flumpool、仲間と切磋琢磨しながら次のステージへ sumikaと真っ向勝負を果たした対バンツアー神奈川公演

flumpool、仲間と切磋琢磨しながら次のステージへ sumikaと真っ向勝負を果たした対バンツアー神奈川公演

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  • 更新日:2022/05/14
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flumpool(写真=関口佳代)

flumpoolによる対バンツアー『flumpool Special 対バン Tour 2022「Layered Music」』が現在開催中だ。昨年はNovelbrightの対バンツアーに出演していたものの、普段はワンマンツアーを回る機会の多いflumpoolが対バンツアーを主催するのは珍しい(メジャーデビュー以降初めて)。山村隆太(Vo/Gt)のコメントによると、東京五輪でライバルと競い合うアスリートの姿を見て、flumpoolも仲間や先輩と競演することでバンドとして次のステージに上がれるのでは、と考えたそうだ(※1)。

(関連:【写真あり】flumpool、sumikaとの対バン公演レポ

ゴールデンウィークには3日連続でライブが行われ、スガ シカオとの名古屋公演、Saucy Dogとの神奈川公演初日を経て、神奈川公演2日目の5月7日にはsumikaとのツーマンが行われた。本稿では同公演の模様をレポートするが、flumpoolの演奏曲も一部記載するため、あらかじめご理解の上お読みいただきたい。

sumikaの片岡健太(Vo/Gt)は以前山村のラジオ番組にゲスト出演していたが、当日のMCによると、元々sumikaの音楽が好きだった山村はフェスで一緒になった際には声を掛けられずにいたが、「友達になりたい」という想いから知人を通じて番組に招待したとのこと。また、今回の対バンは、sumikaの東京ガーデンシアター公演に感動した山村が、片岡に直接電話でオファーしたことから実現したという。

そんなオファーに応えて、全国各地での春フェス出演、さらにファンクラブ会員限定ツアーの合間を縫って駆けつけたsumikaは「イコール」からライブをスタートさせた。「おっしゃ、『Layered Music』! めちゃめちゃ楽しみにしてきました! あなたのご機嫌はいかがですか?」と観客に語りかける片岡はテンションが高くてアクションも大きく、“誰よりもこの場を楽しんでやるぞ”という気持ちが躍動的なバンドサウンドからも伝わってくる。後のMCで山村が「さっき袖でsumikaのみんなと話していたんだけど」と前置きして「“どっちのファンか分からないね”ってくらい、みんなが一つになった」と言っていたが、そう形容したくなるほど温かな空気がスタート間もなく生まれている。それはこのライブを前のめりに楽しもうとする互いのファンの姿勢の表れでもあり、同時に、sumikaとflumpoolの親和性の高さを証明するものでもあった。

上手から順に、ステージ前方にメンバーの荒井智之(Dr/Cho)、黒田隼之介(Gt/Cho)、片岡、小川貴之(Key/Cho)、後方にサポートの真船勝博(Ba)、George(Key)、三浦太郎(Cho/Gt)が並ぶ7人編成で、この配置は今年の頭から。連日のライブを経てバチバチに仕上がっているアンサンブルで以って、起承転結の鮮やかなセットリストを披露したsumika。特に、片岡とGeorgeの2人編成での「Babel」からソロ回しもあった「Strawberry Fields」におけるジャジーなアプローチ(真船はコントラバスを演奏)、アカペラによる4声のハーモニーから始まり、レイドバック気味のタイム感で演奏した「Summer Vacation」と展開した中盤セクションには新鮮さを感じた人も多かったのではないだろうか。また、flumpoolのメンバーにも内緒にしていたという「星に願いを」のカバーはこの日ならではのサプライズとして会場中を大いに喜ばせた。

そんななか、MCでは片岡が、自分と山村の共通項は声が出なくなることの辛さ(片岡は2015年に一時的に声の出づらい状態になりライブ活動を休止、山村は2017年末に歌唱時機能性発声障害によって活動休止)や支えてくれる人のありがたさを知っていることだとし、「flumpoolってすごいメンバーが集まっていると思うんだよ。同時に俺らもすごいメンバーが集まってるんだけど」と語った上で、「(今日の対バンには)絶対出たいと思った」「人としてこの縁だけは逃したくなかった」と明かした。その視点から見れば、歌とギターのみが残るライブアレンジから垣間見える“フロントマンとしての芯のぶれなさ”、メンバーと一緒に鳴らした時の瑞々しいサウンドやリラックスした雰囲気、絶望を経験した上で鳴らす闇やえぐみも内包したカラフルな楽曲群が両者の共通項であろう。「“何をやるか”ではなく“誰とやるか”だ」とたびたび語り、場数を“こなす”ようなライブは決してしないバンド、sumikaによる誠意のライブに果たしてflumpoolはどう出るか。

そう考えると、真っ向勝負しか選択肢はないのだ。山村、阪井一生 (Gt)、尼川元気 (Ba)、小倉誠司 (Dr)、サポートの村原康介(Key)の5人編成でライブに臨んだflumpool。ツアーはまだ続くため詳述は控えるが、この日の彼らのライブは、装飾などを全て引っ剥がした時に唯一残るバンドの肉体性を剥き出しにさせる瞬間が多かった。バンドとして過ごした月日、メンバー同士の絆の結実としての硬質なサウンド。例えば、ライブ定番曲の「イイじゃない?」はもう何度も聴いているはずなのに、骨の太いバンドサウンド、ハードロック然とした佇まいを感じさせる演奏に、曲が生まれ変わったように感じられた。また、ギタリストというよりも作曲家としてのアイデンティティの方が大部分を占めていたのか、ライブプレイに関してはそこまで自分から前に出てくるタイプではなかった阪井が、ギターソロに没頭する姿も印象に残った。

先頃のsumikaの「星に願いを」カバーについては、MCで「俺らを仕留めにきてる」(阪井)と笑っていたが、そのことに触れたあと、「あんないいものを見せられたらこっちも本気出すよ」(山村)と再開した演奏は明らかにギアが一段上がっている。このツアーを開催するにあたって彼ら自身が望んだ“仲間から刺激を受け、バンドとして次のステージへ上がる”flumpoolの姿を、リアルタイムで目の当たりにできたシーンだった。バンドの音はタイトに締まっている一方、客席の様子を眺めるメンバーの表情は穏やかであり、観客に投げかける言葉もナチュラルで、緊張感で空気が張り詰めている感じはない。それはsumikaの幸福感溢れるライブの後だからでもあるし、flumpool自身の現在のモードでもあるのだろう。最初のMCでは客席からの拍手に山村が「あったかーい!」と顔をほころばせる場面もあった。

今ツアーでのflumpoolは、「今日この場でしか見せないみなさんの表情を一つでも引き出せたらと思って。丁寧に全力でやらせてもらいます」(山村)との想いの下、対バン相手のファンにも親しまれているであろう代表曲を中心に新旧網羅したセットリストを披露。なかでも、昨年のデビュー記念日にリリースされた独立後の決意を歌った新曲「その次に」はこのツアーで初披露だ。なお、sumikaの片岡からも説明があったように、今ツアーでは対バン相手とのセッションが恒例となっているそうだが、この日に関してはsumika側の「久々にflumpoolのライブを観るというファンの方もいるだろうし、flumpoolのライブをしっかり観てもらった方がいいんじゃないか」という意向から見送ることになったのだそう。しかし、それぞれがそれぞれのステージを全うすることーー山村の言葉を借りれば“自分たちの信じたメンバーと自分たちの音楽を鳴らす”ことーーが、今回の対バンにおいては大事だったように思う。その上で特筆したいのは、今のflumpoolが歌うラブソングの輝きだ。ピュアな言葉がやや気恥ずかしく感じられた若い頃を経て、人と人が思い合う素晴らしさ、大切さ、貴重さを知り、実感を伴いながら歌われるまっすぐな愛。紆余曲折もありつつ、15年続いたバンドだからこその説得力がそこにある。

この日のライブは、妹が大のsumikaファンだという阪井がステージ上でsumikaの4人からサインをもらうという珍場面で幕を閉じた。『flumpool Special 対バン Tour 2022「Layered Music」』は今後、高橋優との東京公演、フレデリックとの大阪公演と続く。残り4公演も対バンならではの醍醐味が感じられるライブになることだろう。また、このツアーを終えた頃、flumpoolがどんなバンドになっているのかも大いに楽しみだ。(蜂須賀ちなみ)

※1:https://www.flumpool.jp/news/17720/

蜂須賀ちなみ

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