ザ・モーニングショー』の舞台裏で繰り広げられる、セクハラやパワハラを痛烈に描いた話題作。

番組の看板男性キャスター、ミッチがある日、突然セクハラ問題で失脚する。長年ミッチと一緒に司会を務めてきた女性キャスターのアレックスは、ミッチに同情しつつも素早く自分を守る行動に出る。局の重役、番組プロデューサー、報道局長らの思惑が交錯する中、ネット上で「暴言の女王」として注目を集めていた地方キャスターのブラッドリーがミッチの後釜に抜擢される。男性社会をうまく渡り歩き地位を確立した“事なかれ主義”のアレックスだが、正義感が強く“革新を求める”ブラッドリーに影響を受け、引っ張られるようになっていく、という物語。

アレックス役にはジェニファー・アニストン、ブラッドリー役にはリース・ウィザースプーン、ミッチ役にはスティーヴ・カレルと、アメリカで大人気の役者たちがキャステイングされていることもあり、AppleTV+で配信される前から大きな話題となった。

今回のエミー賞では、報道局長を演じるビリー・クラダップが助演男優賞を受賞。

日本でもAppleTV+で配信中。

『オザークへようこそ』 【ドラマ部門】助演女優賞

麻薬組織のマネーロンダリングを引き受けた男が、資金洗浄先として選び家族で移住したアメリカ南部の田舎町で、子どもたちや妻を巻き込みながら闇落ちしていく、スリル溢れる犯罪ドラマ。

マーティは財務コンサルティング会社の共同経営者に資金を横領され、メキシコ麻薬組織のボスが大激怒。怒りを鎮めるため、ファイナンシャルプランナーのマーティは、ミズーリ州のオザークなら資金洗浄ができると提案し、妻子を連れて移住することになる。麻薬組織は共同経営者を殺害しており、家族を守るには決してヘマはできないマーティ。しかし、地元の犯罪を牛耳る一家やFBIにも狙われており、そう簡単にはいかない……という物語。

『ブレイキング・バッド』と類似点が多いということでも話題になった本作品は、Netflixで2017年7月から絶賛配信中だ。

今回のエミー賞では、オザークでマーティの右腕となる隣人のルース・ラングモア役を演じているジュリア・ガーナーが助演女優賞を受賞した。日本でもNetflixで配信中。

セレブな富豪として何不自由なくリッチな暮らしを送っていたローズ家。一家の主人ジョニーはレンタルビデオの帝王として財を成したのだが、ビジネス・マネジャーにだまされ、財産を失うところから物語はスタートする。

豪邸もろとも没収されたジョニーだが、1991年に「息子へのバースデー・ジョーク」として購入したカナダの寂れた田舎町シッツ・クリークだけは没収免除された。ジョニーは、昼メロドラマの女優として活躍していた妻のモイラ、わがままに育てられてきた自分勝手な長男デヴィッドと長女アレクサの家族と一緒に、何もないシッツ・クリークにあるボロボロのモーテルに移住。プライバシーもない悲惨な貧困の中、新生活を始める。

製作総指揮/脚本を務めデイヴィッド役も演じたダニエル・レヴィは、「カーダシアン家はお金がなくてもカーダシアン家であり続けるのだろうか」というアイデアのもと、この番組の制作を思いついた。ジョニーを演じるユージン・レヴィは実の父親で、姉のサラ・レヴィも重要な役どころで出演している。

モイラ役のキャサリン・オハラは『ホーム・アローン』の母親役でも有名だが、本作で演じた「田舎町で落ちぶれても、ウィッグをつけ豪華な服装で着飾る」マダムは当たり役となった。彼女の衣装を毎週楽しみにしていたファンも多く、“ニュー・ゲイアイコン”として絶大なる支持を得るようになった。

同作はLGBTQ+から高い支持を得ているが、それはパンセクシュアル(セクシャリティ関係なく恋愛する全性愛者)という設定の長男デヴィッドの役が、とても自然に描かれているから。LGBTQ+のキャラクターが登場するドラマやコメディの多くが、“問題提起”するようなストーリーの中、『シッツ・クリーク』では、パンセクシュアルの思考や行動、恋愛が「普通の日常」としてサラリと描かれている。セクシュアリティを押し付けないストーリーであるため、同性愛者らに嫌悪感を感じる人も楽しめ、かつ「こういう人たちもいるんだ」と思えるようにさせたと評価されているのである。

どのキャラクターも個性的だが、性格はとても良い。そんな彼らが“何もない田舎町”で成長していくという「愛あふれるハートウォーミング」なストーリーは、シンプルだが楽しく、世界中から愛されるように。友達のような感覚を抱きながら視聴できるという点も、孤独になりやすい現代においてヒットする大きな要素となったのだろう。

2015年1月からカナダのPop TVで放送され、社会現象を巻き起こした同作は今年、シーズン6で、ファンの誰もが望んでいたものを超えるハッピーなエンディングによって幕を閉じた。

史上初となる、作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞(ユージン・レヴィ)、主演女優賞(キャサリン・オハラ)、助演男優賞(ダニエル・レヴィ)、助演女優賞(アニー・マーフィー)の主要部門を全制覇するという快挙となった本作は、キャスティング賞と衣装賞を含む9部門を受賞。

日本ではNetflixで配信されている。

『ウォッチメン』【リミテッドシリーズ/テレビムービー部門】リミテッドシリーズ作品賞、主演女優賞ほか

強制的な世界平和が作られたというDCコミックの後の世界を描いた同作は、「実在した歴史の裏にはスーパーヒーローの関与があった」という架空の世界を描いたもの。自警団として大活躍していた覆面スーパーヒーローたちはその活動を禁じられ、ほとんどは引退、または政府のもとで働いている。

物語は、1921年にオクラホマ州で実際に起きた、白人暴徒による黒人住民の虐殺事件「タルサ大虐殺」のシーンから始まっており、これがドラマの重要な出来事となっている。ドラマはタルサが舞台で、タルサ大虐殺の犠牲者や遺族への賠償金支払い制度に反発した白人至上主義者と、正義を守るスーパーヒーローたちや、「家族を殺されないように」黄色いマスクで顔を隠した警察官たちの戦いを描くというストーリー展開になっている。

米HBOで昨年10月から放送開始された『ウォッチメン』は、今回のエミー賞で、作品賞、主演女優賞(レジーナ・キング)、助演男優賞(ヤーヤ・アブドゥル)、ファンタジー/SFコスチューム賞、撮影賞、キャスティング賞、脚本賞、シングルカメラ編集賞、作曲賞、音響賞、サウンド編集賞を獲得。最多となる11部門を制覇した。

日本では、スターチャンネルとAmazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX」で視聴できる。

ニューヨーク州ロングアイランドのロズリン学区の教育長フランク・ターソンの、壮大な横領事件を描いた物語。2000年代初めに実際に起きた事件を描いたものである。

アメリカでは、学区の評判が良い地区の土地にはいい値がつく。ロズリン地区はレベルの低い学区であったが、フランクは全米第4位まで成績を押し上げた。熱心な教育長として、保護者からも生徒たちからも絶大なる信頼を得てきた。しかし、彼には秘密があった。それを暴露したのは、学生記者。経費精算書を調査したところ、フランクが過去10年以上にわたって横領を行っていたスキャンダルが浮かび上がってきたのだ。

今年4月に米HBOで放送。フランク役のヒュー・ジャックマンとフランクの右腕パム役のアリソン・ジャネイの演技力、そして「自分の周りにいる権力者と呼ばれる人たちが、どんな人間なのかということを深く考えさせられる」と評論家から高い評価を得た。

今回のエミー賞では、テレビ映画部門作品賞を獲得した。

日本では、スターチャンネルとAmazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX」で視聴できる。

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