ひとり親の7割以上が養育費もらえず 「連絡つかない」「怖くて言えない」事情も

ひとり親の7割以上が養育費もらえず 「連絡つかない」「怖くて言えない」事情も

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  • 更新日:2022/01/14
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養育費を受け取れていないひとり親家庭は7割以上に上る

関東1都3県の494人および大阪の388人、計882人のひとり親を対象に調査

ひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」をする運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが、主に離婚によるひとり親家庭の養育費受け取りの実態調査を実施。さまざまな理由により、多くのひとり親家庭が養育費をきちんと受け取ることができず、また、その状況を変えることが難しい現実が浮き彫りとなった。

「2019年国民生活基礎調査」によると、ひとり親家庭の48.3%(新基準)が相対的貧困の状態と言われている。ひとり親が経済的に困窮しがちな要因として、子どもがいる女性の非正規雇用の多さや就労の難しさによる低収入があげられる。一部では公的な手当てや元配偶者の養育費など一定の収入があるという認識もあるが、厚生労働省の「平成28年全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費を継続して受け取っている母子世帯は24%ほどという実情が明らかとなっている。

今回の調査は、ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」利用者で、18歳未満の子どもを養育し所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証「ひとり親家庭等医療費受給者証」を持つ関東1都3県の494人および大阪の388人、計882人のひとり親を対象に実施した。

ひとり親になった経緯については、離婚が8割以上を占めるものの、未婚・非婚も約1割、その他さまざまな事情を持つ人がいることが分かった。扶養している子どもの人数は、東京・大阪ともに1人が約半数と最も多く、大阪では若干多子世帯が多い傾向が明らかに。養育費受け渡しの取り決めについては、東京・大阪ともに「取り決めはしていない」と回答しているひとり親が4割以上にのぼった一方、公正証書や家庭裁判所を介するなど強制執行可能な方法で取り決めをした人は東京で17%、大阪では12%に留まっている。

「養育費の取り決めをした」と回答した人を対象に、具体的な取り決め金額から子ども一人当たりの金額を換算したところ、「月々2万円~3万円台」が全体の5~6割を占める結果に。最高裁判所が発表している「養育費算定表」によると、「14歳以下の子ども一人/権利者の年収200万円/義務者の年収500万円」の場合、養育費の目安は4~6万円となっており、第3者を介さず本人同士の口約束などで取り決めた場合などでは、相場よりも低額になってしまう可能性が考えられる。

また、実際の受け取り状況については、「毎月受け取っている」と回答した人は東京19%、大阪13%で、「今までに何度か貰えないことがあった」「毎月貰っているが減額されることがある」と合わせると、養育費を継続して受け取っている母子世帯は厚労省調査の24%と近い結果に。一方、「一回も貰えていない」「数回貰った(現在は貰えていない)」と回答したひとり親は、合わせて東京70%、大阪74%にものぼるなど、実に7割以上のひとり親家庭が養育費を受け取ることができていない現状が明らかになった。

さらに、実際に受け取っている養育費の金額(子どもが複数いる場合は合計額)を調査すると、1万円~3万円が最も多く、1万円以下という回答も少なからずあるという結果に。取り決め金額の調査と比較すると、取り決めた金額より実際に支払われる金額が低くなっていることもうかがえる。

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養育費の取り決めをしていないケースも4割に上る

「これ以上言うと命の危険があるので」 状況を改善できない事情もさまざま

養育費減少の理由については、「コロナの影響による相手の収入減少。」、「念書に『増減可能』と記載されている為。」、「養育費を払ってもらえるように、毎月LINEで何度も連絡して、なるべく払ってもらうように頼んでいるが、お金がないといい、いつも減額したり、払ってくれないことも多い。」「相手は自営業なので仕事の状況や、再婚、子供が生まれるなどの理由で支払いが滞り、必要時にはLINEで連絡はとれるがあまり話し合いに応じてはくれない。」など、さまざまな声が上がった。

「養育費を減額されたことがある」「貰えなかったことがある」と回答した人に、養育費をもらうことができない状況を改善するために働きかけたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した対象者は3割程度に留まった。「ない」と回答した理由では「もと主人のDVが原因で私が離婚調停をして離婚したので、怖くて先方には連絡していません。」、「養育費の話をすると火がついたようにキレだす。酒癖が悪く、DV、子供も殴られた事があるので、これ以上言うと命の危険があるので言えない。」、「連絡先がわからないため。」、「今住んでいる自宅を知られる恐れがあるため。」など、さまざまな事情が上がった。

また、「ある」と回答した人でも、「何度か話合いの場を設けたが、声を荒げ話合いにならなかった。」、「裁判所に勧告してもらったが、また数回だけで払われなくなった。」、「一度、親戚から電話をかけてもらったが無視された。DVなどの問題があり、協議や調停を行うと負担が大きい。弁護士は費用が高額となるので難しい。」、「何度も電話で話し口座を聞かれ教えたが一度も振り込まれなかった。」、「弁護士に相談しましたが、相手方から脅迫紛いの行為があり弁護士が手に負えないとの事」など、働きかけてもなかなか解決せず、泣き寝入りするケースも多数見られた。

働けない事情がある場合を除き、ひとり親は男女を問わず子どもを育てながら働いているため、長時間労働ができないのが現状だ。内閣府による平成21年度の子育て費用に関する調査では、小学生ひとりの平均の年間子育て費用額(子どものための預貯金含む)は115万円で、1か月あたり9.6万円。仮に年収が同じ親同士で折半したとしても、月5万円の子育て費用が必要となる。これらの費用が無いと、中高生の部活、あるいは塾や習い事ができないなど、子どもがやりたいことや学びたいことを諦めざるを得なく、将来の選択肢が限られてしまうことにもつながりかねない。

今回の調査結果を受け、グッドネーバーズ・ジャパンでは「養育費の負担は親の義務であり、離婚により親権がなくなっても親であることは変わりありません。なにより養育費は、監護している親のものではなく『子ども本人のもの』であり、子どもの権利です」とし、「養育費の確保については、『両親の話し合い』が成り立たない場合でも養育費を受け取ることができるよう制度を考える必要があります。例えば勤め先の給与から天引きする、元配偶者が行方不明な場合に裁判所や自治体が連携して居場所を探す、マイナンバー制度を活用するなど、すべての子どもが日本の未来の大切な財産であることを考えればできることはあるのではないでしょうか」と結んでいる。

ENCOUNT編集部

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